- トップページ
- 日本国内での取り組み
- JICA横浜
- 事業の紹介
- 世界を身近に感じよう! 開発教育支援事業
- 教師海外研修
- 【教師海外研修】実践授業レポート from 横浜市立田奈中学校 (村松優樹教諭)
実践授業とは…
実践授業とは、JICA教師海外研修に参加した先生方に、研修で得た経験を活用した授業プログラムを作っていただき、学校現場で実践いただくものです。
村松先生のレポート
中学校第一学年を対象に、中学校社会科地理的分野の授業にて実践授業を行いました。
授業を行うにあたって
国際理解教育を進めるうえで大切な視点は〈ちがいを知り、ちがいを認め合う〉ことであると考えています。
近年ではインターネット上や街頭で広がる〈ヘイトスピーチ〉が社会問題になるなど、排外的な主張も目立ってきています。今後、日本では少子化やグローバル化も相まって在日外国人や外国につながりのある人がさらに増加することが予測されています。偏狭なナショナリズムで排外的思想をもつのではなく、多様な人々が共生できる他民族・多文化社会を実現する必要があるという考えのもと、授業を行っています。今回は〈文化の多様性とアイデンティティ〉というテーマで授業実践をしました。
実践授業
中学校社会科地理的分野南アメリカ州の内容を七時間授業分で一単元とし、授業実践をしました。ブラジルでの実地研修で得た知識や写真を使用
(1)本時の目標
多文化社会の実現に向けた課題の認識と解決に向けて、学習内容を多面的・多角的に考察し、表現できる。
(2)揺さぶりたい価値観
文化の多様性とアイデンティティ
→様々な文化的背景をもつ人々が共生する社会において、お互いを知り、認め合うことが重要である。アイデンティティは人それぞれ違うことや自分のあたりまえを押し付けないこと、そして多文化が共生することについての難しさについて、曖昧な理解にとどまることなく、無自覚に存在する自身の固定観念に気づき、日常生活の行動や言動を見直すことのできるきっかけになればと考えている。
(3)展開
-
1
.
何をもって「日本人」?
→生活していて「日本人」とする判断基準は何か。国籍や在留期間といった視点から、顔や言語、名前といった表面的なイメージで無意識に判断しているという視点まで、幅広い普段の判断に気づく。 -
2
.
アルベルト・フジモリ氏の例
→両親が日本人で、日本国籍をもつ人物がペルーの大統領だったことについて知る。その上で外国につながりのある人が国のリーダーになることについて、議論をする。また、政治に参加することのメリットとデメリットについても議論する。 -
3
.
「日本人」というくくりについて
→必要か不要か。くくりがあることでどんないいことがあるのか。くくりがあることで不利益を被る人はどんな苦しさを感じているのかを議論する。 -
4
.
多文化社会を阻むものとは?
→ワークシートに学びの振り返りを記入する。
(4)生徒の様子
生徒は意見交流の中で考え方の〈ちがい〉に気づき、受容できるかできないかの狭間で悩み続けることができていました。一方で多文化社会を日本で実現するには時間がかかり、かなり難しいと考える人もいました。
授業を振り返って
- 授業アイデンティティに触れる授業は特に丁寧に扱う必要があります。授業の中で自由な発言を求める一方で、人権侵害にあたる発言との線引きを授業者が確実におこなう必要があると感じました。
- 継続的に国際理解に関する授業をしていく必要性を感じました。今回は南アメリカ州を例にとった学習でしたが、生徒が日常的に〈ちがいを知り、ちがいを認め合う〉ために、3年間を通した国際理解教育というアプローチで学習計画を立てます。
scroll