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【研修員受入事業】スリランカとマーシャルの若手行政官が、再生可能エネルギー発電について学びました!/ JICA Young Leaders Program: Online “Renewable Energy” for Realization of Zero Carbon City

2022年10月27日

今年度初開催となるJICA北陸の青年研修「再生可能エネルギーB」には、スリランカから8名、マーシャルから1名が参加して再生可能エネルギー発電について学びました。一般社団法人環境市民プラットフォームとやま(PECとやま)のご協力を得て、オンラインホワイトボード「miro」やグラフィックレコーディングも活用した双方向型のオンライン講座を実施し、最終発表には研修受講者の上司も参加してプログラムの成果を見届けました。2023年1月の「富山市SDGsウィーク」期間中に公開セミナーを開催予定です!(JICA北陸 野吾奈穂子)
JICA Hokuriku welcomed 8 officers from Sri Lanka and 1 officer from Marshall to the on-line Young Leaders Program, “Renewable Energy B” from September 1 to 30, 2022, in collaboration with Platform of Environmental Citizenship Toyama, Inc. They completed the program successfully learning through interactive live sessions and drafted the Action Plan as the outcome of the participation. Progress Report Presentation Seminar is planned during “Toyama City SDGs Week” in January, 2023.

島国ならではの再エネ導入の課題

カラフルなmiroの画面

9月1日から30日の日程で開催されたオンラインプログラムに、スリランカとマーシャルから計9名の若手行政官が参加して熱心に学びました。2か国とも島国でエネルギー問題は喫緊の課題ですが、手に入る資源も限られています。このプログラムではエネルギーが豊富な富山県の事例をふんだんに盛り込んで、太陽光、小水力、風力、揚水、バイオマス、水素、廃棄物の焼却発電・廃熱利用と7種類もの多様なエネルギーを扱いました。それぞれの技術的な特徴や発電現場の様子をショートムービーで紹介し、ライブ講義では導入時のポイントについて専門家による解説を行いました。

完成したグラフィックレコーディングを見ると講義の中身が一目瞭然!

プログラムの全体調整はPECとやまが、また、監修は富山国際大学現代社会学部の上坂博亨教授が務めました。研修手法のデザインは(株)たがやすが行い、参加者はただ知識を頭で理解するだけでなく、講義をとおして浮かんだ疑問をオンラインホワイトボード「miro」に書き込んで見える化したり、オンライン研修ではおなじみとなった「ブレイクアウトセッション」でのグループ討議を毎回行って、更に理解を深めました。ライブ講義中にはリアルタイムで見やすく親しみのある「グラフィックレコーディング」を記録。イラストを交えながら英語で討議経過をまとめる技術はまさに神業!完成したグラフィックを見ると講義の中身が一目瞭然で、講義の後でもふりかえりがしやすくなりました。

「どの情報もとても参考になった」とコメントしてくれたのはスリランカのカンケイヤンさん。特にスリランカの参加者の関心を集めたのは、太陽光、風力、小水力、揚水発電でした。すでにほとんどの水力資源が開発しつくされたスリランカでは、太陽光や風力が次のエネルギーとして注目されており、2019年からJICAによる技術協力が行われています。
一方で、「マーシャル諸島は平坦な土地で、川も山もない。主に利用しているのは太陽光発電です」と発言したのはベンさん。マーシャル諸島はそもそも温暖化による海面上昇で、陸地が水没するという課題が生じているという報告もありました。JICAでは2017年から、マーシャルを含めた島国に対して、「島しょ型ハイブリッド発電システム技術」の普及を支援してきました。これらの国々は電力エネルギーを輸入燃料(ディーゼル)に頼っているため輸送コストや価格の高騰による影響を受けやすいので、様々な発電方式を組み合わせて燃料コスト削減を目指しています。

SDGsと絡めて地域課題の解決をプレゼン

天候に左右される自然エネルギーは、大規模な発電が難しいエネルギー源でもあります。新しい施設を作るにはお金もかかります。そのことを十分理解して、各地域に見合った施設の計画を立てる能力が行政官には求められます。最終プレゼンでは各自が解決したい課題をどう解決するか、講座で得た学びを活かして考えを発表してくれました。忙しい中にも関わらず、参加者の上司も数名が同席して発表を聞いてくれたので、これからの再生可能エネルギーの導入に弾みがつくことを期待しています。

2023年1月の「富山市SDGsウィーク」期間中にはプログラム参加者による成果発表セミナーも公開形式で予定していますので、こちらもどうぞご期待ください!