【実施報告】2025年度 教師海外研修 パラグアイの経験を授業に活かす事後研修
2025.09.26
「教師海外研修」は、教員の方々が海外の現場を通して学ぶ、国際理解教育・開発教育実践のための研修プログラムです※。今年度は、小学校から2名、中学校から5名、高校から2名、特別支援学校から1名の、計10名の先生方が参加しています。国内で3回の事前研修を行った後、パラグアイ共和国を訪問し、帰国後には2回の事後研修を実施しました。
8月8日にパラグアイから帰国した10名の先生方は、教材の作成に取り組みました。事前研修とパラグアイでの研修で得た「多文化共生」や「日本人移住者/日系人」などについての学びや気づきを、児童・生徒に伝えると共に、より多くの方々に広めることを目的としたワークなどの教材の完成を目指しています。
事後研修の様子
8月30日に開催された第1回事後研修では、多文化共生についての理解を深めるため、横浜市鶴見区でフィールドワークなどを実施しました。NPO法人ABCジャパンを訪れ、安富祖樹里氏より、ご自身の学生時代の体験談を交えた「私たちの教室にある多文化」というテーマでお話しいただきました。鶴見の街散策では、ブラジル食品などを中心に取り扱うスーパーを訪れたり、南米のレストランや沖縄物産店が立ち並ぶ仲通りを歩いたりしました。ここで「多文化」を実感した後は、南米料理や沖縄料理の昼食をとりました。先生方は実際に街を散策することで、多文化が共生している雰囲気を感じたようでした。
午後はJICA横浜に移動し、パラグアイ滞在中に先生方がアイデアを出し合ったワーク案をさらに深めていきました。10名の先生方がパラグアイで撮影した写真や体験した出来事を基に、授業の導入などに活用できるワークを作成します。アイデアを出し合い、試行錯誤しながら形にしていく姿が印象的でした。
改めて児童・生徒に気づかせたいものは何なのか、話し合いを重ね、次回の研修に向けて各自が取り組むことも見えてきたようです。先生たちは疲れながらも満足している様子でした。
横浜市鶴見区のNPO法人ABCジャパンを訪問している様子
9月13日に開催された第2回事後研修では、前回の研修に続き、ワーク案をさらにブラッシュアップしました。まずは全員で一つ、写真を使ったワークのねらいや流れを形作っていきました。
その後、チームに分かれ、一つのワークの形を土台にしながら、新しいワークを作成できないか模索しました。本研修で得た学びや気づきなどを子どもたちに還元するだけでなく、学校内や地域にも広めるためのアウトプット案を計画しています。
より波及効果を高めるためには、どのような方法があるのか、どのような内容が良いのかなどを確認しあう時間となりました。また、本研修の報告会の実施方法、内容、時期などについて、先生方10名の学びをより多くの方に届ける方法を検討しました。
参加者の先生方がアウトプット案を検討している様子
これまでの研修を通じて学んだこと、気づいたこと、疑問に思ったことを参加者全員で共有する経験は、先生方にとって学びを振り返る機会となり、国際理解教育/開発教育の実践者としての大きな一歩となりました。
これから各自の学校で授業実践を行い、より多くの方々に届けられるようにブラッシュアップしていきます。
※教師海外研修とは
教師海外研修は、国際理解教育や開発教育に熱心に取り組んでいる小・中・高の教員の皆さんを対象に、開発途上国における国際協力の現場を実際に体感することを通じて、途上国の現状や日本との関係について考え、その経験をそれぞれの教育現場で、児童・生徒の皆さんに伝え広げていただくことを目的として実施しています。
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