JICA沖縄【大学生×草の根】シリーズ第8弾 -名桜大学生が「ビクトリアス市の自立的発展のための地域活性力強化プロジェクト」を取材-

2020年1月22日

【大学生×草の根】シリーズ(沖縄県内の大学生が、草の根技術協力事業の現場で活躍する方をインタビューする企画)第8弾。今回は、「ビクトリアス市の自立的発展のための地域活性力強化プロジェクト」の実施団体であるNPO法人レキオウイングスに、名桜大学の学生がインタビューしました。
インタビュアーは、今回も名桜大学の国際ボランティア研究会のメンバーが行いました。

プロジェクト概要

本事業はNPO法人 レキオウイングスが実施団体となり、2017年3月から地域活性化特別枠の草の根技術協力事業として実施されています。フィリピンビクトリアス市で、持続可能なまちづくりを推進するための人材育成、仕事づくりにアグリエコツーリズム(農業・環境観光開発)が貢献することを目的として、活動を行っています。詳細については下記リンクをご参照ください。

人物紹介

【取材対象者】
  • NPO法人レキオウイングス 副理事長 串間 武志さん
  • NPO法人レキオウイングス 事務局次長 先家 茉子さん
  • NPO法人レキオウイングス 国際協力コーディネーター 国吉 光希さん
【インタビュアー】
  • 名桜大学国際学群3年 国際文化専攻 堀之内 裕一さん
  • 名桜大学国際学群1年 飛田 ほのかさん
  • 名桜大学国際学群1年 服部 翼さん

