JICA研究所の参加した中国対外援助研究の成果物が刊行されました

2013.02.05

日本経済評論社より、中国の援助について多角的な観点からの検討を通じてその全体像に迫ろうとした初めての学術書『中国の対外援助』が出版されました。本書は、公益財団法人日本国際問題研究所による「中国の対外援助に関する知的交流プロジェクト」の研究成果を発展させたものであり、同研究会の主査である下村恭民法政大学名誉教授と、大橋英夫専修大学教授、日本国際問題研究所が共同編集しており、著者としてJICA研究所から北野尚宏副所長と小林誉明リサーチ・アソシエイト(RA)が参加しています。

国際開発の分野において急速に存在感を増しつつある中国の対外援助については、JICA研究所でもかねてから注目し、以前から継続的に研究を重ねており(※1)、現在は中国を含む新興国の開発戦略を比較する「開発協力戦略の国際比較研究:G20新興国を中心に」研究プロジェクトを実施しています。今回、この研究成果の一端を紹介すべく、開発協力戦略の国際比較研究プロジェクトから、北野副所長と小林RAが執筆に参画することになりました。

中国対外援助書籍b.jpg

小林RAが担当した第二章「対外援助の規模、活動内容、担い手と仕組み」では、2000年以降、援助量が急増しているにも拘わらず明らかなっていない中国援助の規模の推移と仕組みについて、最新の公式資料や情報を基に5W1H(いつ、どこで、だれが、何を、どのように)を明らかにしながら推測し、まとめています。

北野副所長が担当した第四章「アジア諸国への経済協力—メコン地域・中央アジアを中心に」では、中国のアジア諸国との経済協力について、隣接地域であるメコン地域と中央アジアにおいて各国との関係を深化させる中国の動向について、援助のみならず貿易・投資を含めた総合的な観点から分析しています。

なお、本書の執筆陣が中心となって、研究成果の英文版を、Palgrave Macmillan社から出版するべく執筆中です。

(※1)その成果としては例えば以下のものが挙げられます。「中国の援助政策—対外援助改革の展開」『開発金融研究所報』第35号、How Do ‘Emerging' Donors Differ from 'Traditional' Donors?: An Institutional Analysis of Foreign Aid in Cambodia,” JICA-RI Working Paper, No.2、"Diversity and Transformation of Aid Patterns in Asia's 'Emerging Donors'" JICA-RI Working Paper, No.21、 「中国援助に関する「通説」の再検討—伝統ドナーからの乖離と途上国への開発効果」国際問題研究所編『中国の対外援助』国際問題研究所、「新興ドナー」の多様性と起源」『国際開発研究』第21巻、第1・2号。

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