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公益財団法人国際湖沼環境委員会 中村正久副理事長が第17回JICA理事長賞を受賞 —琵琶湖保全の経験を活かし、開発途上国の人材育成に貢献—

2021年12月27日

毎年、国際協力事業を通じて開発途上国の人材育成や社会発展に多大な貢献をされた個人・団体に対し、その功績を讃え、表彰するJICA理事長賞。第17回を迎える今年度は、公益財団法人国際湖沼環境委員会(滋賀県草津市)の中村正久副理事長が受賞されました。

中村副理事長は、研究機関などでの琵琶湖保全の経験を活かし、約30数年にわたり、開発途上国の湖沼環境保全を担う行政官や専門家などを対象に研修の指導にあたり、延べ約60ヵ国310余人の人材を育成されてきました。研修終了後も、研修参加者とのネットワークの維持につとめ、これら研修参加者とともに、国際的な会議の場で統合的湖沼流域管理(注1)(ILBM: Integrated Lake Basin Management)の重要性を発信されています。コロナ禍でも歩みを止めず、オンライン研修やセミナーを通じて、精力的に開発途上国の人材育成に取組まれている中村副理事長に受賞の感想をお伺いしました。

中村副理事長の受賞に寄せてのメッセージ

中村副理事長
2018年度研修 閉講式

国際湖沼環境委員会(ILEC)のJICA研修事業は、その内容に変遷はありましたが、通算30余年にわたって実施されてきました。2018年には同事業にかかるJICA理事長賞を組織として受賞させて頂いています。この度、私個人の名前で受賞させて頂き大変光栄ではあるものの、事業は多数の講師陣をはじめとする個人や組織のご協力によって成り立ち、かつ優に数百を超える研修員の理解と支えがあって可能となったものです。それを考えますと、恐縮というより何か申し訳ない気がしてなりません。とは言え、私自身全ての年に関わりをもってきたことや、研修事業以外の現地プロジェクトにも数多く参加してきたことを思えば、この度の受賞は非常に感慨深いものであります。この受賞を機に、今後もこれまでの経験や知見の共有に努め、また新たな貢献の機会を模索していこうと思います。有難うございました

研修参加者からお祝いのメッセージ

2019年ケニアフォローアップ事業 
Takawiri Island漁業集落訪問

30年以上に渡り、水、森林、海、湖沼の持続可能な利用と保全に取り組む開発途上国の人材育成に献身的に情熱を注ぎこんでこられた中村副理事長。その大きな思いに答えて研修参加者が、研修で学んだ考えを各国で実践し、より良い水資源の持続可能な利用と保全のあり方を求めて、課題解決に取り組んでいます。中村副理事長の受賞に寄せて研修参加者からお祝いのメッセージが届きました。

2019年ケニアフォローアップ事業
フィールドトリップ ビクトリア湖畔

1)ポーシャさん、ライトンさん(ジンバブエ:ジンバブエ大学生物科学・生態学部)

ジンバブエ大学、生物科学・生態学部を代表し中村先生(公益財団法人 国際湖沼環境委員会(ILEC)副理事長)のJICA理事長賞受賞を心からお祝い申し上げます。“makorokoto, amhlophe”(現地ショナ語でおめでとうございます!の意味)。今回の受賞で中村先生の利水システム管理に関する日本国内外(ジンバブエを含む)での秀でた模範的リーダーシップが認められました。先生は統合的湖沼流域管理を通じて水資源の持続可能な利用・管理を実現するための概念的枠組みの発展に寄与され、私の所属大学でも導入する機会を得たことに感謝致します。私達にとって新しい概念でしたが、研修を通じて、6つの要素(注2)を統合的に考慮することで水資源課題の認識、解決に繋がると、実例を示しながら明瞭に解説していただきました。
JICAの研修に参加し、他国の異なる分野の専門家らとネットワークを構築し繋がる機会を得たことはとても刺激的なことです。私の所属学部では2012年にチベロ湖へのILBM概念導入に着手し、2015年には私自身が日本での課題別研修に参加し、2019年にはケニアで実施されたフォローアッププログラムにも参加しました。更に今年はオブザーバーとしてオンライン研修にも参加しています。こういった一連のプログラムへの参加は、例えば、気候変動による水産資源への高まるプレッシャーを前に、能力強化、持続可能な管理方法や代替水産資源管理を考える機会となっています。また、ジンバブエ大学では新しい修士・博士課程カリキュラムの一部にILBM概念を導入し、水資源管理者、水生生態学者や他の科学者を指導していることを喜ばしく思います。これらの活動は研修などを通じて先生が強調されたILBM概念による水資源の持続可能な利用と保全の学び無くしては実現できませんでした。
 先生はいつも温かく、熱心かつ寛容に、そして謙虚に指導してくださいました。最後に、もう一度JICA理事長表彰おめでとうございます。 JICAとILECチームの尽力に感謝いたします。

2019年研修 岡山日生漁港訪問

2019年ケニアフォローアップ事業

(2)プラバさん(ネパール:国家湖沼保全開発委員会)

中村先生のJICA理事長表彰受賞にあたり心からお祝い申し上げます。中村先生はネパールを含め世界中に統合的湖沼流域管理概念を紹介するグローバルな科学者として既にその貢献は知られており、ネパールでも、その考え方が湖沼流域管理に採用されています。湖沼流域管理の改善にILBM概念を世界規模で普及させる先生の弛まぬ努力に敬意を表します。先生がJICAの研修を通じて、ILBMの知識を伝え続ける情熱と献身が今回の受賞により認められたのだと思います。先生、理事長賞受賞おめでとうございます!!!

(注1)湖沼と流域の管理を任された組織や利害関係者が、湖沼がもつ静水システムの特徴を踏まえた上で、その資源の持続可能な利用と保全の実現に必要な概念。
(注2)(1)組織・体制 (2)政策 (3)参加 (4)技術(5)情報(6)財政