フィリピン向け円借款貸付契約の調印:フィリピンの気候変動対策・SDGs達成への協力を通じ、日比両国の関係深化に貢献
そしてクリーンに



2025.03.25
国際協力機構(JICA)は、3月24日、フィリピン共和国の首都マニラ市にて、同国政府との間で、「気候変動対策プログラム・サブプログラム2」、「ユニバーサル・ヘルス・ケア構築プログラム・サブプログラム2」、「パッシグ・マリキナ川河川改修事業(フェーズIV)(第二期)」、「カビテ州産業地域洪水リスク管理事業(第二期)」及び「ダバオ市バイパス建設事業(第三期)」の5件を対象として、円借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に調印しました。今回調印した円借款貸付契約が対象とする事業は以下のとおりです。
署名式の様子
案件概要
・国名
(対象地域)
フィリピン共和国(全土)
・事業目的
本事業は、フィリピンにおいて、財政支援を通じて気候変動対策における優先順位の高い政策等の実行を支援することにより、気候変動対策資金導入のための制度・体制強化、気候変動の影響に対する強靭性の強化、低炭素社会の実現に向けた計画・実施能力の強化を図り、もって同国の気候変動対策目標の実現に寄与するもの。
・事業内容
フィリピン政府、アジア開発銀行(ADB)とフランス開発庁(AFD)及びJICAにおける気候変動政策対話を踏まえて、以下の3つの政策分野に係る改革事項をまとめた政策マトリクスに基づき、セクター改革を推進する。
なお、本事業はADB(融資額:50,000万ドル)及びAFD(融資額:27,000万ドル)との協調融資であり、緊密に連携して実施します。
・国名
(対象地域)
フィリピン共和国(全土)
・事業目的
本事業は、フィリピンにおいて、財政支援を通じてUHCの達成における優先順位の高い政策等の実行を支援することにより、質の高い保健サービスへの公平なアクセスの改善を図り、もって経済の安定及び社会開発の促進に寄与するもの。
・事業内容
フィリピン政府、ADB、JICAとのUHC政策対話を踏まえて、以下3つの政策分野に係る改革事項をまとめた政策マトリクスに基づき、セクター改革を推進するもの。
1. 保健財政および医療保障制度の強化
2. 保健サービスの強化
3. 情報管理・説明責任の強化
・借款金額(上限)
300億円
・金利
1.5%
・償還期間
15年(うち据置5年)
・調達条件
一般アンタイド
・実施機関
財務省(Department of Finance)
・
SDGs
達成への貢献
ゴール3(すべての人に健康と福祉を)
ゴール5 (ジェンダー平等を実現しよう)
ゴール10(人や国の不平等をなくそう)
・今後の事業実施
スケジュール
(予定)
事業の完成予定時期:2025年4月(貸付実行を以て事業完成)
なお、本事業はADB(融資額:450百万ドル相当)等との協調融資であり、緊密に連携して実施します。
・国名
(対象地域)
フィリピン共和国(マニラ首都圏)
・事業目的
本事業は、フィリピンのマニラ首都圏において、パッシグ・マリキナ川の河川改修及び可動堰等の建設、並びに洪水に対する非構造物対策を実施することにより、マニラ首都圏中心部の洪水被害の軽減を図り、もって同地域の脆弱性の克服及び生活・生産基盤の安定に寄与するもの。
・事業内容
1.マリキナ川下流からマリキナ橋までの護岸建設・改修及び浚渫・拡幅(約8.0km)
2.可動堰(マンガハン堰 )1基建設
3.マンガハン放水路内の逆流防止水門2門及び1橋(橋長約35m)の架け替え
4.コンサルティング・サービス(詳細設計の確認、入札補助、施工監理、ハザードマップ作成等非構造物対策計画策定・実施支援、環境管理・モニタリング補助、住民移転支援・モニタリング、実施機関等への技能訓練等)
・借款金額(上限)
457億5,900万円
・金利
本体:0.65% コンサルティング・サービス:0.55%
・償還期間
40年(うち据置10年)
・調達条件
日本タイド
・実施機関
公共事業道路省(Department of Public Works and Highways)
・
SDGs
達成への貢献
ゴール11(住み続けられるまちづくりを)
ゴール13(気候変動に具体的な対策を)
・今後の事業実施
スケジュール
(予定)
1.事業の完成予定時期:2031年3月(施設供与開始時を以て事業完成)
2.コンサルティング・サービス(詳細設計等)に係る招請状送付予定時期: 契約済
3.本体工事にかかる国際競争入札による最初のパッケージの入札公示: 契約済