インタビュー

インタビュアー
どんなきっかけでこのプロジェクトを行うことになったのか経緯を教えてください。
串間
ビクトリアス市の自立発展を促すために南城市モデルを現地に伝えていく事業なのですが、なぜ南城市かというと、理事長の安和も私も南城市に住んでいてつながりがずっとあるんです。アフリカのイベントをレキオウイングスが行った際、場所は南城市のシュガーホールを貸していただいたり、「緑のボランティア」といって、オーストラリアと日本のボランティアが南城市にある斎場御嶽の整備や久高島の草刈りなどを行うという活動も行ってきたんです。レキオウイングスは設立以来南城市とは繋がりがあるところで、南城市を活かすことができる国際協力を行うことにつながりました。
南城市は2006年に合併したんですが、4村が南城市として統合し、地理的にハートの形をしていることからハートのまちなんじょうのロゴを作り、なんじぃのゆるキャラを作ったり、いろんなところでロゴを使ったりして一体化するまちづくりを進めてきました。また、南城市ももともとサトウキビ畑がとても多かったけれども、農業や畜産の振興、観光促進なども進めてきた。こうした南城市の取組を、途上国の開発にも生かすことができるのでは?と考えたことがきっかけです。
インタビュアー
活動計画を現地のニーズに合わせるなど工夫したところは?
先家
押し付けにならないようにしてきました。ただ単に南城市モデルをそのまま伝えるのではなく、現地のニーズがあるものについて伝えていくということです。そのためには、互いの関係構築をすることが大事ですね。そこは常に心がけてきました。
インタビュアー
プロジェクトの概要を拝見させていただいて、なんで一つのプロジェクトで観光・農業・地域振興などいろんな分野を同時に支援できるんだろう、と思ったのですが、行政と一緒に行うことで総合的な街づくりができるのですね。
串間
そうですね。行政と一緒に活動していなかったら、こんなにいろんな分野を巻き込めなかったし、総合的な開発はできなかったと思いますね。
インタビュアー
行政と、具体的にどんな支援をされたのですか?
串間
事業が始まってすぐに、ビクトリアス市と一緒に市の計画を作ったんですよ。
市のバックグラウンド、既存のリソース、強みや弱みなどを洗い出すワークショップを行って、その中でやらないといけない優先順位1~8までの戦略書を作りました。そういうことを、今まで全くビクトリアス市はやったことがなかったけれど計画段階から1から一緒にやってきました。
中期計画、年間計画など日本ではどんな行政でもやっていて、それがちゃんとできているかというPDCAサイクル(Plan, Do, Check, Action)など南城市が行っていることも伝えてきました。この草の根事業は、その計画をもとに、ビクトリアス市の農業課・観光課・企画課それぞれが活動をし、月に一回会議を開いて現状と課題などを話し合い、課題があればそれをどう解決するかを議論し、行動してきたという、現地の人がとても主体的に活動してきた事業ですね。
インタビュアー
ビクトリアス市の職員もモチベーションが高いんですか?
先家
ビクトリアス市長をはじめ皆さんものすごくモチベーション高いですね。モチベーションだけでなく、皆さん本当に頭がいい方で、行動力もある。実践だけでなく論理的に進めているところがすごいと思います。
ビクトリアス市の人たちは、一つ一つの活動についての意味を考え、自分たちの意思で自分たちが考えた計画で進み、それに対して日本側は側面支援をしてきた、という感じですね。
インタビュアー
なるほど。プロジェクト実施中に難しいと感じたこと、課題はありますか?
先家
スケジュールを立ててもその通り行かないことが多いですね。日本の価値観で活動を行っても難しいところはあると思います。
インタビュアー
イレギュラーなことが起こった時などストレスがかからないですか?どのように対応されているのかぜひ聞かせてください。自分たちも生活でストレスがかかるときの対処法として参考にさせていただきたいので。
先家
面と向かって話をしているとカッとする場面もあると思うんですが、その時に態度に出すんじゃなくて、いったん落ち着くことですかね。自分を落ち着かせることです。これはトレーニングしかないですね。(笑)
インタビュアー
現地の人たちやいろんな行政の部署など、多くの人を巻き込んでプロジェクトをされてきたと思いますが、多くの人と一緒にやることで大事にすることは?
先家
話を聞くこと。フィリピン人とか日本人とか関係なく、耳を傾けて、相手の話を大事にして対応していくことですね。
インタビュアー
ビクトリアス市に何度も訪問されておられると思いますが、現地の面白い文化や行事、風習などあれば教えてください。
先家
課長に女性が多いです。男女など性別にかかわらず、能力に応じて登用する、というところはとても進んでいると思いますね。性に対する理解も日本よりはるかに進んでいます。
【画像】
インタビュアー
ありがとうございます。ここからプロジェクトとはちょっと外れた質問にはなるんですが…皆さんが国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?
国吉
父がフィリピン人ということもあり幼少期からフィリピンに行く機会があったのですが、ある時車に乗っているときに、私と歳が同じくらいの子どもたちが車をノックして、お金をちょうだい、と言ってきた。またある時には、子どもたちがお墓の掃除をしていた。そうした光景になんだかとても心に引っかかるものがあったんですね。
それから何年もたって、縁あってヨーロッパに留学したとき、ドイツ語のクラスにアフリカの人たちが何人もいたんです。ドイツに勉強に来た理由を聞いたら、戦争のために大学が閉まったからここに来た、って言われたんですね。
同じ世界で同じ時を生きてるのに、なんでこんな知らないことが沢山あるんだろう、私がいる世界って本当に幸せな生活なんだなと感じた。そのことがきっかけで、国際協力の道に進みたいと思ったことがきっかけです。
先家
ソフトボールをずっとやっていて、体育の先生になりたかったんですけど、アフリカで医療現場をやっているという話を聞いて、すごく衝撃を受けたんですね。私何にも世界で起こっていること知らないなと思って、それからとても国際協力について学びたくなったんです。それは高校3年生の時だったんですけど、そこから勉強して、それから名桜大学で国際協力を学んで、今のこの道に進んでいます。
串間
営業の仕事をやっていたんですけど、ある時ふと協力隊の説明会を聞きに行ったときに、いろんな職種があって、その中でも自分がやっていた空手の分野もあったので、応募したら、合格した国がタンザニアだったんですね。タンザニアに行って、とても課題が多いところだなと感じたことから、国際協力の道に進んできた感じですね。
インタビュアー
なるほど。皆さんいろんなきっかけから国際協力の道に携わっておられるのですね。
最後に、将来国際協力の分野に進みたいと思っている学生に一言アドバイスをお願いします。
先家
英語の勉強をしたほうがいいと思いますね。
国吉
国際協力の現場で働きたいのか国連などの機関で働きたいのかなど、どんなタイプの国際協力をしたいのかによって違ってくると思いますよ。
JICA partnerのスカイプ面談で、自分が知らない情報をたくさん教えてもらえたのはありがたいなと思います。ぜひ見てみてください。
串間
まずは行動してほしい。今から何かを始めれば10年後すごい強みになります。
後で後悔しないように若い時にいろんなことに挑戦してみたほうがいいと思いますね。
インタビュアー
今日はいろいろなお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
串間・先家・国吉
こちらこそ、ありがとうございました。

インタビューを行った感想

堀之内
レキオウイングスさんが行政との提携の中で行っている、「総合的」相互協力の内容を知ることができ、事業を展開していく中で、相手の話を聞くこと、自分たちがやることの意味・価値を知ることが重要だということを学びました。
飛田
事前にレキオウイングスさんの事業を調べる中で、観光や農業、教育といった広範囲にわたる活動をされていることを知り、どのようにプロジェクトを進めたら、このような幅広い支援が可能になるのだろうと疑問を感じていました。今回インタビューを行い、現地のカウンターパートであるビクトリアス市役所の職員さんたちの町おこしにかける思いや様々な分野の人たちが協力し合うことが町おこしには必須であるということを知り、また一つ国際協力の在り方を知ることができ、嬉しく思います。
服部
国際協力のなかで私が最近必要だと感じていることは、いかに押し付けにしないで対象の町や村と協力できるかということでした。ビクトリアス市とのプロジェクトの工夫した点で実際にどのようにして相手の意見を取り入れているのかということがよく分かってよかったです。大学を卒業してから自分がどのような形で国際協力の世界に関わっていくのかということを考え、それに必要なことにこれから取り組んでいきたいと思います。