JICA留学生、和太鼓を通して高校生と交流

2021年12月7日

全員で記念写真。いい笑顔!

秋晴れが紅葉を輝かせる11月21日(日)、高槻市にある大阪府立芥川高等学校で、同校和太鼓部と、大阪の大学で学ぶJICA留学生(長期研修員)との交流イベントを開催しました。和太鼓を目にするのは初めてという留学生たちは、半日にわたる交流を通じて和太鼓という日本の伝統文化への理解を大いに深めました。(*写真撮影時のみマスクを外しております)

互いの楽器文化を知る

インドネシアの民族楽器を紹介するAfifさん

当日、まずはお互いに自国の楽器文化について紹介し合いました。
和太鼓部のみなさんは留学生が話す各国の楽器の数々について目を丸くして聞き、中には「その楽器、演奏してみたいな・・・」とつぶやく人も。
次に和太鼓部の顧問の先生から、「和太鼓は元々は行事で使われるものだったが次第にパフォーマンスのために使われることが増えてきた」、「ある地域の祭りでは人がまたがれるほど巨大な太鼓を何台も作って、地区ごとに競い合う」というような歴史や伝統についてのお話があり、留学生たちは前のめりになって聞いていました。そして和太鼓部が実際に演奏を披露してくれた際には、みんな次々と写真や動画を撮っていました。「このために高性能のカメラを持ってきた!」と一眼レフカメラを構える留学生もおり、肌がビリビリと震えるほどの圧巻の演奏に酔いしれました。

いざ和太鼓に挑戦!

いざ練習!恐る恐る叩いてみるAlpsさん(左)とArivarasanさん

そしていよいよ留学生も和太鼓を叩いてみます。
「手首を大きく回してバチを回転させて」など、英語表現がぱっと出てこないような動きの指導も、部員のみなさんはジェスチャーを使ったり見本を見せたりと、心をこめて教えてくれました。
基礎を学んだあとはこのあとに行う合同演奏の曲を練習します。和太鼓部のハイレベルな演奏を聴いた直後なので「簡単なリズムがいいな・・・」と尻込みしていた留学生も、部員のみなさんが身振り手振りも交えつつ何度も丁寧に教えてくれる内に緊張がほぐれたのか、笑顔や会話がだんだんと増えていき、あっという間に一時間の練習時間が終わりました。

合同演奏

一糸乱れぬフィニッシュ!

そしていよいよ合同演奏。今回は和太鼓部の皆さんに「練習用動画」を撮影いただき、それをJICA留学生が自宅で見て、太鼓の種類や叩くリズム、曲の雰囲気を事前に把握し当日の練習に参加する、という工夫を行いました。和太鼓部の皆さんがYouTube公式チャンネル等での発信に力を入れていたからこそできた、新しい取り組みでした。
まずは和太鼓部の皆さんの演奏からスタート。和太鼓に加えて笛や琴、舞踊など、様々な伝統楽器や表現を用いた数曲を披露してくれました。
再びの感動を堪能したのち、ついに和太鼓部と留学生の合同演奏。はっぴとハチマキで留学生たちはドキドキしつつも気合十分。本番では練習の成果もしっかり発揮し、堂々と太鼓を叩くことができました。また曲の合間にある留学生のための「ダンスタイム」では、みんなステージの中央に出て思い思いのダンスをノリノリで踊り、場を沸かせてくれました。和太鼓部と留学生が一体となった一曲を作り上げることができました。
また合奏後の挨拶では、和太鼓部と留学生の双方から「コロナ禍で思い出が作りにくくなっていた中、このイベントができて本当に良かった」「非常にいい経験だった」との声があがりました。

校内見学ツアー

教室や授業内容について、真剣に聞く留学生たち

そして最後は、有志の部員による校内見学ツアー。日本の学校について、校舎などの建築面や教室の設備、授業内容など、様々なポイントから説明していただきました。初めて日本の高校に足を踏み入れた留学生たちは非常に興味深い様子で、教室の設備について質問したり自国との違いについて述べたりと、熱心に聞いていました。

最後に、参加して下さった皆さんの感想を一部抜粋してご紹介します。

♪大阪府立芥川高校 和太鼓部♪
●今回の交流は、新型コロナで高校生活の思い出が少ない中、私たち和太鼓部員にとって貴重な時間になりました。最初、私たちは、留学生の皆さんに会えるという楽しみの反面、英語での会話で、どう接していけばいいのかという不安が入り混じった気持ちでした。しかし、実際の場面になると、留学生の皆さんは、私たちと同様に緊張していただろうにも関わらず、私が「こんにちは!」、「太鼓が上手ですね。」と声をかけると、笑顔で「こんにちは!」、「ありがとう!」と日本語で返してくれて、とても嬉しく、最初の不安は消えてしまいました。
 
●外国の研修員の方が来るということで、異なる言語の人々に自分の思いや、考えを伝えることはかなり難しいことだと思っていたのですが、いざ目の前で対面してみると、想像以上に自分の言いたいことが伝わって楽しかったです。外国の人でも、自分が気持ちを込めて真摯に相手と向き合うことで、相手も頑張って自分のことを理解してくれたので、誰とでも心を込めて対話することが大切だと思いました。
●今回、外国の人と話す機会が初めての経験だったので、やはり英語能力がないとコミュニケーションは難しいことに気づきました。大太鼓では打つタイミングに合わせて前振りでバチを大きく回すのですが、そのタイミングを伝える時にどう説明していいかわからず、苦労しました。なんとか研修員の方が理解してくれて、「なるほど、わかった。」という素振りを見せてくれたことで安心しました。僕は初めて会った人とすぐにコミュニケーションが取れるほうではないのですが、相手の方が笑顔で対応してくれたおかげで、僕も笑顔になって話すことができてとても濃い時間になったと感じました。研修員さんと交流して、伝えたいことがあってもすぐに英単語が出てこないということが何回もあって難しかったです。だけど、それが上手く伝わった時は嬉しくて楽しかったです。

♪JICA留学生♪
●このイベントに参加できてとてもうれしいです。日本の文化を深く学べてとても印象に残る経験となりました。今後も他のイベントに参加できればと思います。
(原文)I’m so happy to join this event, to explore the Japanese culture is such an impressive experience. I hope I can join other events in the future.

●和太鼓のような文化的イベントに参加することで、高い完成度を必要とする日本の芸術、文化、精神力について深く理解することができました。 仕事の細部にまで気を配り、高い完成度を追求する日本が、なぜ最も強力な国になることができるのかがわかりました。和太鼓を完璧に演奏していた1年生が、実はたったの3ヶ月しか練習できていなかったと知ったときは驚きました。 とても良いイベントに招待いただきありがとうございます。日本の良い精神を自分の国に持ち帰りたいと思います。
(原文)By attending JICA cultural events like Taiko we can understand deeply Japanese Art, culture, and work mentality that requires perfect results. Now I understand why Japan can become the most powerful country because they pay attention to every detail of work so that the results obtained are perfect. I am amazed when knowing that junior students just learn Taiko only for 3 months, but they can play Taiko perfectly. Thank you very much for inviting us in a very good event. I hope I can bring the good spirit of Japan to my country.


JICA関西は地域の皆さまと開発途上国をつなぐ場として、イベントやセミナー等様々な催しを開催しております。コロナ禍で対面イベント開催が難しい状況は続いておりますが、オンラインという新しい形での交流を企画し、対面イベントにおいても感染予防対策を十分に講じて運営いたしますので、ぜひご期待ください。

(業務第一課 西地)