なお、本円借款には本邦技術活用条件(STEP)(注)が適用され、運搬性に優れ、通常の鋼矢板と比較して強度を保ったままコストを抑えることができる「ハット型鋼矢板+H型鋼工法」、及び振動・騒音抑制といった環境配慮の必要性から、日本企業が強みを有する技術である「ウォータージェット併用バイブロハンマ工法」を適用している。
(注)Special Terms for Economic Partnershipの略。わが国の優れた技術やノウハウを活用した途上国への技術移転を通じて、わが国の「顔の見える援助」を促進するために創設された円借款の供与条件。主契約は日本タイド、下請けは一般アンタイド。なお、主契約者は、本邦企業、海外に存する本邦企業の子会社、本邦企業と借入国との共同企業体(JV。本邦企業がリードパートナー)のいずれかであることが必要。また、一定の条件下において、本邦企業と本邦企業の持分法適用会社とのJV(本邦企業がリードパートナー)も主契約者となることが可能。
・国名
(対象地域)
フィリピン共和国(マニラ首都圏)
・事業目的
本事業は、カビテ州において洪水対策を実施することにより、産業集積地を中心とする同地域の洪水被害の軽減を図り、もって同地域の持続的・安定的な経済発展に寄与するもの。
・事業内容
1. サンファン分水路建設(約2.6km)・マリマンゴ分水路Ⅰ建設(約0.522km)
2. マリマンゴ分水路Ⅱ建設(約2.27km)・マリマンゴ排水路改修(約1.1km)、2河川改修(計6.2km)、移転地整備コンサルティング・サービス(詳細設計、入札補助、施工監理、非構造物対策の計画策定・実施支援、環境管理・モニタリング、住民移転支援・モニタリング等)
・借款金額(上限)
144億8,300万円
・金利
本体:2.25% コンサルティング・サービス:0.55%
・償還期間
30年(うち据置10年)
・調達条件
一般アンタイド
・実施機関
公共事業道路省(Department of Public Works and Highways)
・
SDGs
達成への貢献
ゴール11(住み続けられるまちづくりを)
ゴール13(気候変動に具体的な対策を)
・今後の事業実施
スケジュール
(予定)
1.事業の完成予定時期:2029年9月(施設供与開始時以て事業完成)
2.コンサルティング・サービス(詳細設計等)に係る招請状送付予定時期:契約済
3.本体工事にかかる国際競争入札による最初のパッケージの入札公示:契約済
・国名
(対象地域)
フィリピン共和国(南ダバオ州ダバオ市)
・事業目的
ミンダナオ島南ダバオ州ダバオ市において、同市の南端部と中央部にかけてバイパス道路を建設することにより、増加する交通量への対応及び市内の交通渋滞の改善並びに同市を核とするミンダナオ島最大の経済圏内の物流改善を図り、もってミンダナオ島の経済発展に寄与するもの。
・事業内容
1. バイパス道路の新規建設:29.6km(片側2車線)(道路トンネル、橋梁を含む)
2. コンサルティング・サービス(詳細設計、入札補助、施工監理、トンネル維持管理能力強化等)
・借款金額(上限)
463億3,800万円
・金利
本体:0.65% コンサルティング・サービス:0.55%
・償還期間
40年(うち据置10年)
・調達条件
日本タイド
・実施機関
公共事業道路省(Department of Public Works and Highways)
・
SDGs
達成への貢献
ゴール8(働きがいも経済成長も)
ゴール11(住み続けられるまちづくりを)
・今後の事業実施
スケジュール
(予定)
1.事業の完成予定時期:2027年12月(施設供与時を以て事業完成)
2.コンサルティング・サービス(詳細設計等)に係る招請状送付予定時期:契約済
3.本体工事にかかる国際競争入札による最初のパッケージの入札公示:契約済
なお、本円借款には本邦技術活用条件(STEP)(注)が適用され、当国初となる長距離道路トンネルに安全面、技術面で優れた日本のトンネル掘削・建設技術等が活用されています。
(注)Special Terms for Economic Partnershipの略。わが国の優れた技術やノウハウを活用した途上国への技術移転を通じて、わが国の「顔の見える援助」を促進するために創設された円借款の供与条件。主契約は日本タイド、下請けは一般アンタイド。なお、主契約者は、本邦企業、海外に存する本邦企業の子会社、本邦企業と借入国との共同企業体(JV。本邦企業がリードパートナー)のいずれかであることが必要。また、一定の条件下において、本邦企業と本邦企業の持分法適用会社とのJV(本邦企業がリードパートナー)も主契約者となることが可能。
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