【イベント報告】JICA留学生が堺の町を巡り、歴史や文化を学びました

2022年3月10日

(1) マイ味噌とともに記念写真

春の兆しをほのかに感じる2月26日(土)、関西の大学院で学ぶJICA留学生9人が大阪府堺市を訪問。堺市の歴史や産業について学びながら、訪問先の方々と交流しました。コロナ禍により外出や旅行がしにくい状況が続いておりますが、感染防止対策に気を付けながら、一日を通して堺市への理解を深めました。
(注)写真撮影時のみマスクを外しております

味噌を学ぶ

(2) 白い麹菌が見える!

まずは西区の醸造会社「雨風」を訪問。元禄2年(1689年)創業、今年で333年目という老舗企業です。当主の豊田さんから直々に味噌の歴史や文化、糀(こうじ)を使用する味噌作りの工程についてレクチャーを受けました。味噌の歴史は醤油よりも古く、お金のかわりとして使われていた時代もあったこと。堺が日本の商業の中心地として発展してきた中で様々な人や物が集まる中で、糀文化や味噌文化も栄えることになったこと。留学生からは最初「味噌と味噌汁は同じじゃないの?」といった質問が飛び出していましたが、豊田さんの熱意あふれる説明を聞いた後はすっかり味噌に対して興味津々に。また雨風はJICA関西の民間連携事業による支援のもとカンボジアへの事業展開を計画中であり、「日本で長年培われてきた糀づくりの技術を海外へ広めたい」というお話を留学生は興味深く聞いていました。

いざ、味噌づくり!

(3) 大豆をつぶす作業。この後、全員立ち上がって全力投球

いよいよ味噌づくり体験。豊田さんの説明を受けながら、ひとつずつ手順を進めていきます。茹で大豆をつぶす作業は中々の重労働!体重をかけて手のひらで潰していくのですが、最初は「楽しい!」とはしゃいでいた留学生も、次第に「手が疲れた…」「エクササイズしているみたい…」とバテ気味の様子。豊田さんに手伝ってもらいつつ、塩を混ぜた糀を加え、固さを調整しながら団子にまとめて、空気を抜くように保存容器へ詰めていきました。
ようやく完成した味噌を手に満足そうな留学生たち。ですが、これから発酵させるのですぐには食べられないよ~と言われ一同ショック!しかしご安心を。なるべく早く食べられるように発酵時間の短い白味噌を選んでいます。2か月もすれば食べられるよと伝えるとほっとした様子でした。
その後は特別に様々な味噌を食べ比べさせてもらったり、併設の味噌販売店をのぞかせてもらったりと、充実した時を過ごしました。

古墳を学ぶ

(4) 古墳群の写真を見ながら説明を受ける留学生たち

続いては堺区の仁徳天皇陵古墳へ移動。昨年に新設された「百舌鳥古墳群ビジターセンター」を中心に、堺市の歴史や文化、そして仁徳天皇陵をはじめとする古墳群について、展示品や迫力のシアター映像を見ながら学びました。天気が良かったので仁徳天皇陵古墳の拝所入口まで歩いたのですが、留学生に「いま見えている端から端まで、一つのお墓の一部なんだよ」と伝えると、その規模の大きさに感動していました。

包丁を学ぶ

最後は同じく堺区の刃物会社「和泉利器製作所」へ。文化2年(1805年)創業、今年で217年目という、こちらも老舗企業です。会社内に包丁の歴史資料館をお持ちで、数百年の歴史を持つ貴重な品々を見ながら、会長の信田さんが堺刃物の歴史や種類について説明して下さいました。
堺の町は刃物で有名ですが、その理由をご存知ですか?実は、古墳がつくられた時代にたくさんの人が堺の地へ集められた結果、刃物を含む多様な文化が生み出されたのだそうです。工業の機械化が進む現代ですが、こちらの包丁は多くの部分が職人による手作業。作り方を紹介する映像を見た留学生たちは、一本の包丁を作るためには途方もない数の作業工程が必要なのだと知り、驚きを隠せない様子でした。

嬉しいサプライズ!包丁を研いでみよう!

(5) 研いでみよう!

資料館を見学した後は工場へ。職人さんによる包丁研ぎの様子を見学させてもらう予定だったのですが、なんとご厚意により留学生が研ぎ体験をさせてもらえることに。喜んだ留学生は我先にと包丁の前に立ち、慎重に砥石の上で滑らせていました。
「みんなが家の包丁を自分で研げるように」という信田さんの優しい思いをしっかりと受け取った留学生たちは、口々に感謝の言葉を述べていました。またある留学生は、217年という長きにわたりビジネスを続けてこられた秘訣を質問。信田さんの「コツコツ続けること。欲張らないこと。」という回答に感じ入っていました。

留学生からの声

このように盛りだくさんの一日を終え、充実した面持ちで帰路についた留学生たち。感想を抜粋してご紹介します。

●日本文化を知る素晴らしい機会をいただき感謝します。日本文化について学びを深められただけでなく、自国の文化をより豊かにするヒントを得ることができました。今後の人生にきっと活かせると思います。
(原文)Thanks very much for giving us this fabulous opportunity of learning about Japanese culture. I’ve learned things that not only increased my understanding of Japanese culture but also enriches my own culture and will also help me in my future life.

●JICA留学生であればこそ、学問を勉強するだけでなくこのようなイベントにも参加できました。豊かな日本文化について理解を深める機会を得られてとても嬉しいです。素晴らしい体験へ感謝すると同時に、次回のイベントを楽しみにしています。
(原文)Such events make me so happy about being part of JICA as I feel like I get more opportunities than other international students to deepen my knowledge about Japan and the rich Japanese culture. Thank you very much for such amazing opportunity and I look forward the next adventure 😊

●今回の探訪で、333年間の歴史がある味噌、古墳、そして7世代にわたり作り続けられてきた、日本刀よりも切れ味の鋭い包丁について、素晴らしい仲間と共に学ぶことができました。ぜひまた体験したいです!
(原文)This day allowed me to take a trip of 333 years with Miso, a trip with the Tumulus, a trip of 7 generations with kitchen knives sharper than a Katana and finally a trip with a JICA team and awesome students. An experience to repeat absolutely!

●とても楽しいイベントでした!歴史や文化に大きな関心があるので、今回のイベントは本当に良い経験となりました。特に味噌作りが気に入りました。次回のイベントを楽しみにしています!
(原文)The event was fun! I have always been interested in learning history and culture so it was a really nice experience to join the event. Miso making activity was my favorite one. Looking forward to the next event!


JICA関西では、JICA留学生が日本をより理解する目的で、関西各地を訪問して伝統文化や産業を体験し、地域の人々と交流できるプログラムを実施しています。JICA留学生に関西の良さや人々の温かさを直接知って感じてほしい、関西ファンとなって帰国し、自国と関西をつなぐ人材になってもらいたいという思いで企画しています。コロナ禍のため今後も直接訪問できる機会が限られるかもしれませんが、オンラインで参加できるイベントも企画してまいります。そのようなイベントでお目にかかる機会がありましたら、ぜひお気軽にJICA留学生へお声がけいただければと思います。

(業務第一課 西地)