【教師国内研修】実践授業レポート from横浜市立横浜商業高等学校(小島寛子教諭)
2022.03.06
JICA横浜では教員の方々を対象に教師国内研修※1を実施しています。今年度は7名の方々にご参加頂きました。実践授業とは、このJICA教師国内研修に参加した先生方に、研修で得た経験を活用した授業・ワークショップを作っていただき、学校現場で実践いただくものです。
小島先生のレポートです。
本校国際学科は、1学年に1クラスしかない専門学科のクラスです。英語や国際社会問題に興味を持つ生徒達が多く、また在県外国人等特別募集枠を4名設けていることから、日常的に教室では国際交流ができているクラスです。
しかし、入学当初から続くコロナ感染予防対策の影響からか、クラスメイトと思うようにコミュニケーションがとれていないように感じていました。2学期になり様々な活動が本格化すると、人間関係作りで悩む生徒達が複数見られました。その原因の一つが、コミュニケーション不足による不寛容さと、違いを受け入れられず批判するような言動なのではと考えました。それに自分たちで気づき、より良いクラスづくりに自然と向かうことができるようなきっかけを作りたいと考えました。
1年生のLHRの時間で行いました。総合的な探究の時間で、協働学習をしている時期だったので、ワークショッブをやると話した時にもすんなり受け入れてくれました。同じワークショップをメンター研修でも実践したため、先生方にも見に来てくださるよう声がけをしました。
「たぶん、か」※2
ドブルカード※3でグルーピングをしてから、私たちが作った「たぶん、か」のワークショップを行いました。独自の設定をした点が2つあります。1つ目が、グループで文化祭の出す店と衣装を決めるという設定にしたことです。実際の高校生活で起こりうる状況にすることで、より自分事としてとらえられるのではと考えました。2つ目が5人グループにし、「親友」という設定を作ったことです。なかなかクラスになじめなかったり、言葉の壁に苦悩したりする様子を見ていたので、自分の内面を打ち明けられる人がいる、安心空間の大切さを伝えたいと、敢えて奇数にすることで親友がいない人がいるという設定を考えました。
生徒たちの振り返りシートには、以下のようなコメントがありました。
「ワークショップを通して考えたことは?」
「誰もが心地よいと思えるクラスになるためには?」
日々生活の中で起きていることと、ワークショップの中で起きたことを重ね合わせ、自分事として考えてくれたのではないかと思います。ロールプレイで自分とは違う人物になることで、身近な人の中にも様々な内面を持っている人がいることに改めて気づけたようです。
また、誰もが居心地の良いクラスになるためには、周りの人に配慮することも大切だが、相手だけでなく自分自身もオープンにできるような雰囲気にしたいと複数の生徒が感じたようで、それがとても嬉しかったです。3年間同じクラスで過ごす仲間達と、互いのことを尊重できる関係を作れる人になること、そんな彼らがいつかより良い社会を作ることに貢献できるのだと信じています。
※1
コロナ禍を踏まえJICA教師海外研修の代替として2020年度より実施。通年のプログラムで研修を通してワークショップ教材を作成頂いております。
※2
先生方の作成したワークショップは後日HPに掲載します。
※3
カード同士を見比べて同じ絵柄を見つけるカードゲームです。
scroll