Impact Hub Kyotoにてインターンシップで活躍した一時帰国隊員・派遣前隊員(2021年2月時点)

左からImpact Hub Kyoto代表浅井様、JICA関西楠原国内協力員(当時)、田邊隊員、住田隊員、森井隊員、JICA京都デスク長谷川推進員(当時)

田邊 大也 2018-3 ネパール PCインストラクター(一時帰国隊員)
森井 英樹 2018-3 タンザニア コミュニティ開発 (一時帰国隊員)
住田 裕亮 2019-3 ペルー 環境教育 (派遣前隊員)

一般社団法人Impact Hub Kyoto
代表 浅井 俊子
※本記事は2021年2月に取材した内容に基づくものです。

2020年10月から2021年3月まで、京都市にある一般社団法人Impact Hub Kyoto(変化をつくる起業家の世界的コミュニティとして、コワーキングスペース、レンタルスペース、イベント開催等を世界中で展開している団体)にて、待機中隊員3名を、インターンシップ生として受け入れて頂いていました。代表の浅井氏は、ご息女が青年海外協力隊OGという事もあり、「コロナ禍で一時帰国した隊員のために、支援活動を行いたい!」というあたたかいお気持ちで、いち早く本取り組みを実現いただきました。そこで、2021年2月に現地に赴きImpact HUB Kyotoのオフィスを訪問し、彼らの活動を取材し、それぞれの思いや活動内容、今後の進路等をおききしました。

◎●〇早速、インタビュー開始!◎●〇

(JICA関西)楠原:それでは皆様、どうぞよろしくお願い致します!

Q1:インターンシップを始めたきっかけについて

Impact Hub Kyotoのシェアオフィスの様子。

住田隊員:私は2020年3月に派遣前訓練が終わった後、JICAから「派遣を延期します」と連絡があり、5月までは緊急事態宣言もあり、実家で待機しておりました。その後、2020年7月に「待機延長」(※1)を選択し、もし年内に派遣ができないとなれば、あと5か月くらい時間があるなと考えておりました。そこで、派遣について支障がなく、なおかつ実務的なことが学べるという事から、アルバイトよりはインターンの方が自分に向いているのではないかと考え、Impact Hub Kyotoの「インターンシップ募集情報」を見つけて応募しました。

田邊隊員:私は「待機延長」(※1)を選択後、ネット上で色々な活動をしつつ、地元の岐阜でもボランティア登録をしていましたが、新型コロナウイルスの影響により、連絡がなく、困っておりました。そこでPARTNERで求人情報等を検索していたところ、このインターンシップを見つけました。「シェアオフィス」等の事を学びたかったことと、それを「京都」で学べるなんて面白そう!と思い、応募しました。

森井隊員:私は7月から在日アフリカ人支援のNGOで活動していました。また、青年海外協力隊は社会人とのセッション部分が弱いのではないかと思い、社会人と関われるところを探しました。そして、Impact Hub Kyotoなら、起業家や社会人の方々とお話できますし、なおかつ海外との繋がりもありそうだった上、京都という土地柄もいいなと思ったので志望しました。

Q2:どのような業務を行っていますか?

本のバーコードを読み取り、図書の貸出手続きを行っている様子。

Impact Hub Kyotoスタッフ:3人にインターンシップに入っていただいた際に、一人ずつお話させて頂き、将来やりたい事に少しでもプラスになるような業務設計が出来ればと思っておりました。例えば、森井さんは元々アフリカ系のNGOで広報周りやイベントの運営経験があったため、オンライン配信する形でのイベントを何回か行った際、広報や当日の運営を担って頂きました。日常のコミュニティ運営や、他のスタッフと変わらないポジションで、受付業務や観光プロジェクトのメンバーにも入って活動されています。京都に移住してこられる方のワーケーションに対して、新しい仕組みを提案したりするプロジェクトですが、リサーチ業務も得意とされており、非常に助かっております。

住田隊員:私は国内でのイベント運営を3人で行ったり、図書館システムを作ったり、運用、広報等を行っております。それ以外は森井さんがやっている事をサポートしたりしております。

Impact Hub Kyotoスタッフ:元々本屋さんがImpact Hub Kyotoの会員(以下、HUB会員)に入っており、シェアオフィス内での販売も行っておりました。しかし、その本屋さんが移転をされた為、せっかくなのでインターンシップ生とHUB会員さんで「コミュニティライブラリーのようなものを作ろう!」となりました。彼らが率先してシステム作りに取り組み、図書館のようなシステムを入れたり、チラシを作成したり等、得意分野を活かしてくれています。代表の浅井が本を沢山持っていたり、HUB会員さんにも協力して頂いたりして、置き方は、各自にお任せしております。説明会イベントに来てもらった人達に、「自分たちが考える好きな棚」の形に、各自でアイディアを募ってみて、その通りに並べたりしています。棚ごとに別の人が並べていますが、まだ模索中で、どんな本棚だったら面白いかと色々試しています。

