• ホーム
  • JICA関西
  • イベント報告
  • 2023年度
  • 「フランコフォニー月間2023」講演会—「ベナン/セネガルで芽吹く草の根大使たち~アフリカ諸国でのJICA海外協力隊の活躍」を実施しました。

「フランコフォニー月間2023」講演会—「ベナン/セネガルで芽吹く草の根大使たち~アフリカ諸国でのJICA海外協力隊の活躍」を実施しました。

2023年5月8日

4月13日、4月20日「フランコフォニー月間2023」にてJICA海外協力隊についての講演を実施しました。フランコフォニー月間とは3月から4月にかけて関西日仏学館で実施された、多様性の観点からフランス語とフランス語圏の文化を紹介する連続イベントで、多彩な分野にわたる催しが京都、大阪などの各地で開催され、関西センターからも講師派遣を通して協力しました。

4月13日講演 ベナン編

ベナン共和国での活動紹介

街の雑貨屋さんでは、お釣り用の小銭を用意していないと売ってもらえない・・・

アクセサリー制作とアフリカ布を用いた衣服制作

4月13日は、西アフリカに位置するベナン共和国での隊員体験談を関西センターの梅影が講演しました。前半は、ベナンでの人々の生活や習慣などを紹介し、ベナンを発祥の地とするブードゥー教のことやベナン人の服装、街並み、交通事情についてお話しました。乗り合いタクシーで運転席と助手席の間に一人座らないといけないことや、押さえておかないと外れるドアのエピソード、雑貨屋さんでお釣りがある場合、小銭を買い手が用意しておかないと購入を拒否されることなど日本では想像もしていなかったエピソードを披露しました。
 
後半は、ソーシャルワーカーとしての隊員活動について紹介しました。派遣された地域の福祉センターでは、予算が限られており思うように活動のスタートを切れなかったこと、支援することになる孤児院の院長との出会いから当時の孤児院の窮状や課題解決へ向けて取り組んだことなどをお話しました。

JICA海外協力隊の事業は、派遣期間の2年間の間にすべての隊員が華々しい成果を残せるとは限りません。しかし、派遣された国の任地であるその町にとっては、たった一人の国を代表する日本人となること、その期間一緒に過ごした人々の記憶には、特別な体験として長く残ります。そのことを後に他国で協力隊事業をサポートする立場になった時、たくさんの現地の人々の話を通じて知りました。隊員にとっても、現地の人々にとっても風化しない記憶こそがJICA海外協力隊の魅力であると思います。

4月20日講演 セネガル編

セネガルでの活動紹介

4月20日は、西アフリカに位置するセネガル共和国で小学校教育の職種で活動した江川 雅美さんが講演しました。
世界遺産のゴレ島やサン=ルイ島をはじめ「星の王子様」にも出てくることで有名なバオバブの木があり、西アフリカの玄関口と言われるセネガルの魅力を豊富な写真を交えて話していただきました。印象的だったのは、「テランガ」と呼ばれるセネガルのおもてなしの文化についてのお話です。セネガルでは初対面でも「ご飯を食べにおいでよ」、「お茶を飲みにおいでよ」と誘われ、ご馳走になると「我が家でくつろいでくれてありがとう」と言われたこともあるそうです。イスラム教の影響が強いセネガルの文化は、「人に与えれば、自分も幸せになれる」という考え方をするのだということでした。会場にお越しになった方には、バオバブの実の実物を見ていただきました。

セネガルの主食は「お米」で、日本人より米の消費量が多いことに皆さん驚かれていました

協力隊活動の目的は情操教育の普及でしたが、当時のセネガルの小学校では、音楽、図工、体育などの授業はほとんど実施されていない状況だったそうです。先生たちも授業を受けた経験がなく、教員養成校で理論は学ぶものの、どうやって進めていくのかもイメージが難しいようでした。そこで子どもたちだけでなく先生にも情操教育の楽しさを知ってもらおうと、運動会や音楽発表会、図工展覧会を企画され、先生たちを巻き込んで一緒に取り組んだ様子を生き生きと話してくださいました。先生たちも成功体験としてしっかりと記憶に残ったようでした。

小麦粉と水だけで糊作りなど、現地にあるもので工夫しながら先生も子どもたちも楽しめる情操教育の実践

講師にとっても、現地で過ごした日々は今も鮮明に記憶に残っているとのことでした。任期終盤には同僚から「あなたが私にとっての日本大使だよ」と言われたエピソードが紹介され、「草の根の活動は結果が目に見えにくいですが、ずっと一緒に活動してきたからこそ言ってもらえた言葉は素直に嬉しかった。これまでに派遣された5万人以上の草の根大使たちが任地で過ごした時間は、とても意味のあることだと思います。」と話されました。
 
両講演会とも質疑応答の時間や講演会後にたくさんの質問をいただきました。本講演会でJICA海外協力隊の活動とその魅力を少しでもお伝えすることができたのであれば幸いです。ご来場いただいた方、また会場の提供をはじめ、講演にかかる様々な手配をご助力いただいた関西日仏学館の皆様、誠にありがとうございました。