災害の教訓を分かち合ってくださった皆さまへ

研修コース名: 中南米災害医療マネージメント
研修期間:2019年10月14日から11月30日まで

災害の教訓を分かち合ってくださった皆さまへのメッセージ

【画像】今日で阪神・淡路大震災から25年の月日が経ちました。兵庫県の皆さまは当事者でないと分かり得ない痛みを教訓に変えて、国を超えたたくさんの人達に共有くださっています。JICA関西においても兵庫県と共同で設立した国際防災センター(Disaster Reduction Learning Center:DRLC)と共に、豪雨・地震などの自然災害が頻発している開発途上国の行政官や防災機関関係者、災害医療従事者らを招いて専門的な研修を行ってきました。今回は昨年の10月から11月にかけて実施された「中南米災害医療マネージメント研修」の参加者から兵庫県はじめ災害の教訓を分かち合ってくださった皆さまへのメッセージをお伝えいたします。

○ボリビア・オルロ県の保健局に勤務するマルコさん
「日本で災害への迅速な対応を学び、日本の文化に触れたことは忘れがたい経験となりました。中でも、私が最も学んだことは研修を通じて出会った『人々』そのものです。今の日本の発展は彼らのおかげと言えます。彼らは各々の立場で可能性を最大限に引き出せるように仕事していました。親切かつ協力的で、思いやりや教養がある方達でした。志を共にする私たちは日本で出会った皆さんのことを決して忘れません。いただいた知見を必ず今後に活かしていきます。」

○チリでERの医師を務めるマックスさん
「阪神・淡路大震災をきっかけに設立された災害急性期に活動できる機動性を持った医療チーム「DMAT」(Disaster Medical Assistance Team)の研修を見学しました。地域を超えて安定した治療を提供している点で、大規模災害に適したいい組織だと思いました。帰国後は日本で学んだことを生かし、災害対応の標準化や救命ユニットの設置に取り組んでいきたいと考えています。」

○コロンビアの市民保護局に勤務するグロリアさん
「阪神・淡路大震災の経験を生かし、今どのように日本の災害医療が行われているのかを学びました。研修旅行では各被災地での災害対応を学んだことに加え、各地で災害を伝承するために遺構を残したり、記念館を設置したりされていることに感銘を受けました。また、講義や実習で指導いただいた講師の皆さまに感謝いたします。」

○ニカラグアの保健省に勤務するセイディさん
「阪神・淡路大震災を機に、被災者や被害者のトラウマやその結果として生じる心的外傷後ストレス障害をサポートする兵庫県こころのケアセンターを訪れました。心の傷を克服するのは最も過酷なことと思いますが、その人達を支える現場でした。ここで働く方達はご自分も被災した苦しい経験をお持ちかと思いますが、ご自分や家族のことだけでなく他の方々も助けようとするその意志を素晴らしいと思います。このような情熱を持つ人々に会えたことに感謝いたします。」

○エルサルバドルで消防庁に勤めるフェデリコさん
「東日本大震災の現場を訪れました。宮城県気仙沼市では、現場を目の当たりにして津波の脅威に言葉を失いました。震災による延期の後実施された卒業式の答辞、天国の家族に向けたメッセージなどを見る機会があり、涙が込み上げました。再建に向けて立ち上がり、前に進んでいる勇気を心から尊敬します。皆さんは世界の模範です。私は帰国したらこの様子を自分の勤務先だけでなく関係機関に共有して働きかけます。」

○メキシコの災害対策センターの所長をしているガブさん
「東日本大震災の現場を訪れました。岩手県陸前高田市では現地の皆さんのレジリエンスの力に感動しました。愛着のある土地にも関わらず、皆さんは居住地を高台に移し防災を意識した新しい街づくりに協力しています。その姿が印象に残りました。私の母国メキシコでは一度被災した土地でも一旦落ち着くとまた同じ土地に人々が住んでしまうため、その人達の安全をどう守るか今後課題に取り組んでいきます。」

○ペルーのロアイザ国立病院で救急医をしているモニカさん
「広島の原爆ドーム・雲仙普賢岳・熊本地震の被災地の現場を訪れました。さまざまな種類の災害を克服し、過去のことを忘れずに日々の対応と準備を改善する力が印象深いです。博物館や記念碑は、私たちにそれらの苦しい瞬間を思い出させますが、同時に学びもあり、それは将来への大きな希望にもつながります。現地に足を運んでその現場に関わった人から直接話を聞くからこそ得るものは大きいです。素晴らしい研修をありがとうございました。」

○ペルーのカリヨン病院で医師をしているジュリさん
「広島の原爆ドームを訪れ、ここから立ち上がった日本の皆さまの心と意志に触れることができました。人的災害である原爆について考えさせられ、他の国が二度と同じことを経験しないように、皆様の取り組みを伝えていくことが大事だと感じました。私が所属している病院では過去にもこの研修に参加させていただいたメンバーがいて、研修で得た知見を日々の業務に活かしています。」

「中南米災害医療マネージメント」研修では、兵庫県や日本の災害医療体制をはじめ、災害派遣医療チーム(DMAT)研修を通じた関係機関との連携や人材育成、災害種や規模に応じた医療活動等を学び、各被災地(阪神・淡路大震災/東日本大震災/熊本地震/雲仙岳災害)への訪問を通じて各地の災害対応について知見を深めました。このような研修にご尽力くださった兵庫県災害医療センターの皆さま、兵庫県下で防災やコミュニティづくり等の活動に従事されている皆さま、研修旅行でお世話になった皆さまに心より御礼申し上げます。JICA関西/DRLCでは、今後過去に参加された研修員の今を取材予定です。また、これからも防災・減災にかかる日本の豊富な知見を取り入れた研修を行い、強靭な社会づくりに貢献してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。