地域とつながる 栗東国際交流協会の続く挑戦!JICA関西の伴走!

栗東市の様子
一般社団法人栗東市観光協会提供

JICA留学生との交流事業でお世話になっている栗東国際交流協会(RIFA)(*1)を紹介させていただきます。同協会は、日本一大きい湖「琵琶湖」の東岸、南に位置する滋賀県栗東市にあります。JRの駅の開設や名神高速道路栗東インターンチェンジの設立によって人口増加となり2001年10月に「栗東市」となった人口7万人ほどの都市です。市内にはその利便性ゆえに製造業・商業・流通業など数多くの企業が立地しています。

栗東国際交流協会(RIFA)は1999年に設立されました。1975年に設立されたRIFAの前身である栗東国際友好親善委員会では姉妹都市・友好都市交流を中心に「内なる国際化」に取り組んでいました。市内の企業で働く外国籍の方たちの増加に伴い、外国人生活相談窓口を設立するなど活動範囲を広げ、2019年のRIFA20周年記念時には「ともに生きるまち栗東」を活動方針に掲げました。滋賀県商工観光労働部観光交流局調べでは、2020年にブラジル、中国、フィリピン、ベトナム、ペルーなど約1400人の海外出身の方が栗東市に住んでいます。

栗東国際交流協会の小松原さんにお話を伺いました

左から2番目が小松原さん

過去の『世界と出会う交流広場』の様子

栗東国際交流協会とJICA関西(*2)のお付き合いが始まったのはもう20年ほど前のことになります。「世界と出会う玉手箱」というイベントにJICA海外協力隊出身者(*3)が登壇し、派遣された国の文化を紹介したのが始まりです。その後も日本の大学院への留学目的で来日したJICA留学生をイベントに招いていただいたりとお付き合いが続いています。「自分達の知らない世界の魅力」をJICA事業を通じて発信してくださる栗東国際交流協会の副会長兼文化交流委員会委員長、小松原賢治さんに活動内容についてお伺いしました。(以下、発言内容)

「せっかくたくさんの外国籍の方が栗東市に来られたのだから、充実した生活を送っていただきたいと考えています。相談窓口・日本語教室の実施だけでなく市民の方との交流の場を提供できるよう英語教室やお弁当作り、恵方巻づくりなどのイベントを行ってきました。

2015年頃でしょうか。近辺の大学に通う留学生の方たちもイベントに参加していただけるようになり、イスラム教徒やベジタリアンの方が来てくださるようになったので、イスラム教の方には豚肉やアルコールが含まれる飲み物や食べ物を提供しない、ベジタリアンの方たちには味噌汁にかつおだしを使わないなどのルールについても調べながら対応しています。ただ、都市部とは異なりイスラム教の方が口にできる『ハラル』認証のお肉を取り扱っているお店はないため、調べては探しと、一から作り上げる形ですね。

そうやって交流は順調のように思っていたのですが、ある時『昨年は参加してくれた方たちが今年は参加しない』といったケースが続いていることに気づきました。調べてみると、その方たちは近隣企業に勤める『技能実習生』の方で、一定期間の勤務を終えて母国に帰っていたんです。せっかく仲良くなったのに離れてしまうのはさみしいですが、会える時に誠意を込めて交流できていれば、帰国後もまたきっと会えるだろうと思っています。実際、Facebookで繋がって、帰国後に結婚報告などうれしい連絡をもらうこともあるんですよ。

他方課題は、先述の理由から栗東市は数年のサイクルで外国籍の方たちが入替るため、常に相談窓口の告知や交流事業への参加促進を限られたマンパワーで行わなければいけないという点です。このため栗東市に在住の方にもぜひお力を貸していただきたいと考えています。その仕組み作りをJICA関西からも意見をいただき、2021年10月に外国籍の方や栗東市に在住の皆さんが子供から大人まで楽しめるような交流企画『世界と出会う交流広場』を思案中です。ぜひ遊びに来てください。

海外から来られた方は私たちの知らないことをたくさんご存知です。そして私たちは『同じ人間』なので、その魅力を外国籍の方・栗東市に在住の皆さん双方に体感していただけるような取組に向けて、これからも試行錯誤の上努力を重ねていきます。」

地域の数だけ交流の形があることなど貴重な気づきをいただきました。栗東国際交流協会の小松原さん、皆様、大変ありがとうございました。

地域とJICA事業との連携について

2019年の「世界と出会う交流広場」にJICAの留学生が参加し母国の文化紹介を行った際、「ブースを尋ねてきてくれた子供と留学生がハイタッチした!」とうれしそうにお話くださった小松原さんを今でも覚えています。地域の特徴を踏まえて多文化共生社会を強化していくためには、ひとつひとつの積み重ねと多くの方の協力が必要不可欠であることを改めて気づかされます。今後ともJICA関西は栗東国際交流協会の皆様に伴走させていただく所存です。また、他の自治体・市民団体等の皆様にも広くお役に立てるよう努めてまいります。ご関心をお寄せいただける際は、JICA関西(*2)もしくは各地域におります国際協力推進員(*4)にお気軽にお尋ねください。

業務第一課 鮫島綾子
滋賀県国際協力推進員 桂武邦