関西から飛び立ち、途上国で頑張る!派遣中の協力隊を紹介します―Part33―【大阪府】

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氏名:新行谷 大輝(シゲタニ ダイキ)
出身地:大阪府
隊次:2021年1次隊
職種:観光


JICA海外協力隊参加のきっかけ

小学校6年生から中学校2年生まで、父の仕事の関係でエクアドルに住んでいました。当時エクアドルは日本人が少ないため日本人学校がなく、週末のみの日本人補習校に通い、日本で本来受けられる勉強の補完をしていました。そこでボランティアで講師をしてくださったのが、当時派遣されていた隊員の方々でした。授業中や休み時間に隊員と話す中で、そのユニークな経験と力強く活動されている様子に惹かれ、私も人生で一度は思い切った経験をしたいと考えたことがきっかけです。現地で生活しながら数学の教材作りや看護の様々な分野で活躍していた力強い姿は今でも印象に残っています。自身も社会人生活で得た経験を活かしながら協力隊として活動し、力強く生きたいと考え、参加を決意しました。

ご挨拶(自己紹介と活動内容)

こんにちは、新行谷大輝(シゲタニダイキ)と申します。ジンバブエの第2都市ブラワヨに観光分野の協力隊員として派遣されていました。

私が配属されていた観光業職業訓練校は、観光業に従事することを志している生徒の集まる学校です。全校生徒600名が在籍し、「宿泊」、「レストラン」、「調理」の3コースがありました。

私の活動は宿泊コースの生徒に対してのフロント業務や客室清掃の座学・実習講義の実施、そしてその資料作りでした。学外で行われる観光分野の展覧会などの短期プロジェクトがあれば、チームに参加し同僚教員と協力して取り組んでいました。さらに職業訓練校はホテルも運営しており、このホテルの品質・サービス改善も私の活動の一部でした。

ジンバブエからの帰国 2年間を振り返って

私は2023年8月2日をもって任期満了し、ジンバブエから帰国しました。水と電気が常にある不便を感じない生活が当たり前になり、2年ぶりに家族や友人との時間も過ごすことができました。

家族や友人からは、「ジンバブエでは、どういった活動してきたの?」とよく聞かれます。その質問に対して、「現地の観光学校で日本や日本の観光について紹介したり、学校が運営しているホテルで顧客満足度調査を取り入れてサービスの改善を図ったりした。」と答えています。その活動により、実際にどこまでの変化やインパクトのある結果を残せたかはわかりません。しかしながら、日本についての紹介を通じて学生たちに異文化交流の機会を作ったり、ホテルでは、顧客の声に意識を向ける機会を作ったりすることで、学生たち・共に過ごした同僚たちにこれまでとは異なるアプローチを経験してもらうことはできたと思います。自分が帰国した後も継続的に続けていく仕組みづくりまでには及びませんでしたが、この経験をどう消化して今後に繋げていくかは、個々人の取組にゆだねてジンバブエを後にしました。

活動自体が自分の思い描いていたレベルに及ばず、そのことに対して悔しさはあります。ですが、この2年間は活動全体よりも、活動を進める中で、私自身を含め、私が関わった人たちに芽生えた意識の変化に大きな意味があったのだと思います。現地教員や学生は、私という日本人と接することを通じて異文化を体験し、試行錯誤する中で、ちょっとした考え方や行動様式に「変化のきざし」をもたらせたと考えています。

そして私自身の変化を一つ挙げるなら、それは「人への伝え方への意識」です。物事を伝える行為は日本語でも難しいことです。文化や母国語が違うジンバブエ人が相手ではより難しく、うまく活動が進まない局面が多々ありました。そのたびに、学部長に相談したり、メールやテキストでのやり取りを増やしたり、パワーポイントを作成したりと試行錯誤しながら活動を進めました。一度うまくいったことでも、次の活動ではうまくいかないといったこともあり、活動ごとにアプローチを変え、「どうしたら彼らに自分の言いたいことが伝わるのか」を受け取り側の目線で考え、常に効果的な伝え方を模索していました。日本にいた頃の私は、伝え方をここまで工夫することなく過ごしていました。このジンバブエでの経験を生かして、これからも「人への伝え方」を意識し相手の視点にたった工夫を続けていきたいと思います。

帰国して振り返ってみると、協力隊活動はこうした小さな気づきや変化をもたらし続けることが重要なのだと思います。小さな気づきの積み重ねがやがて大きな変化になると信じています。

この2年間が実りあるものになったのは、常に気にかけてくれた配属先の教員、特にカウンターパートの存在が大きく、最後はその人達に向けての感謝の言葉で締めたいと思います。

Siyabonga (シヤボンガ)
ンデベレ語で「ありがとう」

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