2021年度研修事業説明会 実施報告

2021年5月31日

概要

JICA関西は、2021年度研修事業実施方針の理解促進と研修の効果的・効率的な実施を目的として、5月14日に研修事業説明会を実施しました。今年度は、研修実施機関や研修事業に関心がある機関の関係者107人にご参加いただき、各種ガイドラインの説明、2020年度に実施したオンライン研修の事例紹介による研修実施の工夫やノウハウの共有を行いました。
冒頭、JICA関西所長の佐藤から、2020年度、新型コロナウィルス感染拡大の影響に伴い、従来の来日研修からオンライン研修への切り替えを行いましたが、関係機関の皆様のご理解、ご尽力を得られた結果、JICA関西でも6~7割のコースをオンラインで実施できたことを感謝の意とともに伝えました。そして、2021年度について、引き続きオンライン研修を基本とすること、コロナ収束後もオンラインの強みを活かす形で取り組んでいくことを説明しました。

事例紹介

事例の1つ目として、防災学習アドバイザー・コラボレーターの諏訪清二氏より、防災教育制度の向上コースの取組事例の紹介がありました。オンライン講義・体験型実習・発表という実施形態に関しては、Zoomでのライブ配信、Google Street View(街歩き防災マップ作成)、工作(使い古しのTシャツでマスクや抱っこひも、担架など災害時に使える防災グッズ作成)、クロスロード(YES/NOカードを用いた防災ゲーム)など、オンデマンド配信とライブ配信の併用による様々なツールの活用を共有いただきました。また、研修員間の情報共有、ディスカッションが重要ととらえ、研修時間の前後も研修員が自由に対話できるような環境づくりの工夫も紹介されました。

2つ目として、JICA国際協力専門員の相川次郎氏より、市場志向型農業振興行政官コースでの工夫やオンラインの戦略的活用について発表がありました。オンラインならではの利点として、(1)日本の農業の現場で働く方々へのインタービューをおさめたショートビデオを活用した講義、(2)自国の状況を振り返る機会の創出(インターバル期間を設け、インターバル期間中に研修員の自国の課題の設定に取り組む)、(3)元研修員の活用が挙げられました。一方、オンライン研修の課題として、研修員の集中力と学ぶ雰囲気の創出が挙げられ、実際に取り入れた対策として各国首都のホテルやJICA事務所での合宿型研修の実施や初日アイスブレーキングの充実や研修時間の調整、ショートビデオ出演者によるライブでの質疑応答セッション、演習(グループワーク)など、研修員の積極的な参加とコミュニケーション維持のための創意工夫が共有されました。

最後に、JICA関西次長の佐藤より、今回の事例共有のような研修運営に役立つ勉強会等を今後も設けていきたいと考えており、ご要望があれば寄せていただきたいとして、閉会の挨拶としました。

参加者の声

・事例紹介を通じて、伝え方・研修方法について、積極的に取り入れていきたい内容も多々あったので、今年度の研修に活かしていきたい。
・オンラインによるコミュニケーションの希薄化を防ぎ、臨場感を出すための工夫を数多く知ることができ勉強になった。
・ファシリテーションを更に工夫することで研修員のモチベーション維持・向上に繋がると感じた。
・オンライン研修でも工夫次第で色々な事ができ、それが従来の研修以上に効率的・効果的になりうることをよく認識できた。
・オンライン授業をより魅力的・効果的に運営してくための様々なツールや方法の紹介をしていただけるとよい。
・経費の計上方法についての質疑応答が大変参考になった。
・ガイドライン説明の中で受託者が誤解しがちな箇所や間違えやすい事例を紹介いただけると、注意喚起になりありがたい。


JICA関西は、今年度も研修事業に携わる皆様のお力添えのもと、より良い研修員受入事業を実施していきたいと考えています。皆様のご協力を賜りますようお願い申し上げます。