JICA沖縄【大学生×草の根】シリーズ第4弾 -名桜大学生が「ラオラオ酒共同組合結成によるアタプー県共同体機能強化支援事業」を取材-

2019年12月4日

2年ぶりに復活しました【大学生×草の根】シリーズ(沖縄県内の大学生に、草の根技術協力事業の現場で活躍する方をインタビューする企画)。今回は、「ラオラオ酒協同組合結成によるアタプー県共同体機能強化支援事業」のプロジェクトマネージャー 石原修さんに、名桜大学の学生がインタビューしました。
インタビュアーは、名桜大学の国際ボランティア研究会のメンバーです。国際協力の実情を知り、視野や理解を深めたいと、インタビュー依頼がありました。
現場でどのように関わっていくか、生の声を聞くことで、多くの学びがあったようです。

人物紹介

【画像】

写真左側より 石原 修さん、森田 望雅さん、飛田 ほのかさん、刈谷 志乃美さん、西原 久美子(JICA沖縄)

【インタビュアー】
  • 名桜大学国際学群一年 刈谷 志乃美 さん
  • 名桜大学国際学群一年 飛田 ほのか さん
  • 名桜大学国際学群 国際文化専攻三年 森田 望雅(みのり) さん
【取材相手】
  • 生活協同組合コープおきなわ 石原 修さん

インタビュー

飛田
ラオスのサーイ村では、プロジェクト行うときはどのような課題があって、それがプロジェクトを行うことでどのような変化がありましたか。
石原
社会主義国で、常に組織から言われたことに従って動いてきたことが日常になっているラオスにとって、村の普通のおばちゃんたちにどのように伝えていけばいいんだろう、ということが常に問題意識としてあったので、彼女たちには常に、「考えましょう、決めましょう、やってみましょう」と繰り返し言い続けてきました。日本側から答えを出すのではなく、村の人たちがまず意見を出すのを待ち、みんなで決めていくということを続けてきたことで、自分で考えて動くということが少しずつできるようになってきたんです。
こうした取り組みを続けてきたことで、現地行政からは、「人材育成について教えてくれ」と言われるようになってきています。小学校までしか出ていないおばちゃんたちが工場を作って、これから貿易までしようといていることに、ラオス政府も驚きを感じているみたいで、これは本当に大きな変化だなと感じています。
飛田
なるほど、すごい変化ですね!今現在の現地の状況というのは、で、達成度というのはどれくらいですか?
石原
プロジェクトが始まった時点で計画していた内容の達成度でいえば100%到達しています。プロジェクトはやっていく上で、「もっとここを改善しなければいけない」という課題点が出てくるもんなんです。例えば、このプロジェクトでは女性たちの協同組合運営を計画していたんですが、現在その女性たちが考えていることは、「協同組合について、自分の口で説明できるようになりたい」「営業計画を立て、今の経営状況について従業員に説明できるようになりたい」という、経営者の目線に立てるようになってきているんです。つまり、当初の目標を大きく超えて、そこまでできるようになってきたということです。それが現時点での課題なので、当初計画していた時の達成度では測れないところがありますね。
【画像】
飛田
全くまっさらな状態から、そこまで求めるという考えに達したっていうのは、ほんとうに、コツコツやって来られたからこそなんだなと感じました。すごいことですね!!
石原
大事にしてきていることは、村人たちが自分の行っている活動に誇りをもつことなんです。社会主義国では、警察や軍隊、行政の人、政府の人達が自分たちの工場に来るということはとっても嬉しいのよ。この村に来て、この工場のことをほめてくれた。こうしたことが本人たちのやる気だとか誇りづくりにつながってきたんです。
地域づくりで一番大切なことは、その地域の人たちが誇りをもって取り組むかどうかということなんです。誇りを持ち、未来を描き、自分たちで努力する仕組みをどうやって作っていくかを常に考えながら取り組んできました。
飛田
そうなんですね。地域活性化というのは、人づくり、というか人の活性化ということなんですね。
石原
商品がいいけどうまくいかない事業っていくつもあるんだけど、うまくいく事業に共通しているのは、必ずその地域に「人」が残っていることなんですよ。
飛田
人を成長させるには、そういう場を作ってあげることが大事ということですか?
石原
そうです。僕がやってきたことは、その地域で人々が考える「場」を提供してきたことです。
飛田
なるほど。人々が自分で考えることができて、誇りを持つことにもつながってきているんだけれども、プロジェクトに関わる人たちだけでなく、その周りの人たちや環境も含めて今の課題はどのようにとらえておられますか?また、どのように解決していこうと思っておられるか教えてください。
石原
ラオスには協同組合がなかなか根付かないことが課題だと思っています。
わかることとできることは違っていて、ラオスの人たちも協同組合についてわかってはいるんだけど、どうやったらできるかという点については、作り方と、成功例を見せていかなければならないと思っています。今のプロジェクトで作った協同組合をラオスの他の地域にどのように見せ、根付かせるかということが、次の課題であると思っています。
県知事が、他の地域でも事業をやりたいと話しているので、他の地域でこのラオラオ酒のプロジェクトを通して作って来た協同組合というものを他地域にも広げていきたいと考えています。
飛田
プロジェクトを行う際、またそうした現地行政の人たちなど、多くの方たちと関わってこられていますが、現地の人とのコミュニケーションってどうしてるんですか?
石原
現地に渡航するたびに必ず現地行政の人たちと面会の約束を取り付け、そのたびにプロジェクトの話をするんです。自分たちはラオスのためにこうしたいんだという思いを毎回話して、現地の行政はどう考えているのかという意見交換を必ずやるんです。夜の飲み会も含めてね。これは行政だけでなくて、プロジェクトメンバーとも毎回話をするんです。こうして現地の人たちと何度も何度も話をして、そこで言ったことは必ずやるんです。今まで毎回、「次にラオスに来るまでに〇〇について必ずやるよ」っていう約束をしてきました。その繰り返しが信頼関係を生み現地の行政も、村の人たちも本気になって一緒に取り組もうという姿勢につながってきたように思います。
飛田
なるほど。近道はなくて、一つ一つ積み重ねてきたから結果がでてきているのですね。今まで本当にいろいろなことがあったと思いますが、プロジェクトをやってよかったと思うことはありますか?
石原
いっぱいあるんだけど、つい最近のことで言うと、旭日大綬章を受賞されたような国家副主席がラオスからのお土産として美らラオを政府関係者に配ったようで、こういうことがあると、何か自分たちがやってきたことが認められたようでうれしいですね。文字が書けない、読めない人たちもこの工場で働いて給料をもらっていることで、「チャンスのない人にチャンスを与えるプロジェクトですね」と言ってもらったこともあり、周りからそのように評価されていることはとてもうれしい。
現地の人たちとのかかわりで言うと、村の女性が「私たちは、これから、考えない、ということが無くなるだろう」と話してくれたんです。今までは指示に従うだけで考えることがなかったけれど、自分が考えて行動する、ということをこれからもずっとやっていくと言ってくれた。言うだけだけじゃなくてこのプロジェクトでずっと実践してくれているんです。この姿を見て、本当にやってきてよかったと思う。
飛田
現地の人たちは、より良くするためにどうしたらいいのかということを自分たちで考え始めた、ということが一番の成果だということですね。
石原
そうですね、そうしないとプロジェクトが終わってもうまくいかないからね。
森田
将来国際協力をしたいなと思っている私たちのような大学生に、メッセージをお願いできますか?
石原
強みがないと相手に迷惑なんじゃないかと思うことがあります。国際協力をしたいという思いは強くても、直接現地に行って活動を行うときには強みでしか貢献できないので。自分も、ラオス行政の人たちから、「技術や経験を積んだ人から学びたい」ということを言われたことがあるので、何も強みがないのでは、そこに付き合わされる人たちにとっては、何をあなたから受け取るの?っていう思いにはなると思います。だから、自分の強みって何なのか?ということをよく考えてほしいなと思います。
それから、国際協力を現地で行うときに、教えるということで満足してはいけないとおもいます。本当に現地の人ができるようになったのか?というところを考えないと、自己満足で終わってしまいますから。現地の人の可能性を引き出すという視点を大事にしてほしいと思いますね。
刈谷・飛田・森田
今日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

