途上国の都市が『Kyoto』から学ぶー脱炭素で持続可能な街づくり国際研修を実施—

2022年10月11日

JICA 関西は、9 月 12 日~10 月 17 日、気候変動分野において自治体を主な対象とした課題別研修としては初めてとなる「脱炭素で持続可能な都市・地域開発のための自治体能力強化」コースを実施しています。
今年のコースは、新型コロナウィルス感染拡大の影響によりオンラインで実施されていますが、7か国(チリ、インドネシア、タイ、ラオス、マレーシア、ナイジェリア、ベトナム)の9人が参加しています。

地方自治体職員の能力向上を通じて、地方がリードする脱炭素社会の実現を促進

11 月 6 日からエジプトで COP27(国連気候変動枠組条約第 27 回締約国会議)が開催される予定ですが、昨年イギリスで開催された COP26 では岸田総理が 2030 年までの期間を「勝負の 10 年」と位置づけ、全ての締約国に野心的な気候変動対策を呼びかけるなど、「脱炭素」へむけての我が国の行動に世界が注目しています。
JICA は、これまでパリ協定の実施促進を主目的とするプロジェクトなど本分野での協力を実施してきました。本分野の技術協力のうち、開発途上国の行政官が日本の知見を学ぶ研修は、これまで主に全国レベルの政策を担う各国の中央政府を対象に実施されてきました。
しかし、近年、気候変動対策の推進や脱炭素に向けては、中央政府の取組だけではなく、地方政府/地方自治体などのより市民に近いレベルの行政の取組が重要であるとの認識が国際的に高まっています。
このようなトレンドを受け、JICA では、京都市や京都市環境保全活動推進協会の協力のもと、同分野において初めて地方自治体を主な対象とした研修を開始しました。

京都市をはじめとする日本の自治体の特色ある取り組みを紹介

9月20日には京都市環境政策局地球温暖化対策室より、排出量算定のためのデータ収集、目標設定や実施のための組織作り、さまざまな対策の実施、民間や学術界などの多様なステークホルダーとの協働など、地方自治体の現場感覚に基づく、貴重な知見が提供されました。
各国で自治体職員として、または政府内で自治体と連携しながら気候変動対策を促進する業務を担っている研修員にとっては、非常に有用で示唆に富む内容であり、質疑も活発に行われました。

参加者間の知見交換ワークショップで持続的なネットワーク構築を目指す

京都市による講義の様子

今後は、これまでに学んだ総合的な情報に基づき、研修員と日本側の地方自治体等からの講師が、オンラインで経験交流するセッションが予定されています。
チリ、インドネシア、タイ、ベトナムなどは、気候変動政策における国際的な評価が日本よりも高くランク(注)されている報告もあり、このワークショップを通じて、相互の学びが新たな視点やアイデアを生み出すとともに、地方自治体間のネットワーク強化につながることが期待されています。

注:2021年11月9日に公開された「気候変動パフォーマンス・インデックス(CCPI)2022」は、合計で地球上の90%以上のCO2を排出する世界61カ国を対象に、各国のCO2排出量や気候変動防止政策、気候保護の取り組みと進展を評価・比較し、チリ9位、インドネシア27位、タイ31位、ベトナム43位、日本45位などのランキングも発表