「阪神・淡路大震災」25年を迎えて

研修コース名: 中南米災害医療マネージメント
研修期間:2019年10月14日から11月30日まで

「阪神・淡路大震災」の教訓を未来に活かし、世界に還元する

1995年に発生した「阪神・淡路大震災」。近代日本が初めて経験した都市直下型地震は甚大な被害をもたらしました。その未曾有の大災害から2020年で25年の月日が経とうとしています。その間、兵庫県は当事者でないと分かり得ない痛みを経験で終わらすまいとして、震災で得た教訓を未来に活かすための取り組みを続けてきました。

さらにその教訓を世界に還元するために、震災から10年目に開催された「国連防災世界会議」でその後の世界の防災の指針となる「兵庫宣言・兵庫行動枠組2005-2015」が採択されたのを機に、兵庫県とJICAは共同で国際防災センター(Disaster Reduction Learning Center:DRLC)を設立しました。

「中南米災害医療マネージメント」研修に参加したマルコさんよりメッセージ

写真中央、眼鏡をかけた男性がマルコさん。

JICA関西/DRLCは、関係機関の皆さまのご協力のもと、豪雨・地震などの自然災害が頻発している開発途上国の行政官や防災機関関係者、災害医療従事者らを招いて専門的な研修を行ってきました。その数は2018年時点で100か国・2700人以上にのぼり、母国に帰った研修員は防災教育施設を設立したり、災害医療チームを創設したりと様々な形で知見を活かしています。

本年10月中旬から11月末、中南米の災害医療従事者を対象とする「中南米災害医療マネージメント」研修を実施しました。参加したボリビア・オルロ県の保健局に勤務するマルコさんより帰国後にメッセージが届きましたので紹介いたします。

「日本という素晴らしい国で災害への迅速な対応を学び、日本の文化に触れたことは忘れがたい経験となりました。しかし、私が最も学んだことは研修を通じて出会った『人々』そのものです。今の日本の発展は彼らのおかげと言えます。彼らは各々の立場において、可能性を最大限に引き出せるように仕事していました。親切かつ協力的で、思いやりや教養がある方達でした。志を共にする私たちは日本で出会った皆さんのことを決して忘れません。いただいた知見を必ず今後に活かしていきます。」

マルコさんはじめ本研修には、ボリビア・チリ・コロンビア・エルサルバドル・メキシコ・ニカラグア・ペルー7カ国から8人の研修員が参加しました。中南米諸国は歴史や地理的な視点から見るとそれぞれに異なる部分もありますが、災害医療という同じ目的に向かい日々研修を通じて交流を重ねた研修員の皆さんには、家族のような絆が生まれていました。

このような研修をご指導・ご支援いただきました兵庫県災害医療センターの皆さまを始め、兵庫県下で防災やコミュニティづくり等の活動に従事されている皆さま、研修旅行でお世話になった皆さまに心より御礼申し上げます。今後ともJICA関西/DRLCは防災・減災にかかる日本の豊富な知見を取り入れた研修を行い、強靭な社会づくりに貢献してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。


「中南米災害医療マネージメント」研修概要
○兵庫県災害医療センターにて兵庫県や日本の災害医療体制を学ぶ
○災害派遣医療チーム(DMAT)研修を通じて関係機関との連携や人材育成を学ぶ
○災害種や規模に応じた医療活動を学ぶ
○各被災地における災害対応を学ぶ(阪神・淡路大震災/東日本大震災/熊本地震/雲仙岳災害)