インタビューを行った感想

飛田
今回初めて草の根事業を実施していらっしゃる団体の方にインタビューを行い、その内容や実施している方々の考えなどに大変刺激を受けました。石原さんがとにかく現地の人々からお話をしっかりと聞いて、彼らが本当に必要としていることや彼らの考え・主張を汲んで支援を進めていらっしゃるということが伝わってきました。また、国際協力を行う上で、「強み」がないと相手に迷惑であるというお話が特に印象に残りました。改めて自分の「強み」とは何かということを考え直し、これからの大学生活に生かしていきたいと思います。
森田
今回のインタビューでは、国際協力の難しさや大切なことを多く学ばせていただきました。ただ「教える」のではなく、「場を与える」ことが必要という言葉に国際協力は一方的なものになってはいけないということに気づかされました。本日学んだことを通して「国際協力への第一歩」を踏み出す人が増えるよう、より多くの名桜大学生に伝えていきたいです。
刈谷
ただ技術を教えるのではなく、一緒に考えて作り上げることによって支援者がいなくてもラオスの人たちだけでやることができる力を育む支援こそが本当の国際貢献であると思いました。教えることよりも同じ立場になって一緒に積み上げることの方が難しいと思います。しかし、石原さんは自分を信じ、諦めずにどうやればいいか考え続けたことが、結果として残り、信頼を築くことに繋がったと思いました。