“ゴミ圧縮貯留技術”でバングラデシュの衛生状況改善へ!  - 日本クリーンシステム株式会社(大阪)-


岡営業本部長(右)・山野常務取締役(中央)・JICA関西 富岡 (左)

「日本クリーンシステム株式会社」は、1982年の創業以来、設置型塵芥貯留機「ゴミック」の製造及び販売等を通じて、廃棄物管理の分野を長年支えてきた会社です。現在同社はバングラデシュでJICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業「効率的・衛生的な廃棄物圧縮貯留システム構築にかかる案件化調査」を実施しています。今回は、JICAの若手職員が、飽くなき探求心と情熱を持つ山野常務、岡営業本部長からお話を伺いました!

縁の下の力持ち!ゴミック!

「ゴミック(和名)/J-DRUM(英名)」

我が社の代表的な製品である「ゴミック」は、病院や大型商業施設、集合住宅等に設置するゴミ管理システムであり、大量のゴミを圧縮、貯留することで衛生面の向上及び省スペース化、そして管理コストの削減等に寄与しています。国内では約6割のシェアを誇り、まさに縁の下の力持ちといえる「ゴミック」は、日本だけではなく、既に香港とシンガポールにも輸出されています。

ココに決めた!未知なる挑戦への一歩!

香港とシンガポールに続く次なる挑戦の舞台を私たちは模索していました。新たな進出国を検討する際、私たちが大切にしていることは、現地が抱えている課題と自社が持っている製品の強みの合致でした。単に人口の多い国を進出国とするのではなく、まずは「ゴミック」の性能が十分に発揮できる国はどこなのかを検討しました。
しかし、各国が抱えている課題を正確に把握することは容易ではありませんでした。そこで、力を貸してくれたのがJICAでした。JICA関西から紹介された情報によりバングラデシュで自社の製品へのニーズがあることが分かり、現地事務所にも相談した結果、対象国が「バングラデシュ」に決まったのです。

善は急げ!進出国選定後、約1か月でバングラデシュへ!

劣悪な環境の中間処理施設

JICAの中小企業海外展開支援事業(案件化調査)の応募に向けて、すぐにバングラデシュに足を運びました。応募のために必要な情報収集だけでなく、ビジネスとしてバングラデシュに参入できるのかを確認することが目的でした。実際に現地を訪れてみると、廃棄物を最終処分場に運ぶ前にいったん集積する中間処理施設の状況が劣悪な環境にあることがわかりました。
 
また、JICAバングラデシュ事務所より現地のコンサルタントを紹介いただき、コンサルタントの協力で、案件化調査を実施する際の途上国側の協力機関候補である南ダッカ市役所との交渉も行うことができ、直接プレゼンを行いました。さらに、市役所の職員にはシンガポールで実際に製品導入後の様子を見てもらうこともできました。市役所の担当者や廃棄物運搬を担っているスタッフを含め、みんなが誇りを持って仕事をしていることを感じられて大変良かったです。
その後、現地コンサルタントから、バングラデシュに詳しい日本のコンサルタントとして日本開発政策研究所(JDI)を紹介され、今回のプロジェクト体制ができあがりました。JICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業に応募し、2019年秋、採択に至りました。

コロナ禍の調査の工夫—できることから着実に

現在実施中の調査では、バングラデシュでの事業計画を具体化するための調査を行っています。バングラデシュでのプロジェクト経験が豊富なコンサルタントの協力を得て、現地で調達、販売からメンテナンスまでの一連の体制を構築するために何が必要かを調査しています。
 ただ、新型コロナウイルスの影響で、調査開始後にバングラデシュへの渡航ができていない状況です(※2021年6月現在)。そのため、新たに現地のコンサルタントにもメンバーに加わってもらい、元々私たちがバングラデシュで行う予定であった調査を一つずつ実施してもらい、現在の状況で行える範囲で調査を進めています。現地に直接行けない状況でも順調に調査が進められてきているのは、現地と密にコンタクトを取っていただいている外部コンサル(JDI)のアドバイス、そして、ロックダウンがたびたび起こっている中調査に協力していただいている現地コンサル(ニュービジョン社)のおかげだと思い、本当に感謝しています。
 他方、ビジネス展開を行う上での人間関係の構築は、どうしても現地に行かないと難しいと考えています。また、機材の設置場所を決定するためには、専門的な見地からの周辺状況の把握も必要になるので、なるべく早いうちに現地渡航したいと考えています。

海外展開で最も重要なのは「情熱」

熱い想いを語る山野常務

海外展開をするときに一番大事なのは「情熱」だと思います。つまり、自分たちが現地にどんな役に立てるのか、どういう形で現地に貢献できるのかという明確なビジョンを持つことです。このような情熱をしっかりと持っていれば、現地の関係者にも思いが伝わり、事業もうまくいくのではと考えています。
 
現地の衛生状況を劇的に変えていきたいと思っています。我々の中では改善後の絵が描けています。実績を作ることが出来れば、現地のマーケットも開けていくと確信しています。当社の技術力で皆様のご期待にお応えできるよう、バングラデシュの環境改善に尽くしていきたいと思います。

インタビューを終えて

【画像】今回のインタビューを通して、日本クリーンシステムのバングラデシュ進出に対する「情熱」を感じることができました。誰のために、どのように貢献するのか明確なビジョンを持つこと。これは海外展開を志す企業、さらには開発途上国支援に携わるすべての人・組織にとっても大事な考え方である、と改めて認識する機会となりました。
 同社はこのような「情熱」を持っているが故に、コロナ禍という過酷な状況の中でも、着実にバングラデシュへの進出に向けて、歩んでいるのだと思いました。


民間連携事業部 中村 鴻太、東南アジア・大洋州部 大友 彩加、人事部 吉田 将
(※JICA関西で実施していたオンライン職員研修の一環でJICA本部勤務の若手職員がインタビューを行いました。)
関西センター 富岡 啓一