【実施報告】国際理解教育・開発教育 教員セミナー(応用編)
2023.03.29
2023年2月25日・26日、JICA横浜にて「国際理解教育・開発教育 教員セミナー(応用編)」を開催し、神奈川県・山梨県内の小中高等学校の先生等22名にご参加いただきました。本セミナーは、国際理解教育・開発教育の指導者としての技術・能力の向上を図ることや参加者同士のネットワークの構築をねらいとして、毎年行われているものです。今年は3年ぶりに対面にて2日間実施されました。
今回は、「平和と対立〜教室からできる共生・共存へのアプローチを考える〜」をテーマとして、1日目は、かながわ開発教育センター(K-DEC)の山西優二氏の基調講演やNPO法人アクセプト・インターナショナルの方々による講義・ワークショップなどを行い、2日目には1日目の内容を受けて学校で実践できる授業案を作成する内容でセミナーを行いました。
1日目はまず、かながわ開発教育センター(K-DEC)代表の山西優二氏(早稲田大学教授)より、「国際理解教育・開発教育の目標構造と平和・対立へのアプローチ」と題して、国際理解教育・開発教育の目標構造のふりかえりと平和・対立へのアプローチ方法について教育の中で何ができるのかお話しいただきました。
また、2日目の授業案作成のヒントとして、平和や対立をテーマとした絵本や教材の紹介とその活用法についてご提案いただきました。平和・対立について扱う授業について考える際の重要なポイントを理解できたとの声が多く寄せられました。
国際理解教育・開発教育の目標構造などについて語る山西氏
午後の部は、NPO法人アクセプト・インターナショナルの皆さまをお招きして、実際の団体での活動についての講義と対立について体験できるワークショップを実施いただきました。ワークショップは、神奈川県を1つの国に見立て、それぞれの立場の目標に向けて対立する姿を体感する内容でした。また、実際の現場でのご経験を元にされた現地の様子などもお話しいただきました。参加者の皆さまは、真剣に耳を傾けるとともに、ワークショップを和気あいあいと楽しまれている様子でした。
ワークショップの様子
参加者からは「リアルな課題に向き合っていく力強さを感じました」「自分ごとにするのが難しいテーマでも、ワークショップは有効だということがわかった」などの感想が寄せられました。
2日目には1日目の学びを生かしながら、参加された先生方同士で授業案を作成することになっています。1日目の終わりには、2日目の授業案づくりに向けて、対立などをテーマにした2つのアクティビティを体験していただいたり、1日目の学びのふりかえりを行ったりしました。ふりかえりでは、「今日の収穫・気づき」と「もやもや」を出し合って、2日目の授業案づくりのテーマ設定に向けて学びの整理を行い、無事に1日目が終了しました。
対立などをテーマにしたアクティビティを体験している様子
2日目は、1日目のふりかえりなどをもとにしながら、学校で活用できる授業案を作成する1日となりました。校種ごとにグループに分かれ、1日目の基調講演や講義・ワークショップなどの情報をもとに、白熱した議論を交わしながら、授業案を作成しました。
最後には、それぞれのグループが作った授業案の共有が行われ、絵本を使用した授業案や昨日体験したアクセプト・インターナショナルのワークショップのアレンジ版など、各グループのユニークなアイディアが共有され、楽しくもあり、また学びの深い時間となりました。
絵本を使った授業案について共有している様子
2日間のセミナーの終わりには、セミナーを通してのふりかえりを行い、全プログラムが終了となりました。セミナー全体を通しての学びや今後の学校現場での実践について考えることができる貴重な時間となりました。参加者からは、「新たな視点が見つかった。教員のネットワークが広がった。」や「競争社会を生き抜くための教育ではなく、平和の文化づくりの教育が重要で、異文化理解だけではなく、新しき文化を創造していくことが大切。」などの感想が寄せられました。
ご参加された皆さまが、本セミナーでの学びや気づきを活かし、今後の授業等で実践されることを期待しています。
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