中央アジア・コーカサス総合防災来日研修員へのインタビュー

2022年12月28日

研修の様子

11月10日から12月9日までの5週間、中央アジア・コーカサス総合防災来日研修が行われました。研修員は、地方防災計画作成のための8つのSTEPを学び、各国で防災や防災システムを強化するための地方防災計画のゼロドラフトを作成しました。
今回、JICA関西でインターンをしている大学生が、2人の研修員にインタビューをしました。

タジキスタン研修員 ダレルさんへのインタビュー

ダレルさんとの一枚

インタビューの様子

ダレルさんは、タジキスタン共和国の緊急事態・市民保護委員会で防災の業務を担当しています。

—タジキスタンの自然災害について教えてください。

タジキスタンでは日本と同様に地震などの自然災害が多く発生しています。自然災害の危険性について、古くから同じ地域に住んでいる住民たちは、過去の経験から自然災害のリスクを把握しています。しかし、国土の約95%が山であるという地形の問題から、危険であるとわかっていても、災害による被害発生が想定されている地域に住んでいる住民も多くいます。そのような地域で危険な区域への建築規制はされていません。そのため、住民たちは国や災害研究所のアドバイスを受けつつ生活をしています。特に危険な地域に居住している住民は、非常持ち出し袋を常備するなど、個人で災害対策を行っているケースもあります。

—今回の研修を受けた理由ときっかけは何ですか。

私自身の専門である防災を学ぶことができる貴重な機会であると思い、この研修に応募しました。今回の研修を受けることで、日本の経験や知見を自国に反映したいと思いました。最初はオンラインでの開催と聞いていましたが、それでも参加する意思がありました。幸いなことに今回の研修は対面で行われ、幼い頃から興味のあった日本に来ることができてとても嬉しいです。

—今回の研修で学んだことと、今後どのように活かしていきたいですか?

タジキスタンは日本と同様に地震多発国です。今回学んだ地震に関する知見は、自国にも反映できると考えています。また、洪水に関する学びも多く得ることができました。今後は、国で統一した監視システムを構築していきたいです。

アルメニア研修員 ボスカニャンさんへのインタビュー

ボスカニャンさんとの一枚

ボスカニャンさんは、アルメニア共和国の緊急事態省災害リスク管理政策開発局にある政策執行部で、防災分野の政策立案の業務を担当しています。

—アルメニアでの自然災害と対策状況について教えてください。
アルメニアでは、地震が多く発生しています。1988年12月7日にはマグニチュード7.0のスピタク地震が発生しました。また、地震に加えて夏には森林火災、冬には霜害がよく起こります。
このような自然災害対策は、スピタク地震前後で大きく変化しました。スピタク地震後は、捜索救助活動の強化が図られ、地震対策部が地震を継続的に観察しています。また、警報システムを導入し、早期の危険情報の伝達を住民へ行っています。さまざまな災害の情報を正しく伝達し、住民が災害に備えられるよう管理を行っています。

—アルメニアの防災教育について教えて下さい。
アルメニアでは、セミナーを通して子どもたちへ災害リスクの知識を教えています。また、学校でも避難訓練を行い、その前後の授業で自然災害リスクに対する啓発活動を行っています。

—今回の研修を今後どのように活かしていきたいですか。
私は、所属する政策執行部で法律関係の仕事をしています。今回の研修で学んだことをアルメニアの法律に反映できるような活動をしていきたいです。また、非常事態省が定めている仙台防災枠組に基づいた災害対策に関する35項目の行動計画を来年に向けて改訂中です。新しい行動計画には、今回学んだ日本の経験を取り入れることができるようにしたいと思います。

インタビュー担当者コメント

タジキスタンは日本と同じく地震が発生する国です。自然災害での被害が想定されている地域に居住している住民がいることはタジキスタンと日本の共通の課題であると今回のインタビューを通して気づきました。自然と共生するためには、過去の経験の伝承や防災教育の普及が必要であると改めて認識しました。

また、アルメニアでは、1988年に発生したスピタク地震を機に災害対策の強化が図られました。警報システムに加えて、子どもたちへの防災教育にも力を入れていることが伝わってきました。

今回での研修での学びがそれぞれの国での災害対策に反映されることを期待しています。

(研修業務課 長濱 光葉(インターン))