ブータンの環境のため、京大で地理情報学研究に励む長期研修員

【画像】Mr. CHHETRI Indra Bahadur(インドラさん)

研修コース名: SDGsグローバルリーダー・コース・京都大学工学研究科・修士
研修期間:2019年9月25日から2022年3月31日まで

私はCHHETRI Indra Bahadurです。王立ブータン大学のJigme Namgyelエンジニアリング・カレッジ土木・測量研究科の准講師です。現在、私はSDGsグローバルリーダー・コースの長期研修員として、京都大学工学研究科の修士課程に在籍し、地理情報学を学んでいます。

ブータンと私の研究動機について

ブータンは、北に中国、南にインドという2つの大国が位置する、内陸の小さな国です。人口は約72万人、面積は約3万8千平方km(九州とほぼ同じ)です。独自の「Gross National Happiness(GNH、国民総幸福量)」を提唱していることをご存じの方も多いと思いますが、これにより、環境を守ることや持続可能な開発が重要視されています。GNHがあることで、私も地元の環境についてより理解し、環境に有害な問題について学びたいと思うようになりました。地理情報は様々な環境問題を理解したり、その他の分野でも利用したりできる、有益なものです。

ブータンの所属大学では・・・

ブータンには工学を学べる大学が2つしかなく、そのうちの1つが私の所属するJigme Namgyelエンジニアリング・カレッジです。エンジニアを育てるためには最適な大学で、そのミッションとして、「GNHの価値観を持った高度で有能な技術者を輩出する主要な機関であること」を掲げています。リモート・センシング(注1)や、地理情報システム(GIS)等にも大きく関わっています。そして、測量や地理情報のコースを提供している唯一の大学なのですが、そこで学べるプログラムは最新ではなく、改善の必要があります。
(注1)人工衛星に乗せたセンサー等により、物を触らずに調べる技術のこと。

私の使命

【画像】以上のことから、京都大学で修士号を取ることは、私のキャリア開発にとってだけではなく、地理情報学に関する幅広い事柄について、私の所属大学にも大きな飛躍をもたらすことになります。現在、私はフォトグラメトリー(注2)やリモート・センシング等の空間情報科学について研究しています。特に、統計が不十分な都市部の地図作成に活用できる、3Dの情報や衛星からの画像を使った調査に焦点をあてています。ブータンにはこの分野の専門家はほとんどおらず、他国から地理情報分野の専門家を雇っています。ですから私は先生として、地理情報学に熟知した質の高いエンジニアや技術者を育成することで、このギャップを埋めたいと思っています。さらに、ブータンは開発途上国であり、リサーチや技術の面で先進的ではありません。京都大学で学んだスキルをもって、ブータンに戻った後も地理情報学の研究を続け、私の大学と他の機関との共同研究にも取り組みたいと思っています。
(注2)様々な地点から撮影した写真や動画を統合し、物体等の3Dモデルを生成する手法のこと。