地域に根ざした国際協力の在り方を探して②

小松市国際交流協会 会長 中村 知恵さん/事務局長 本田 昌代さん/国際理解部会 部会長 下徳 こづえさん/ 国際理解部会員 笹原 時博さん、山本 義之さん

真心こもった研修プラン

「私たちの研修プランは手作り感満載なんです。」と話すのはKIAの会長を務める中村さん。研修員を受入れるに前には勉強会を開き、研修員の出身国の文化・風習、社会問題について学びを深めているそうです。研修プランは、研修員が提出したカントリペーパーをしっかりと読み込んだうえで、彼らが本当に学びたいことがプランに盛り込まれるよう工夫します。研修事業に取り組む際は、自分たちも一緒に楽しむことを忘れないのがKIAのスタイルだそうで、研修の中盤には必ず研修員との交流イベントを組み込むといいます。歌ったり踊ったり、おいしいご飯を食べたりと様々なアクティビティを行うことで、研修員との心の距離をグッと縮め、仲が深まるといいます。小松市国際交流協会が実施する研修は毎回大好評で、帰り際は協会メンバー・受入れ先のスタッフ・研修員が抱き合いながら別れを惜しむそうです。KIA事務局長の本田さんによると、研修を終えてからもSNSを通して研修員と連絡を取り合っているKIAのメンバーも多いといいます。下徳さんは日本で災害が起こった時に連絡を取り合っていた研修員から安否を心配するメッセージが届いた時は本当に嬉しかったと笑顔で語ります。研修成功の秘訣は研修員に寄り添い、彼らのことを考え抜くKIAの皆さんの愛情なのではないでしょうか。

感動を分かち合える仲間を

「ごーる17の会」が行う勉強会の様子。勉強会で取り扱うテーマは教材も自分たちで選ぶそうです。

「KIAの活動の裾野をもっと広げ、小松市を全ての人にやさしい街にしていきたい。」と中村さん。2020年4月でKIAの活動は27年目になります。活動を重ねていくにつれ、市民の理解も深まり研修の受け入れや協力のお願いもしやすくなっているといいます。また、新しいメンバーが増えることで新しい風が吹きそれが良い刺激になっているといいます。最近では、笹原さんと山本さんを中心に、新しい取り組みとして「ごーる17の会」を設立しSDGsの17のゴールについて理解を深める勉強会を始めたそうです。小松市では、平成30年12月末現在2,378人の在留資格をもつ外国人が住んでいます。石川県内においてその数は金沢市に次いで2番目と、小松市は外国人の方と関わる機会が多い場所といえます。しかし、まだまだ国際交流やボランティア活動の意識が薄いと感じているそうです。「若い世代にはどんどんKIAの活動に参加し、国際交流やボランティア活動に興味・関心を持ってもらいたい。」と皆さん。KIAの活動には、幅広い年齢層の様々な経験をもつ方が関わっているそうです。そういった方々の輪の中に入ったり、小松市に住む外国人の方々と交流することで、小松市の魅力を再認識したり新しい世界を知ることができるといいます。「お金には代えられない経験と感動をたくさんの人と分かち合いたい。」と話す皆さんの姿に国際交流に対する熱量の高さと地域への想いの強さを感じました。

取材
JICA北陸インターン
石黒 歩