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【教師海外研修】実践授業レポート from 河口湖南中学校組合河口湖南中学校 (長谷川真美教諭)

実践授業とは…

実践授業とは、JICA教師海外研修に参加した先生方に、研修で得た経験を活用した授業プログラムを作っていただき、学校現場で実践いただくものです。

長谷川先生のレポート

中学1年生を対象に、道徳の授業において、実践授業を行いました。

授業を行うにあたって

多様な生徒が在籍する中学校において、他者と共に生活するために大切なことについて、生徒と共に考えていきたいと思いました。多文化共生という、“異なる文化をもつ人”と広い視野で考えた後、隣の席の子も考えが違い、普段の生活から大切にしていきたいことだと自分事として考えられるような授業展開を目指します。

実践授業

国際理解・国際貢献の単元で3時間かけて学びます。ブラジルから多文化共生について考えるにあたり、現在のブラジルの様子や、かつて移民した人について、知識の土台づくりが必要だと考えました。また、海外へ行ったことのない生徒が多く、異なる文化を目の当たりにした時の気持ちについてイメージすることが難しいと想定されたため、異文化体験ゲーム“バーンガ”を取り入れました。本時は3時間目にあたります。

(1)本時の目標

かつてブラジルへ移民した日本人の様子や、現在のブラジルの様子から、異なる文化に出会ったときの気持ちを考えることを通して、異文化を持つ人を始め、自分とは異なる他者と共生していく実践意欲と態度を育てる。

(2)揺さぶりたい価値観

海外渡航の経験がない生徒が多いため、異文化体験ゲームから、異なる文化に出会ったときの戸惑いを感じさせたい。そのゲームや実際にブラジルへ移住した方のお話から、感情を軸にして異なる文化をもつ人と共に生きていくために何が大切なのか考えさせたい。

(3)展開

(4)生徒の様子

始めに移民についてイメージを聞いたところ、「稼ぐためなら私も行きたい」「旅行みたいで楽しそう」という回答がありました。そこから現在のブラジルや移民の歴史について学ぶにつれ、「移民の気持ちをもっと知りたくなった」「違う文化の場所へ行くことは、不安や心配な気持ちもあると思った」という考えをもつ生徒が増えるようになりました。その後、バーンガを実施し、自分と違う考えを持つ人と関わることの難しさ、コミュニケーションの大切さを感じたようでした。最後の問「異なる文化をもつ人と生きていくために大切なことは?」に対して、異文化体験ゲームやブラジルと中継して聞いたことなど、様々な視点から考えを深めている姿が見られました。

授業を振り返って

体験することを大切にして、異文化体験ゲームやブラジルとの中継を授業に取り入れました。ブラジルと聞くととても遠いところの話に聞こえますが、中継で話をしたこと、さらにその方が10年ほど前に同じ山梨県から移住したということからも、異なる文化への接触に対して身近に感じたようです。「異なる文化をもつ人と生きていくために大切なことは?」という問に、「自分から知ることや、自分のことを知ってもらうこと」「笑顔であたたかく関わること」「分からないと諦めるのではなく、分からないなりに理解しようとすることが大事」という考えが上がりました。多文化共生という広い視野での授業でしたが、ここで出た考えは日常生活でも大切にしていきたいことだと思います。今後も、多文化共生について考えを深めるとともに、その態度が日常生活でも当たり前になるように生徒たちと生活していきたいです。

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