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能楽師 野村万之丞氏から狂言の豊かな世界を教わった研修員

2025.03.06

2月2日、西原町会 中田さんのご協力により、六世 野村万之丞氏(狂言方和泉流能楽師)によるJICA研修員のための狂言体験が開催され、SDGsグローバルリーダー、持続可能な都市開発、臨床皮膚科看護などのプログラムで南米やアフリカ、アジアなどから来日し、日本の大学で修士課程に所属する研修員8名が参加しました。

野村万蔵家の稽古場は、一歩入ると見事な檜造りの能舞台が目の前に。神聖な舞台に上がるために、研修員にまずは白足袋をつけてもらいます。
研修員にとっては初めての足袋、そのつくりや履き心地がとても興味深かったようです。
今回は万之丞先生とともに、狂言方和泉流能楽師である小笠原弘晃氏が通訳として京都から来てくださいました。

舞台を前に先生の登場を待っていると、橋掛りから万之丞先生と小笠原氏が端正な袴姿で登場。
華やかでおおらかな印象の先生と小笠原氏のかけあい劇を披露いただき、舞台に響き渡るテンポの良いセリフ、きりりとして優雅な立ち居振る舞いなど、研修員は真剣に見入っていました。

次に正座で対面の礼、挨拶で狂言体験のスタート。能楽や狂言について、万之丞先生の解説に加えてフランスへ留学されていた小笠原氏も、外から見た日本の伝統芸能の特徴などを交えて丁寧に解説してくれます。
次に身体を使って狂言を体験。万之丞先生が基本の構えを教えてくれます。指導の通りに指を折り込んで腰に添えると、丹田に力が入ります。

そして重心を落とし、足を滑らせるように移動する「すり足」。かかと着地で反動で歩く現代の歩行とは真逆のようなすり足は未知の体験で、日本古来の知恵が詰まっています。
さらに、狂言の笑い、泣き、怒りなどを体験。こみ上げる笑いを耐えてから爆発する様子や、男女それぞれの怒り方の違いなどが面白い。泣くパートでは、自分の「泣き」がまるで「笑い」のようで可笑しくて笑い転げている研修員もいました。(狂言ではウソ泣きも多いので、それで大丈夫です、と先生からコメント。)

次にセリフの体験。「それがしは、~~でござる。」「わらわは、~~でおりゃる。」と、一人ずつ舞台の前にすり足で出て狂言風に名を名乗る体験をしました。皆緊張した面持ちで挑戦、大変よくできました!
最後に曾祖父の六世野村万蔵が面打師でもあったという、万蔵家の貴重な面や、装束を見せていただきました。

ちょっとした角度で表情が変わる面の奥深さに感動。鬼のような般若の面が、実は女性の面だと聞いて大変驚く研修員。(だけど怒った女性は一番怖い、というのは万国共通のようでした)
キツネや猿など、動物の面も多く、狂言では動物を使うことで人間のやっていることを客観視させたり、風刺するそうです。

お二人が3歳頃の初舞台でつけたという、小さな子猿のお面に皆で心和みました。
「これは何の面だと思いますか・・?」と先生が掲げた、顎に髭がついているひょっとこのような面がなんと、「蚊」の面だと聞いて皆で大笑い。とある夫婦劇のためだけにつくられているという、巨大な毛抜きなど、ユーモアたっぷりの小道具も。年月によって深く色褪せた古い装束には歴史を感じました。
一つ一つ木彫りで手作りされた能面は神にも通じると捉えられ、衣装と共に毎年虫干しをして、大切に受け継がれているそうです。

研修員は600年以上続く伝統芸能を、こんなに若い方々がこれほど情熱を持って伝えていることに感動し、どうしたらもっと狂言を広められるか、こうしてみたら良いのでは、女性の狂言師はいるのか、などの率直な質問やコメントが出ていました。
お二人が出演する公演も観に行きたい!と狂言の魅力を感じてもらえたようです。これを機に、日本の伝統文化の楽しく奥深い世界に興味を持ってもらえたら嬉しいです。

ご協力いただきましたみなさま、参加してくれた研修員の皆、ありがとうございました!

研修員のコメント
・楽しさでいっぱいの一日でした。狂言の伝統を理解するのはとても魅力的でした。どうかこの素晴らしい伝統芸能を続けてください。人々を笑わせようとするあなた方の献身は、彼らの寿命を延ばすでしょう。

・とても楽しい経験でした。日本の伝統文化や芸術について見識を深めることができました。貴方方の歴史と遺産を分かち合ってくれて本当にありがとうございました。狂言についての説明がとても良かったです。

・この狂言体験の質の高さに感動しました。本当に豊かな体験でした!
演者の方々は、信じられないほど才能があるだけでなく、惜しみなく時間を割き、知識を提供してくれました。狂言について熱心に教えてくれたことにとても感動しました。 狂言の歴史やストーリーの詳細についての貴方方の説明は、わかりやすく、魅力的で、洞察に富んでいました。

萬狂言 https://yorozukyogen.jp/ 

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