【草の根技術協力事業】ベトナムから研修員6人が来日しました! —「琵琶湖モデル」を活用した水環境改善に向けて—

2022年11月14日

湖南中部浄化センター前にて

ベトナム・カットバ島の水環境の改善を目的に、滋賀県庁と株式会社KANSOテクノス、株式会社日吉、株式会社長大、株式会社エフウォーターマネジメントが実施団体となり、草の根技術協力事業「琵琶湖モデルを活用したハロン湾・カットバ島沿岸水域の適切な保全に向けた支援」を実施しています。7月のキックオフミーティングと9月の現地研修を経て、この度、ベトナムから研修員を招いた1週間の来日研修を開始しました。

琵琶湖モデルとは? なぜベトナム・カットバ島に

滋賀県では1970年代、琵琶湖の水質悪化に対して「住民」「行政」「企業(工場等)」「大学等研究機関、水環境関連企業」の4つの主体が一体となって琵琶湖の保全を進めてきた経験があります。多様な主体が協力して水環境の保全と経済発展の両立を目指した、この統合的な連携活動が「琵琶湖モデル」です。

本事業の対象地となるカットバ島は、ベトナム北部のハロン湾南端に位置する、人口約15,000人の観光業と水産業を中心とした自然豊かな島です。開発に伴う水質汚濁が観光をはじめとする産業や島民の生活に影響を与えることが懸念されるなど、水環境に関する課題を抱えています。
そこで、滋賀県は、過去の経験と知見がベトナム・カットバ島沿岸水域の課題解決に貢献できるのではないかとの思いから、同水域での水環境保全事業に取り組んでいます。

来日研修の開始

講義の様子(国際湖沼環境委員会)

淡海環境プラザ見学の様子

滋賀県に拠点を構える国際湖沼環境委員会の協力のもと、今回の訪日研修がスタートしました。初日の11月7日には、滋賀県や琵琶湖の概要と「琵琶湖モデル」についての説明がなされ、行政のリーダーシップとコミットメントの他、住民への普及啓発活動の重要性が強調されました。滋賀県の下水道事業に関する講義では汚水の高度処理技術や下水処理で発生する汚泥の資源利用の取組が紹介され、研修員からは多くの質問が飛び交い、学びの多い時間になりました。その後、湖南中部浄化センターと淡海環境プラザの施設見学を行い、実際の汚水の処理フローを熱心に見学する研修員の姿から、水環境への関心の高さが伺えました。

「日本企業の海外展開を支えたい」という思いから

「草の根技術協力事業を通してカットバ島の水環境を改善するとともに、日本企業の海外展開を後押ししたい」という思いを、本研修に同行している滋賀県の担当者から伺うことができました。その思いは、「水環境や法制度面の違いから、海外展開には時間を要するかもしれません。ですが、高い技術力で世界の課題解決に貢献したいという思いを持った日本企業が海外に踏み出す第一歩を支えたいのです」という熱い気持ちによって形作られていました。
それぞれの実施団体も、今回のような連携がベトナムと日本双方の知識や技術向上に直結し、それが世界の水環境改善への貢献に繋がることを喜ばしく思っている様子でした。

今後に向けて

1週間にわたる今回の研修では、滋賀県の行政施策の紹介の他、県内の水環境改善に携わる企業や施設への訪問と、それらを通じた意見交換を行いました。
滋賀県を中心とした実施団体は、ベトナム・カットバ島が直面する水環境問題の改善に向けて連携を強化し、「琵琶湖モデル」の活用を通じた世界の水環境課題の解決を目指して今後も活動を続けていきます。