【レポート】JICA海外協力隊 グローカルプログラム(派遣前型)中間及び最終報告会(熊本県)

2022年3月31日

熊本県芦北町と人吉球磨地域で活動中の3名が、2022年3月28日にグローカルプログラムの中間及び最終報告を行いました。その様子をレポートします!

「地域の一員でいたいけど、「臨時的よそ者」の立場で横串的役割を目指す」 葦北郡芦北町 小松 卓也 実習生 (実習期間:2022年1月10日-6月24日、 ルワンダ マーケティング 派遣予定) 

中間報告を行った小松実習生は、令和2年7月に発生した豪雨災害からの復旧・復興を目指す芦北町のまちづくり支援として、役場商工観光課の管轄である「御立岬公園」で実習を行っています。3月は、中間報告会で掲げていた「御立岬公園以外のことも知る」という目標をもって計画的に以下の活動に取り組んでいます。

【画像】【3月の活動内容(一例)】
・道の駅たのうら「肥後うらら(物産館)」の現場実習
・「たばくまん(レストラン)」の現場実習
・御立岬温泉センターの現場実習
※今後、オリーブ植樹・キャンプ場接客対応を予定

「「地域の一員としていたい」という強い想いの一方で、「臨時的よそ者」という立場は変えられないというのが現実だと気づいた。そして、自分ができることを考えたとき、現在、全職場を横断的に経験できているという立場を活かした「横串的役割」を考え、果たしていきたい。」と語りました。

【今後の具体的な構想】
・各職場とのコミュニケーションの継続
・温泉と物産館の連携など、地元の利用者と宿泊客との交流も視野に入れた調査を検討
・オリーブ新規事業開拓への協力(立ち上げに一人員としても役立ちたい)

今後も芦北町の魅力発見や地元の方との関係づくりの深化を進め、観光事業の活性化や情報発信に貢献したいという小松実習生の想いが伝わってきました。

【画像】球磨地域振興局の中村様からは、「かつて芦北は、海水浴など渋滞する場所として知られていた。現在、高速道路の下で通過点になり、観光業の衰退や人口減少が進んでいる。
芦北を通ってもらえるような仕掛けやアイデアを。」というコメントをいただきました。

商工観光課 岩本様からは、「施設の仕事は目立たないことが多いが、小松実習生は縁の下の力持ちとして、どの職場でも一生懸命な働きが高く評価されている。これからの季節はともにキャンプ場の活性化を図っていきたい」とコメントをいただきました。

「主役は地域の方々」 球磨地域振興局 藤田 彩加 実習生 (実習期間:2022年1月10日-6月24日、 ヨルダン 障害児・者支援 派遣予定) 

中間報告を行った藤田実習生は、地域の持続の可能性を高めるという目的で設立された、たらぎ財団で「地元で生活する方々が自ら、大きな声で町の良さを言葉にすることができるようになる。」という活動目標の下、多くの方々と深く関わりながら積極的にさまざまな活動を行っています。

【画像】【活動内容(一例)】
・ふるさと納税事業推進のため、お店や農家訪問、各所でのボランティア活動
 地元の方々との関係づくりができたからこそ聞くことができた話を、財団の方と共有して今後の取り組みを考察中
・イベント運営(クリエイティブキャンプ・マインクラフトワークショップ)
 地域の子どもたちが実際に考える力や表現する力を養う機会づくりにできた
・久米小学校でのヨルダン出前講座
・福岡県八女市へ商品開発の視察出張
 伝統と若い感性を大切にした魅せかたのアイデアなどを学んだ

【今後の主な活動】
・4月29日(祝・金)春のたらぎまつり
 多良木町の魅力発信、交流の場として地域の方とわくわくを創る機会としたい
・ふるさと納税商品開発・情報発信の継続
 商品だけでなく農家や生産者の方々、景色を含めた多良木町の魅力を発信したい

「多良木町が大好き、毎日わくわくすることがたくさんある、活動が楽しくて仕方ない、毎日幸せ」といつも笑顔の藤田実習生に、人が惹きつけられ、さまざまな活動につながっている様子が伝わってきました。
また、「主役は地域の方」という協力隊経験者である藤田実習生の視点に改めて、持続可能な地域の在り方を引き出す力を感じました。

【画像】たらぎ財団業務執行理事 栃原様より「外部からの刺激が地方には大切である。藤田実習生が財団と地域の結び役となってくれていることにも感謝している。
また、藤田実習生の専門性(子どもたちに対する接し方など)財団スタッフも勉強になっており有難い。」というコメントをいただきました。

「元気をもらったのは自分だった」 球磨地域振興局 渡辺 弘海 実習生 (実習期間:2022年1月10日-4月1日、ブータン 土木 派遣予定)

【画像】最終報告を行った渡辺実習生は、最初に「本実習での2名の方々との出逢いについて話したい。自身の大病を克服し、齢70歳にも関わらず、地域のためにと奔走されている地元の方の姿から、人吉・球磨地区の人々を元気にするという想いで来たが、元気をもらったのは自分だった。くじけそうになった時はお二方を思い出し、自身の活動につなげていきたい。」という所感を述べました。

【画像】【活動内容(一例)】
・食を通して村の人を元気にするひまわり亭でのボランティア
・ひまわり亭別邸「リュウキンカ」の整備サポート
・観光資源としてのバラ園の造成サポート

渡辺実習生のさまざまな活動の中でも特に印象に残ったのは、基礎作りから取り組んだばら園を整備したターシャガーデンで、3月25日に「人吉に春が来た」というまつりを開催し、「人吉球磨復興 祈願」の看板を立てたというお話でした。
当日は、天候にも恵まれ、地元の約35名の方々が、JICA熊本デスクの尾上推進員のバイオリン演奏とともに、花見を楽しまれたそうです。

当初から「人吉・球磨地区の人々が元気になること」を活動目標に掲げ、切に地元の方々の幸せを願いながら、さまざまな活動に取り組んできた渡辺実習生が植えた花々と活動は、きっと地元の方々の心に残っていくと信じています。

【実習を終えるにあたって(4月1日で実習期間を終了する渡辺実習生が、後任の実習生へ期待すること)】
・コロナ禍で学校支援ボランティアができなかったのが心残りであった。後任の方に託したい。
・観光に関する取材対応やその情報発信方法の検討をしてほしい。
・高齢のご夫婦で2人でばら園の活動をされているので、地域の方々の癒しの場としてもばら園が継続できるような活動や情報発信のサポートを行ってほしい。

球磨地域振興局 中村様より、「渡辺さんとは、焼酎でも飲みながらいろいろなことを語りたかった。これで実習は終わりだが、(バラ園は)花見の時期になったら渡辺さんのことをきっと思い出すし、球磨のことを思い出してほしい。健康に気を付けて行ってきてください」という花向けの言葉をいただきました。

総評として、JICA青年海外協力隊事務局 作道次長は、「実習生全員が、コロナという制約の中それぞれが精一杯に熊本で楽しみつつ活躍している姿を楽しく拝見した。現地の方々と信頼関係を大切に離れても継続的に関われるよう、何らかのかたちで関係の継続を図ってほしい。また、今後、協力隊同期や任国の方々とも地域や実習で得た学びを共有してほしい。」と述べ、3人それぞれへメッセージを送られました。

最後に、築山コーディネーターより、「4月から新しく8名が実習開始予定であり、計10名が一丸となって熊本県を盛り上げていきたいので、これからもよろしくお願いします!!
次回は、約1か月半後に新たな実習生とともに中間報告予定です!」と気合いの入った挨拶の言葉で締めくくられました。