田邊隊員:私はシステムやテクニカルの部分を担当しました。自分は高校の教師でしたが、パソコンは趣味でよく利用しており、PCインストラクターとして、青年海外協力隊に参加しています。インターンシップ中はImpact Hub Kyotoのホームページを更新する業務もやっており、そこで、「無料で使える図書館システム」を知っていたので、それを導入してみたら?という事で、実際に学校で使われているような「バーコードを入れる」というシステムを作りました。

Q3:業務内容を行うにあたり、青年海外協力隊経験を活かせたと思う事は?

図書カード。このバーコードを読み取って、本の貸し出しや管理を行う。

本にバーコードを付け、システムで管理を行っている。

森井隊員:「できる事をやる」という事は、海外でも日本でも一緒だと思っています。コミュニティ開発でタンザニアに行きましたが、「まずは基本的な事を行い、信頼を得る事が大切」だと感じております。青年海外協力隊にて培った経験で、「泥臭いことができる自分」を活かし、アナログな事も積極的に行えているので、やはりこの経験は学びになったと思います。

田邊隊員:技術的な事は、自分で取得するという事は青年海外協力隊の頃から一緒ですが、さらに今は「気長に待てる」という事ができるようになりました。ネパールでは皆が時間に遅れてくるため、最初はイライラする事もありましたが、途中で「自分もそれに合わせてやっていこう」と心に余裕が持てるようになりました。青年海外協力隊の経験を通して、何故遅れたのか等、相手の立場を理解し、広い視野で物事を見る事ができるようになったと思います。

住田隊員:私はまだ派遣されておりませんが、今は得意不得意関係なく業務を行っているので、派遣後もとりあえず手の届くところから始めたほうがいいのではないかと思っています。現地に派遣されたときもそのような気持ちで頑張りたいと思います。今の時代、「やり方」はいくらでもインターネットで調べられるので、みんなの意見がある程度まとまってから具体的な取り組み方を考えるのも一つの手段かなと考えています。

Q4:今後について

田邊隊員:3月までに就職が決まらなければ、講師登録をして教員になる予定です。PARTNERでは鹿児島の教員に関する求人もありますし、勤務地を絞らずに就活しております。

住田隊員:派遣国も職種も変更しても良いので、私はどこかになるべく早く派遣されたいです。今もJICAのスペイン語の講座をずっと受けていますので、スペイン語圏への派遣が一番良いですが、海外長期滞在の経験もあるので、英語圏への派遣も視野に入れています。
2021年内に派遣の目途がつけばと思っております。

森井隊員:3月より、私の地元の奈良にある株式会社ディスカバリーで、就職が決まっているので、そこで働く予定です。

Q5:Impact Hub Kyotoスタッフより、最後に一言お願い致します。

Impact Hub Kyotoスタッフ:これまで、学生さんのインターンシップの受け入れは行っていたのですが、青年海外協力隊のバックグラウンドを持った社会人の受け入れは初めてでした。その為、最初は2~3か月はトレーニングとして、Impact Hub Kyoto の事を知ってもらってから、と考えていました。しかし、インターン開始直後からそれぞれの得意分野を活かしてHUB会員さんと馴染んでいただいたり、自発的に動いてもらったりしたので、その場のものを活用していくという事をうまくやっていただいたと思いますし、一過性ではなくImpact Hub Kyoto として残るものを作っていただいたと思っております。青年海外協力隊経験やそれに挑戦する意欲があるという事と、1人ではなく3人だったというのも、凄く良かったのかなと思います。お互いに得意なところで補完し合える為、「気づいたら全部揃っていた」という印象を持っております。本当に皆様には色々と助けて頂きました、ありがとうございました。

(JICA関西)楠原:今回の取材で、待機中隊員達がそれぞれの特性を活かした、素敵な活動をされていることが分かり、大変感激致しました。また長期間、このような素晴らしい場を提供して頂いているImpact Hub Kyoto様には心より感謝申し上げます。今後は彼らもこの経験を活かし、個人の特性に応じたそれぞれの道へ進まれるのではないかと思います。
皆様、この度はインタビューにご協力いただき、誠にありがとうございました。

(注1)待機延長とは、任期中の再赴任を視野に入れ、待機期間を延長する事。