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「二本松青年海外協力隊訓練所」とは?

#1 貧困をなくそう
SDGs
#10 人や国の不平等をなくそう
SDGs
#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2025.11.10

サムネイル
柳 竜也、JICA二本松

JICA海外協力隊は、これまでに約5万8千人の隊員が、99か国で活動してきました。今回は、派遣前の協力隊員(訓練生)に、「派遣前訓練」を行うJICA二本松の役割と、地域とのつながりをご紹介します。

JICA二本松訓練所の外観。天気が良い日はここで「朝の集い」と呼ばれる朝礼が行われる。

JICA海外協力隊と二本松青年海外協力隊訓練所とは?

1965年の事業開始から60年の間に、累計約5万8千人のJICA海外協力隊が、99か国で活躍してきました(2025年8月末現在)。このうち約1万5千人は、福島県二本松市にある「二本松青年海外協力隊訓練所(以下、二本松訓練所)」での派遣前訓練を修了し、各国へ派遣されました。同訓練所は1995年に開所し、今年2025年で設立30周年を迎えました。

地元の方々と二本松訓練所とのつながりとは?

二本松訓練所での派遣前訓練には、全国各地から20代から60代の幅広い世代の訓練生が参加しています。訓練生の多くは、実はそれまで福島県や二本松市を訪れたことがなかったそうです。

これまで訪れる機会の無かった土地に、一抹の不安や心配を抱えながらも、自らの意思で足を運び、初めて二本松駅に降り立つ訓練生たち。そんな訓練生を、地元の方々はいつも温かく迎え、親身に接してくださっています。長年にわたる地元のみなさまのご理解とご支援に、心より感謝申し上げます。

二本松駅で、訓練生たちの到着を温かく出迎えてくださる、「にほんまつ地球市民の会」のみなさん。

訓練生たちが、地域の方々との交流や現場の課題解決にともに取り組む様子。

二本松訓練所の近くには、全国的にも珍しい、酸性泉の岳温泉があります。岳温泉観光協会さんからは、元JICA海外協力隊などに向けて、「同窓会などの機会に、ぜひ岳温泉へお越しください」と温かいご案内をいただいています。安達太良山の山頂付近は、既に初冠雪し、そろそろ紅葉の季節が終わり冬が近づきつつあります。岳温泉とともに、この季節ならではの彩りを楽しみに、二本松を訪れてみませんか。

訓練で学ぶこととは?

約2か月にわたる集団合宿型の派遣前訓練では、訓練生たちは派遣先で必要となるさまざまな知識や経験を得ていきます。同じ志を抱きながらも異なる知見を有する仲間たちと出会い、互いに学び合い、支え合いながら、新たなネットワークを築いていきます。未だ足を踏み入れたことの無い国々への派遣を前に、ワクワクドキドキし、同時に不安や心配を抱えながら、少しずつ赴任への実感を深めていくのです。

訓練の大半を占める語学訓練では、少人数制で、隊員としての生活や活動で必要な言語を集中的に学びます。

語学訓練以外にも、異文化での関係構築に重要なコミュニケーションの手法など、さまざまな講座が用意されています。

99か国、約5万8千人分の経験談!

訓練や各赴任先での生活や活動を無事に終えた元JICA海外協力隊員は、帰国後も、国内外のさまざまな分野で活躍しています。
二本松訓練所は、地域のみなさまのご要望に応じながら、年間で約3千名を超える児童生徒や地域住民の方々に向けて、元隊員の体験談を聞いていただく機会を提供しています。

福島県内の中学校で、出前講座としてワークショップを行っている様子。

訪問学習では、施設の見学や元JICA海外協力隊員の体験談等を実施しています。

協力隊に興味がある方へ

「私にもできるのかな?」「語学って大変?」「安全面は大丈夫?」―――そんな疑問や不安を感じている方も多いと思います。

興味はあるけど、「協力隊って実際何をするの?」と迷っている方に向けて、相談ブースや協力隊セミナーを各地で実施しています。まずは、お近くのJICAデスクや国内センターの窓口へ、お気軽にご相談ください。あなたの“好き”や“得意”を活かして、世界とつながるチャンスが、きっと世界のどこかにあります。自分らしく、グローバルに活躍する未来を、私たちは応援しています。

個別相談ブースでは、協力隊の職種の選び方、語学訓練の様子、派遣後の健康面での懸念、帰国後の進路などに関する相談をよくいただきます。

看護学校生が、二本松訓練所での協力隊セミナーに参加し、保健医療系の分野で活躍した元JICA海外協力隊と交流する様子。

これからも、ともに!

最後に、私自身は2024年4月から二本松訓練所で勤務を始め、約1年半が過ぎました。これまで、東北地方や福島県に暮らしたり働いたりした経験がなかったので、赴任をとても楽しみにしていました。

実際に来てみると、当初の期待を大きく上回る魅力にあふれていました。四季折々の緑豊かな山々の景色、歴史や文化、美味しいものや楽しいこと、そして優しく愉快な方々との出会い。地域の絆や土地への愛着の強さを、あちこちで感じています。
だからこそ、30年前にこの地に訓練所が設けられ、地域の方々に支えられながら育まれてきたんだなぁと、深く納得しています。

今後も、多くの方々のご理解とご支援をいただきながら、協力し、切磋琢磨し合い、60周年を迎えたJICAボランティア事業、そして30周年を迎えた二本松訓練所が、より良い世界や地域づくりの一助となれるよう、関係者一同で尽力してまいります。

所長講話として、訓練生に「訓練にあたっての心構え」や「期待」をお伝えしています。

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