ラオスの学校で図書室づくり~本の見せ方を工夫して、もっと魅力的で活用される図書室を!~

2024.03.18

ラオスの中等学校で、先生と生徒たちが図書室づくりのイロハを学び、図書室の展示作成を実践してみました!

図書室をより多くの人に使ってもらいたい

 特定非営利活動法人ラオスのこどもは、2023年5月より、JICA草の根技術協力事業「中等学校における学校図書室の役割拡充を通した教育改善事業」を実施中。日本の学校に当たり前にある「図書室」ですが、ラオスではいまだ多くの学校に設置されていないのが現状です。このような中、ラオスのこどもは、ヴィエンチャン県にある中等学校を対象に、図書室の設置を行い、子どもたちが広く情報収集を行える環境づくりを目指しています。さらに本事業では、単に読書の場を提供するだけに留まらず、図書室を「学習・情報センター」とすることで本をより活用しやすい教育環境の定着に取り組んでいきます。図書室の利用促進を図るには、サイン(表示・案内)の存在は欠かせません。どこにどのような本が置かれているのか、自分の関心を引く本があるか、図書室に入ったときにすぐに分かるよう、そのサインや展示を工夫します。そうすることで、より多くの生徒達の目に留まったり、授業での活用の幅が広がったりと、図書室をさらなる「学びの場」として作っていくことが出来るのです。
 2月15日・16日には、ラオスのこどもの渡邉淳子さんが講師となり、ヴィエンチャン県のナーサック中等学校とサナカム中等学校で図書室応用研修が行われました。図書室のサイン・展示の役割やそのイロハについて、先生と生徒たちが学んだ様子を見てみましょう!

研修で説明する渡邉淳子さん(ラオスのこども)

図書室展示とは…

 1人でも多くの生徒たちに図書室に来てもらうために、彼らの興味関心に訴えかける展示コーナーを作ることがとても大切です!展示を通して本の見せ方を工夫し、これまで図書室に興味関心のなかった生徒を図書室に引き付けることができるようになるのです。講師の渡邉さんによると、日本の学校図書室の例では、「教科に関する展示」(授業や夏休みの自由研究に関連した展示)や、「学校行事・活動に関する展示」(修学旅行で訪れる街の文化に関する展示など)があるとのこと。また、「黄色の本フェア」や「誰も借りてくれない本フェア」など、カテゴリやタイトルを工夫して様々なテーマで展示を作っていくことができるというアイディアも。その後、渡邉さんが実際に「世界の国の物語」をテーマに展示を作りながら解説してくれます。タイトルや説明の書き方・図書の配置の仕方などについて、実際に一つひとつのポイントを、先生や生徒と一緒に確認しながら見せてくれました。例えば、タイトル一つをとっても、単に「ラオスの昔話について」とするのではなく、「いくつ知ってる?ラオスの昔話」というように、どこか興味を引くようなタイトルへ。また、POP(本の紹介カード)にはすべての説明を書かず、本の続きが読みたくなるように書くこと、色や形から受け取るイメージを考えることも大切であると伝えられました。参加した先生や生徒たちは皆、渡邉さんが展示を作る様子を熱心に見て、学んでいる様子でした。

研修の様子

参加者による展示制作の実践!!

 研修の後半では、実際に参加者がそれぞれのグループに分かれて展示を作成することに!先生と生徒たちそれぞれが意見を出し合い、楽しそうに展示を作成している様子でした。この日は、「教科関連の展示」として、歴史教科から「ラオスにかつてあったランサーン王国の創始者ファーグム王について」、生物教科から「両生類の生き物について」、また「自由テーマの展示」として、「農業」と「動物が登場する物語」についての展示作成に取り組みました。
 それぞれのグループでは活発な議論が行われながら、展示が作成されている様子。タイトルに関しては、例えば「農業」をテーマとしたグループでは、「儲かる」という点を強調することで、より多くの生徒の関心を引くことができるのでは…という発想から、「小さな畑で大金を生み出しお金持ちになるための農業」というタイトルが付けられました。別のグループは、クリップを使って見てもらいページを上手にアピール。さらには、お菓子の箱などの厚紙を使ったブックスタンドをラオスのこども現地スタッフから教えてもらい、身近にあるものを活用して上手く本を展示していました。

厚紙を再利用して作ったブックスタンド

展示作成に取り組む様子

参加者たちはこの実践を通して、普段は本棚に入っている本が「展示」という形で本棚から取り出し紹介されることで、より多くの生徒の目に留まり、関心を引く本になると実感。そして何より、図書室の運営はただ単に図書の貸出だけではなく、図書室の本を広報したり、図書室を「学びの場」として創り上げていくやりがいのある仕事だということを感じたようでした!

自分たちで作った展示をプレゼンテーションする様子

最後には研修の修了証が授与されました

NGOスタッフに今後の展望を聞きました!

 今回の図書室応用研修を実施したラオスのこどもの渡邉さんは次のように話してくれました。
「図書室展示は、さまざまな角度から本を紹介し、図書と来館者をつなぐ(“来館者と本を引き合わせる”)図書室の重要な業務のひとつです。図書室を運営する先生や生徒の皆さん自身が、まだ注目されていない本の魅力を引き出し、光を当てることで、自分たちの図書室をもっともっと魅力的な図書室にしていってもらえたら嬉しいです。」

参加者全員で集合写真!新たなことを学び、みんなそれぞれにいい表情です。

「ラオスのこども」では今後、図書室応用研修第2弾として中等学校の各教科の先生たちに「授業における図書活用」のレクチャーと実習を展開していきます。生徒や先生たちが主体となり図書室や図書を有効的に活用することで、子ども達の学ぶ力を育成し、図書室が「学びの拠点」となることを目指していきます。

◆関連リンク:
・ラオスのこども 団体HP:ラオスのこども (Action with Lao Children) (deknoylao.net)
・ラオスのこども Facebookアカウント(活動の様子を随時更新中!):
Action with Lao Children ラオスのこども | Facebook
・本事業概要:事業提案書要約 (jica.go.jp)

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