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【教師海外研修】実践授業レポート from 横須賀市立長沢中学校 (石田礼奈教諭)

実践授業とは…

実践授業とは、JICA教師海外研修に参加した先生方に、研修で得た経験を活用した授業プログラムを作っていただき、学校現場で実践いただくものです。

石田先生のレポート

中学2年生を対象に、英語の授業において、実践授業を行いました。

授業を行うにあたって

私は、生徒たちが将来、多様な他者とともに平和な世界をつくっていくことができるように、種まきをしたいと考えています。そのために、自分と相手を大切にできる生徒を育てたいです。英語の授業においては、相手に伝えるためにはどうすればいいのか、相手は何を伝えようとしているのか、といった相手意識を大切にした授業展開を目指します。

実践授業

Unit 4 homestay in the United States(NEW HORISON 2)という単元と国際理解教育・開発教育を融合させ、9時間扱いで一貫した指導を行います。多文化共生の実現に向けて、生徒の価値観を揺さぶり、態度を育むためには、継続した指導が必要だと考えたからです。本時は、6時間目にあたります。

(1)本時の目標

教科担任のホームステイ先の中学生に向けて、既習の言語材料を使い、長沢中学校の一日について、相手が必要な情報を考えながら説明することができる。

(2)揺さぶりたい価値観

普段、人と関わるときに、知っているつもりになり、自分の価値観や基準で物事を見てしまっていることに気付かせる。知ろうとしたり、相手の立場を想像したりする態度を育む。

(3)展開

(4)生徒の様子

ホームステイ先を予想する際、「川の上に家がある」「豆料理」「魚料理」という声がありました。写真を見せていくと、「敷地が広すぎる」「日本の料理で気遣ってくれている」という声が出ました。メッセージでは、「名前が日本人っぽい」「なんで日本語が分かるの?」といった戸惑いが見られました。ガイドブック作りでは、取り組み始めた際に、「しっかりやる」のように主観的な内容が見られたので、相手が必要な情報は何だろうと全体に問いかけました。その後、生徒手帳を取り出してルールを探したり、「食べる前にみんなでいただきますって言うよね」のような話し合いをしたり、内容について相手意識で考える姿が見られるようになりました。

授業を振り返って

単元の前半において、新出文法事項を学びながら、日本とブラジルの文化や学校生活、暮らしの違いに出会いました。その中で、自分たちの当たり前が他の人にとっては当たり前ではないことや、自分たちの生活を基準に他の暮らしの利便性を決めつけてしまっていたこと、に気付く場面がありました。しかし、それでもなお、今回の授業において、ホームステイ先の予想やメッセージの聞き取りの際、無意識に外国人像を決めつけてしまっていました。このように、私たちはつい分かったつもりになってしまうということに気付き、だからこそ相手をちゃんと知ろうとすることや想像することを大切にしてほしいと考えています。これからも生徒たちの価値観を何度も揺さぶり、多様な他者とともに平和な世界をつくっていくことができるように、種まきを続けていきたいです。

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