故 大島 賢三 元国連大使(元JICA副理事長)を偲ぶシンポジウムー国際社会における防災協力と人道支援ー

5月22日に、関西センターもメンバーである国際防災・人道支援協議会(DRA)の主催で、故 大島 賢三 元国連大使(元JICA副理事長)を偲ぶシンポジウムを開催しました。DRAの関係機関や一般からの参加の方など、オンラインも含めて約140名が参加しました。

2023年5月24日

故人を偲び、思いを新たに

パネルディスカッションの様子

会場風景

登壇者集合写真

2021年5月に逝去された大島賢三氏は、阪神淡路大震災後の神戸市の東部新都心(HAT神戸)にJICA関西センター、国連人道問題調整事務所(OCHA)神戸事務所などの誘致に尽力され、同地における防災・人道支援の国際的拠点の形成に寄与されました。

冒頭、五百旗頭 真 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長の主催者挨拶では、今回のセミナーを主催しているDRAには知的な機関が集積して人間の安全保障にかなった活動が行われていることに触れ、この集積は大島元大使のご尽力で実現できたものであり、関係する様々な機関との広い関係の中で大島元大使の思いを理解することが必要と述べられました。

来賓挨拶として、姫野 勉 政府代表/特命全権大使(関西担当)からは、人のためになることをしたい、困っている人を助けたいという思いを持ち、バイタリティにあふれ、仕事熱心な先輩であった大島元大使のお人柄が紹介されました。

その後、参加者全員で黙祷を捧げ、故人追悼動画を視聴しました。

基調講演では、井戸 敏三 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構特別顧問(前兵庫県知事)から、大島元大使と兵庫県のつながりについて、そのきっかけから説き起こし、県が防災を通じて国際貢献をしている現在の状況に至るまでには大島元大使の大きな貢献があったことが紹介されました。


続けて基調講演を行った星野 俊也 国連合同監査団(JIU)監査官からは、大島元大使が推進した外交の特徴・こだわり(共感、使命感など)が「大島外交」として紹介されました。「大島外交」のレガシーを受け継ぎ、平和と繁栄の持続可能な未来を築くために、我々の行動を転換し、連帯して新しい時代を作っていく必要性が指摘されました。

その後、「これからの国際防災協力・人道支援と日本/兵庫の役割」をテーマに行われたパネルディスカッションには、阿南 惟茂 元駐中国日本国特命全権大使、芹田 健太郎 神戸大学名誉教授、河田 惠昭 人と防災未来センター長、宮崎 桂 JICA理事の4人がパネリストとして登壇しました。
各パネリストから発表された大島元大使とのかかわりやエピソードを通して、大島元大使の人柄・事績が立体的に描き出され、HAT神戸の国際化・防災拠点化に大きな役割を果たされたことに改めて思いを馳せました。

今年2月にトルコ南東部で発生した大地震や昨年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、天災のみならず人災においても、国際的な人道支援活動、防災・復興活動が必要とされる場面は無くなっていません。

支援が必要な場面において、支援を必要とする人々をひとくくりに「数」でとらえるのではなく、思いやりや共感を持って、一人一人の人間を目の前に思い浮かべて対応する。それが連帯につながる。生前の大島元大使のお人柄にも触れつつ、登壇者の皆様のお話を通じて、そのような人道支援の必要性について考えを深めることができたセミナーとなりました。