jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

【教師海外研修】実践授業レポート from 綾瀬市立天台小学校 (潮ひかり教諭)

実践授業とは…

実践授業とは、JICA教師海外研修に参加した先生方に、研修で得た経験を活用した授業プログラムを作っていただき、学校現場で実践いただくものです。

潮先生のレポート

授業を行うにあたって

小学校4年生を対象に、道徳科の実践授業を行う。級外を担当しているため、昨年度担任していた学年にて授業を行う。この学年には外国にルーツのある児童が各クラスに数名在籍している。価値項目について考えを深めるだけでなく、外国籍児童がルーツのある国について考えを深めたり、クラスメイトが外国籍児童のことを改めて知ろうとしたりするきっかけになってほしい。

実践授業

「ブラジルから来た転入生」(光文書院「ゆたかな心 4年」)を使って授業を行った。主たる内容項目は「友情、信頼」である。思い込みや見た目で決めつけず、自分の目で見て耳で聞いて、相手を知ることが大切であると言うことを伝えたい。教材を通して内容項目に迫った後、教師の体験談としてブラジルでの失敗談からさらに考えを深めさせたい。

(1)本時の目標

初めて出会うものや人と関わるときに、大切なことを考えよう。

(2)揺さぶりたい価値観

一面的な価値観で物事を判断し決めつけてしまっていることはないか、友だちと関わるときの考え方や言動を振り返る。また外国に対する見方・考え方についても考えさせ、大切にしたい考え方や振る舞いを考えさせる。

(3)展開

導入

展開

終末

(4)児童の様子

教材について考える場面でも、教師のブラジルの体験談を聞く場面でも児童の積極的な発言(反応)が見られた。ブラジルでの体験談では、写真やイラストを使ってクイズ形式で進めた。日本語の理解が難しい外国籍児童も、イラストを通して内容を理解し授業に参加することができた。教師の失敗談や食べ物に関することに対して大変興味を示し、良いリアクションが見られた。ブラジルにルーツのある児童が普段は話さないポルトガル語を披露したり、ベトナムにルーツのある児童からは自国のことについて語りたいという様子が見られたり、自分のルーツについて前向きに考えるきっかけになったのではないかという様子があった。

授業を振り返って

ブラジル研修と関連する道徳教材を使い、最初に授業の中で考えさせたい価値を全体で共有してからブラジルでの体験談を話す事ができたことが良かった。英語が全てではないことや決めつけは良くない、時間をかけて相手を知ることが大切。積極的に話しかけることも良いかもしれないが、相手の反応を見ながらコミュニケーションを取ることが大切。という意見が児童から聞かれた。相手を知るためにはどうしたら良いか、私が目標としていたことのさらに先まで考えを深めている児童もいた。教師の実体験を通した語りは児童の食いつきが違う。私自身が熱量を込めて語れるということもあるが、児童がブラジルの様子を教師の語りから疑似体験することで自身の考えや思いを積極的に発言することができたのではないかと思う。授業後、4年生の遠足に同行した際に外国人観光客に出会った。「挨拶してみたら?ハローと話しかけてみたら?」と児童に促すと、外国人観光客から「オラ」という返答がきた。「先生、また見た目で判断してしまった…、英語ではなかったね」と言うと、「見た目で判断しちゃいけないんだよ、「こんにちは」も通じたよ」と児童が教えてくれた。授業した内容を児童なりに捉え、新たな考え方を身につけることができていたことが嬉しかった。

【画像】

【画像】