【イベント報告】JICA留学生、和歌山県の地域産業を見て聞いて食べて学ぶ!

2021年11月26日

みかん収穫を満喫!

快晴に恵まれた11月6日(土)、京都・大阪・兵庫の大学院で学ぶJICA留学生(長期研修員)12名が和歌山県有田市と湯浅町を訪問。地域の産業について学びながら、訪問先の地域の方とも交流。コロナ禍で外出や旅行もなかなかできない状況が続く中ですが、感染防止対策に気を付けながら、1日を通して和歌山県について大いに学びました。(*写真撮影時のみマスクを外しております)

生産量が全国1位の和歌山のみかんについて知る

まず、青年海外協力隊としてタイに派遣経験がある大浦さん(下記関連リンクご参照)が勤務する有田市の早和果樹園を訪問し、みかん栽培の歴史や企業の取り組みについてお話を伺いました。

有田市を含む有田地域の気候や土壌、斜面が多いといった条件がおいしいみかん作りに適しており、有田みかんの栽培は今年(2021年)で447年の歴史があるとのこと。国内でのみかん収穫量が多くなることで価格が暴落した時期や、後継者が減る等の厳しい状況もあることを教わりました。

また、早和果樹園では生果のみかんの出荷・販売だけでなく、ジュースや漢方薬(陳皮)等、1つのみかんをまるごと加工する取り組みを行っているとのこと。付加価値を付けた加工品を販売することで、自社で栽培したみかんだけではなく、地域の農家さんからもみかんを高値で仕入れて使うことになり、地域の農業にも貢献しているお話を伺い、留学生からは驚いた声や深くうなずく等、様々な反応が見られました。また、現在13の国と地域に輸出をしていることも説明があり、特にタイの留学生は自国へ輸出されていることや大浦さんがタイの山岳地帯で梅・もも・柿等の普及活動を行っていたと聞き、とても喜んでいました。

とれたてみかんのおいしさに感激

ハサミで2回切る収穫の技を学ぶ

気持ちの良い青空の中、見渡す限りみかんの木が広がる園地に移動し、みかんの収穫方法を教えてもらった後、思い思いの場所に散らばり、みかんを収穫。大きさ、皮の色、実る場所の違いによって甘さや酸味のバランスが違うことを食べながら体験しました。また、日ごろ畑の管理をし、おいしいみかん作りに従事されているスタッフの皆さんも園地で迎えてくれ、英語や日本語を交え、JICA留学生たちはおいしいみかんの見分け方を聞いたり、自分の国の紹介をしたり、スタッフのみなさんが年齢の近い方だったこともあって、楽しくコミュニケーションをとっていました。

収穫体験をサポートいただいたスタッフの方からは『収穫体験をしてもらっておいしいと言う言葉を頂けてうれしかった。直接食べてもらい感想を聞ける機会は少ないので励みになった』『みかんを架け橋に外国の方と交流でき、とても珍しく貴重な時間で、楽しかった。何より早和果樹園のみかんを美味しいと言っていただけたことが嬉しかった』『新入社員1年目の私にとって、JICAの方々は初めてのお客様だった。畑に足を運んで下さり、みかんを口に頬張り「オイシイデス!」と笑顔で喜んでくださって、「私も農業やりたいです」というお言葉を直接いただけたことがとても嬉しかった。農業、そして有田みかんを通じ、国を越えて繋がれるのって素敵だと思った』『みなさんの笑顔を直接見ることができて良かった。また、みかん狩りに来てください』という感想もいただくことができました。

自身の夢について語り、質問する様子も

みかん収穫中のAngeloさん

Angeloさん(エチオピア)は大浦さんに「将来、農業をやりたいという夢があり、果樹園を持ちたいと思っている。初期投資を回収し、収益を得るには数年かかると思うが、どのような果物や農作物が一番良いか、成功の秘訣を教えてほしい」とかなり具体的に果樹栽培について大浦さんに質問。「栽培地の気候風土にもよるが、まず最初は小さく始めて3年後、5年後と計画的に規模を拡大すると良いのでは。水の管理・灌漑設備は重要であり農業技術管理について学び、経験を積むのも重要なポイント。1年を通じて収量が安定するトマトは栽培しやすい。最初は誰でも失敗することがあるが、何よりも大事なのは『諦めないこと』」と、丁寧な回答と熱いメッセージをもらっていました。

最後に、研修員を代表しMercyさん(ガーナ)がお世話になった早和果樹園の皆さまへ『和歌山の有田みかんや企業の歴史、おいしいみかんの見分け方を知ることができた。学んだことやみかんのおいしさを友人知人に伝え、ぜひ有田みかんのプロモーションをしていきたい。今日はみかんの収穫体験をさせていただき、ありがとうございました』と感謝を伝えました。大浦さんからは『秋の晴天続きで非常に味の良いみかんに仕上がり、最高の良いタイミングで来園頂く事ができて何よりだった。園地ではおいしいみかんの見分け方を熱心に聞かれ、自分で収穫を経験するなど、日本のおいしいみかんを堪能していただけたのではないかと思いました。弊社社員も普段交流の機会がない留学生の皆さまとお話をさせて頂き、貴重な経験になったと思う。ありがとうございました』と感想をいただき、双方にとって充実した時間となりました。

発祥の地で、醤油製造の様子を見学

巨大な杉樽

午後は湯浅醤油を訪問し、醤油蔵を見学。自分たちの身長を超える杉樽を前に、ガイドの方から醤油の歴史と製造方法の説明を受けました。

醤油は鎌倉時代に仏教を学びに中国へ渡った僧侶が金山寺味噌(食べるタイプの味噌)の製造方法を帰国後に和歌山へ伝え、その熟成の過程で染み出す水分を調味料として利用するようになったものが始まりであるという歴史の紹介があり、日本の伝統的な調味料と中国との関係や味噌と醤油の関係を興味深く聞いていました。

また、熟成に1年半~2年もかかることや、江戸時代の最盛期には湯浅に92軒あった醤油屋が4軒に減っていることを聞き、驚きの声が上がっていました。
杉樽を上から見学もでき、醤油がまさに熟成している様子を興味深く覗き込んでいました。

見学終了後にガイドの方に対して様々な質問が出る中で、「醤油と白醤油の違いは何ですか』という質問もあり、日本の生活の中で醤油に親しんでいる留学生がいることも分かりました。Savathさん(ラオス)からは「醤油の製造方法と歴史を知ることができ、今日のツアーで一番印象に残った」と感想がありました。

見学後は、様々な種類の醤油や金山寺味噌等を販売する店舗で醤油をお土産に購入する留学生もいましたが、ほとんどの留学生がカフェコーナーで醤油ソフトクリームを楽しんでいました。また、見学者へのプレゼントとして、湯浅醤油さんから醤油を一人ずついただき、自宅に戻ってからどう食べるか楽しそうに話しながら、帰路につきました。

ツアーの締めくくりに記念撮影

JICA関西では、JICA留学生が日本をより理解する目的で、関西各地を訪問し、伝統文化や産業の体験、地域の人々との交流ができるプログラムを実施しています。JICA留学生に関西の良さや関西の人々の温かさを直接知って感じてほしい、関西ファンとなって帰国してもらい自国と関西をつなぐ人材になってもらいたい、そういう思いで企画しています。コロナ禍のため、今後も直接訪問できる機会が限られるかもしれませんが、オンラインで参加できるイベントも企画してまいります。そのようなイベントでお目にかかる機会がありましたら、ぜひお気軽にJICA留学生にお声がけいただければと思います。

(業務第一課 吉田)