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【教師海外研修】実践授業レポート from 川崎市立稗原小学校 (田口翔万教諭)

実践授業とは…

実践授業とは、JICA教師海外研修に参加した先生方に、研修で得た経験を活用した授業プログラムを作っていただき、学校現場で実践いただくものです。

田口先生のレポート

小学6年生を対象に、道徳の授業において、実践授業を行った。

授業を行うにあたって

ブラジルの研修で学んだことや制作した教材をいかにして活用するかを意識した。また、小学校では道徳科において身につけるべき価値項目を押さえること。また、これまでの教科書教材を活用して自己満足の授業にならないような偏りのない授業づくりを意識した。

実践授業

導入ではJICA横浜ブラジル教員研修の動画を活用した。ブラジルという国について子どもたちに知ってもらうためである。また、本時の目標に向けて、ブラジルという国をはじめ、世界にはさまざまな背景や歴史がもとになって成り立った国があること。そして、それぞれの国が自分の国に誇りをもっていることを理解できるように授業づくりを意識した。

(1)本時の目標

アイルランドの見本が認められた時の吹浦さんの思いを考えることを通して、他国の人々や文化について理解し、進んで国際親善に努めようとする態度を育てる。

(2)揺さぶりたい価値観

さまざまな国がそれぞれの歴史があり、国旗はそのシンボルであるということ。吹浦さんのエピソードを通して、国旗というものがそれぞれの国において譲れないこだわりがあるという価値観を揺さぶっていきたい。

(3)展開

(4)生徒の様子

小学6年生という発達段階で、日本以外にもたくさんの国があることを日常生活の中や学校生活で学んでいる。だが、それぞれの国が持つ特徴や歴史、アイデンティティについての理解はまだまだ深まっていない。今回は教材として、日本テレビ「アンビリーバボー」の再現ドラマを活用した。ドラマを通すことで子どもたちも登場人物の感情移しやすくなり、意欲的に授業に参加する姿が見られた。

授業を振り返って

ブラジルの研修で私が大きく学んだことは二つある。
一つ目はこの国に対する偏った見方とこの国の成り立ちである。私は今回の研修に行くまで、ブラジルとはサッカーやカーニバルという印象が強かったのだが、ブラジル人であってもそれが好きな人や嫌いな人がいること。また、テレビ番組で見るのは主にアフリカ系の人種が多かったのでブラジル人のほとんどがアフリカ系だとこれまでは思っていたのだが、実際には移民政策もあり、白人系、アフリカ系、アジア系(日系も含む)などたくさんの人種が共生している不思議な国だった。

二つ目はその人たちのアイデンティティについてである。ブラジルで生まれた日系人は果たして何人なのか。ブラジル人か。その国で生まれたその人たちしか分からないことではあるが、今回の研修で出会った人たちとの交流でこの問題を考えることがこれからの国際社会で生きる子どもたちにとっても必要なことであると感じた。

今回はクラスの実態を踏まえて、国際理解という点に重点をおいて授業をした。次の機会があったら、今度は後者の視点での授業作りにも取り組んでみたい。

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