未来を担う母と子に安心安全を届けたい~カンボジア農村部で母子保健プロジェクトに取り組むピープルズ・ホープ・ジャパン~
2024.10.22
カンボジアの代名詞とも言えるアンコールワット遺産
カンボジア北西部に位置するシェムリアップ州。そこは有名な世界遺産「アンコールワット遺跡」がある観光地として、旅行客で賑わいます。しかし、州の中心部は華やかな観光地として賑わう一方で、それ以外の農村部との格差がとても大きく、農村部に住む女性たちは、今なお安全な妊娠・出産をすることができないという課題に直面しています。
このような状況を改善するため、特定非営利活動法人ピープルズ・ホープ・ジャパン(以下、PHJ)は、2023年4月から、JICA草の根技術協力事業「シェムリアップ州ソトニクム保健行政区における安心安全なお産のための保健システム強化支援事業」を開始しました。
シェムリアップ州農村部の様子
シェムリアップ州農村部の様子
◆特定非営利活動法人ピープルズ・ホープ・ジャパン:
ピープルズ・ホープ・ジャパン – アジアの母と子をささえる国際保健医療支援団体 (ph-japan.org)
◆案件概要はこちらから!:
PowerPoint プレゼンテーション (jica.go.jp)
、事業提案書要約 (jica.go.jp)
PHJが活動を行うシェムリアップ州ソトニクム保健行政区。PHJはなぜこの地域で活動を行うのでしょうか。
ソトニクム保健行政区は、シェムリアップ州の中でも農村部が多く、南北に長いエリアです。北部は農村地帯で道路の状態も良くありません。雨季になると増水で道が寸断され、孤立してしまうことも。南部にはトンレサップ湖がありますが、雨季には水位が上昇して水上生活となり、アクセスが困難になります。さらには、電気も水道も通っていない森の中や雨で浸水してしまう場所で生活している貧しい人も多く、汚い川の水や雨水を使用して生活しています。様々なアクセスが困難なこの地域では、実に5人に2人の女性が保健サービスを利用せずに、リスクを負いながら妊娠・出産しているという現状があります。まさに、多くの妊婦さんや産後の女性たちが取り残されている地域と言えます。
事業地の舗装されていない道
船上生活の様子
各コミュニティには、「保健センター」と呼ばれる地域の診療所のような施設があります。しかし、PHJの活動地域にある25の保健センター間でも、保健サービスが比較的行き届いているセンターとそうではないセンターとで大きな格差があるのも、この地域の特徴です。
このような状況を少しでも改善するため、女性が安心安全に出産して健やかに暮らせる地域づくりを目指して、PHJは活動しています。
◆カンボジア事業の活動レポートはこちらから↓
カンボジア 活動レポート – ピープルズ・ホープ・ジャパン (ph-japan.org)
本事業では、助産師さんや保健センター運営の能力強化に加えて、村の女性とその家族が正しい保健知識を身に付けて、保健センターを適切に利用してもらうための活動を行っています。その中で重要な役割を果たしているのが、各村に配置される保健ボランティアさんたち。住民たちの声を直接聞きながら、住民へアドバイスを行う存在として、本事業では保健ボランティアの能力向上も目指していきます。
男性の保健ボランティア(写真左)が住民へ保健教育を行っている様子
保健センターで行われた保健ボランティア会議での集合写真
今回は、PHJが村で実施している保健教育の様子をご紹介します。
村で保健教育を行う際には、村長さんや保健ボランティアの声掛けにより、お寺や村長さんのお家といった皆が集まれる場所に人々が集まります。保健教育では、妊娠の兆候、定期的な妊婦健診、栄養バランスの取れた食事や妊娠中に避けるべき行動などのトピックを扱います。
お寺で実施された保健教育の様子。和気あいあいとした雰囲気が伝わります。
熱心に話を聞く村の女性たち。後ろでは男性たちも参加していました。
たくさんの住民が参加してくれています。
参加女性の中には読み書きができない人もいるため、なるべく図を多く使い、誰にでも理解できるような説明を心がけます。また、保健教育が一方的なものにならないよう、参加住民たちの意見や悩みを聞くことに重きを置き、楽しみながら知識を付けてもらえるよう工夫しています。
保健教育では図や絵を多く使ってわかりやすい教材を使用します。
「誰も置き去りにしない」保健サービスの提供に向けて、PHJは現地の女性とその家族、そして生まれてくる赤ちゃんのために日々活動を行っていきます。
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