【セミナー報告】-地域とつながる-JICA関西の職員と留学生が「災害時外国人サポーター講座」に登壇

2021年1月13日

会場の様子

2020 年9月5日(土)、京都府国際センター*1主催の「災害時外国人サポーター講座」*2にJICA関西の職員と留学生が登壇しました。災害時の外国人支援に関心のある方を対象にした講座には会場とオンライン合わせて75名が参加し、盛会となりました。

「本当は誰かに尋ねたかった」

橋本職員

当日、市民参加協力課の橋本職員はベトナム在住経験のある自身や知人の声をもとにベトナム人の特徴を多面的に述べつつ、時代背景・出身地・宗教等多種多様であることから互いを尊重して付き合うことの重要性を伝えました。またイノベーティブアジア第2バッチ・京都大学の留学生*3でパキスタン出身のRazaさんは、専門の防災の知見も用いながら京都在住の外国人・ムスリムとして、言葉や心の壁から十分に思いを伝えられない仲間の声を代弁し、賃貸住宅のオーナーによる外国人居住者に向けた災害・地域情報の発信や、果物やパンを活用したハラル非常食の導入などについて、積極的に提案しました。

Waqas Ahmed Razaさん

2人の発表を受けて、外国人サポーターである日本語学校勤務者などから「本当は誰かに尋ねたかった」と言わんばかりに、日頃外国人との付き合いで感じている戸惑いや疑問、関心の声がやまず、日本語と英語での活発な対話が繰り広げられました。

京都府国際センターの山本聖也さんにお話を伺いしました

山本聖也さん

当日を振り返り、京都府国際センターの山本聖也さんにお話を伺いしました。

「元々、学校や企業、宗教施設などを訪ね回って、日本に住む外国人の方達へ防災意識を深めてもらおうと取り組んでいました。その中でモスクを訪ねイスラム教の方達にお会いしたのですが、お祈りや食事などのライフスタイルが異なることを改めて感じ、これはいざという時に備えてお互いの認識を高めておかなければと感じました。そのタイミングでJICA関西の国際協力推進員である長谷川さんと連携について話があったので、一緒に講座を企画できないかということになりました。

結果JICA職員の橋本さんと留学生のRazaさんに登壇いただき、日本に多く住む外国人の方達の背景や気持ちを話していただけてとてもよかったと思っています。特にRazaさんはパキスタンのカシミール地方ご出身とのことで、ご本人が登壇者として一緒に講座を作っていただけたことに意義を感じています。Razaさんに発表いただくまでには互いに理解し合うために時間をかけて何度も打合せをしました。Razaさんが日本に住んで感じていること、講座にかける思いなど色々なことを話し合ったため、充実した発表につながったのだと思います。

今後もこのように日本に住む外国人の方達と一緒に講座を行い、地域の方達にも参加いただくことで、お互いの防災意識を高める取組を続けたいと思っています。災害時、私たちはどのように助け合えるのか、残念ながら情報が充分オープンになっているとは言い難く、途中で止まってしまっている情報がスムーズに共有されるよう間を取り持つのが国際交流協会の役目だと考えています。今後も若い世代を含め多くの方達が活動しやすくなるように働きかけていきたいです。」

日本に住む外国人、日本人、皆にとってよい防災の形を追求する山本さんへRazaさんからも「本講座を通じてパキスタンの防災システムを紹介し、また日本の防災システムを学べたことを大変ありがたく思います。山本さんと充分にコミュニケーションをとりながら発表の準備ができて本当に楽しかったです。」とのことです。

京都府国際センターの山本さんをはじめ皆さま、貴重な機会をいただき大変ありがとうございました。

地域とJICA事業との連携について

本講座の参加者の中にはJICA海外協力隊*4出身の方もおり、協力隊活動時に習得した外国語を活かして「災害時外国人サポーター」に登録されたとうれしい報告もありました。今後もJICA事業を通じて地域の皆さまのお役に立てるよう努めてまいります。詳しくはJICA関西*5もしくは各地域におります国際協力推進員*6にお気軽にお尋ねください。

市民参加協力課 橋本秀憲
業務第一課 鮫島綾子
京都府国際協力推進員 長谷川広一