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【実践授業レポート】廣瀬祐市先生 from 富士河口湖町立河口湖北中学校

実践授業とは…

実践授業とは、JICA教師海外研修に参加した先生方に、研修で得た経験を活用した授業プログラムを作っていただき、学校現場で実践いただくものです。

廣瀬先生のレポート

授業を行うにあたって

観光地である富士河口湖町には多くの観光客が訪れ、本校周辺にも外国人観光客の姿が日常的に見られる。特に秋の紅葉祭りの時期には、約40万人の観光客が来訪し、交通渋滞やゴミ問題など、生徒を含む地域住民の生活にも影響を及ぼしている。
生徒同士の会話などから、外国人観光客に対して否定的なイメージをもっている生徒が少なくないことが分かった。
そこで、本授業では、パラグアイ教師派遣事業で作成した資料を活用し、さまざまな立場や視点から他者について考える活動を通して、多文化共生への理解を深めることを目指す。

実践授業

本単元では、「他者との関わり」や「より広い世界との関わり」という領域を横断的に扱うことで、生徒が多文化共生の精神を理解し、内面化することを目的とする。多様な価値観や背景をもつ他者を尊重し、共に生きる態度を育むことは、現代社会を生きる上で必要不可欠な力である。
そのため、生徒自身の経験や考えをもとに、主体的に学ぶことができる学習活動を設定する。なお、本単元は全3時間で構成し、本時は第2時にあたる。

(1)本時の目標
「木」の視点に立って、自分(私)や観光客、環境などを捉え直し、多様な考え方や感じ方を想像する。

(2)揺さぶりたい価値観
パラグアイの歩道の中央に立つ木と人との対話を通して、人ではない存在にも思いをはせることで、これまでとは異なる見方があることに気付かせたい。また、本校周辺の木と観光客との対話を想像する活動を通して、木が観光客に対してどのような思いをもっているのかを考えさせ、観光客に対する多様な捉え方に触れさせたい。

(3)展開

(4)生徒の様子
木との対話という、普段はあまり考えない題材であっても、遊びながら楽しんで考える活動を通して、着眼点が人によって異なることに驚く様子が見られた。また、ものには感情がなく、私たち人間からはその気持ちは分からない一方で、想像力によってさまざまな捉え方ができる人間の力のすごさを感じた生徒も多かった。
そのほかにも、木と対話することは実際にはできないため、不思議さや難しさを感じながらも、写真を手がかりに「だいたいこのようなことを考えているのではないか」と想像できたという声が聞かれた。
生徒の記述の中では、観光客に関する記述は多くはなかったものの、「自分は観光客が苦手なので、木も冷たい設定にしてしまったが、木が本当は観光客のことをどう思っているのかが気になった」といったように、価値観の揺らぎや変容が見られる記述も確認できた。

授業を振り返って

物語を考える活動を通して、自分以外の人の立場に立って考えることの面白さを感じた生徒が多かった。普段、悪いことをした際に相手の立場に立って反省する場面はあっても、楽しみながら他者の立場を考える経験は少ない。そのため、本活動を通して、他者理解への心理的なハードルが下がったように感じられた。
また、人ではなく「木」というモノの気持ちを考える活動を取り入れたことで、生徒がもっている「ヒト中心」の固定概念を揺さぶることができた。同じ対象であっても、見方や捉え方を変えることで新たな気づきが生まれることを、生徒自身が実感できたと考える。
さらに、観光客に焦点を当てた活動では、予想以上に外国人観光客に対して否定的なイメージをもつ生徒が多いことが明らかになった。一方で、授業を通して、そのイメージをわずかながらも変容させることができたと感じている。

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