「第9回中南米日系社会との連携調査団」ブラジル派遣報告 ~沖縄県より、有限会社ゆいまーる牧場(石垣市)が参加~

2020年3月9日

「ブラジル市場の概要ブリーフ」にて野口総領事挨拶

「サンパウロ・ビジネスネットワーキング」の会場は満席に

続いて行われた商談会

ゆいまーる牧場 金城代表によるプレゼン

金城氏の飼育方法に多くの質問が寄せられた

「ブラジル日本移民資料館」訪問

 2020年2月2日から15日までの14日間、「第9回中南米日系社会との連携調査団」がブラジルに派遣され、同国でのビジネス展開に関心を有する13社のうち、沖縄県からは有限会社ゆいまーる牧場(代表 金城利憲氏/石垣市)が参加しました。

 同調査団は、約2週間の行程でサンパウロ州、パラナ州、ミナス・ジェライス州の3州を訪問し、日系農業協同組合や野菜農家、酪農家を視察しました。遠い昔に日本から海を渡った日本人移住者及びその子弟によって築かれた日系社会への理解を深めるとともに、開発課題に関する情報収集や自社製品のプレゼン、現地関係者との意見交換を行いました。

 2月2日に到着した調査団は、まずはサンパウロにある「ブラジル日本移民史料館」を訪問し日本移民の歴史について理解を深めました。その日の午後、ブラジル日本商工会議所にて開催された「ブラジル市場の概要ブリーフ」では、ブラジル日本商工会議所の平田藤義事務局長、JETROサンパウロ事務所の大久保敦所長、BBBRグループの倉智隆昌CEO、佐藤ジルセウ弁護士、上野マミ会計士、三井住友海上ブラジルの長谷川晃シニアマネージャーらによるプレゼンテーションを通じて、ブラジル経済の展望やビジネス展開の留意点、商工会議所の機能等について学びました。
 2月4日以降、13社は各分野に分かれた視察を開始しました。㈲ゆいまーる牧場の金城氏は、農業分野の一員としてサンパウロ近郊の野菜農家、肉牛農家、日系の農業協同組合を視察し、情報収集や意見交換を行いました。「質の良い肉牛を生産するため、人間より牛の方が偉いという意識で、牛にストレスを与えずに飼育する事を大切にしている」との同氏の飼育方法には、ブラジルの肉牛農家も熱心に耳を傾け、多くの質問をしていました。
 2月6日にはロンドリーナ、2月9日にはクリチバ、2月11日はベロ・オリゾンテへと移動し、各地で農業協同組合や酪農家を訪問、現地関係者と活発な意見交換が行われました。
 調査団の行程では、視察のみならず、訪問各地でビジネスネットワーキングや商談会も実施しました。2月4日には、サンパウロ州工業連盟(FIESP)との共催による「サンパウロ・ビジネスネットワーキング」、2月7日にはロンドリーナに所在する日系ビジネス団体「Integra Nikkey」との意見交換会、2月10日にはパラナ州開発局、パラナ州工業連携との「セミナー・商談会」、2月12日はミナス・ジェライス州政府との「セミナー及びネットワーキング・商談会」を通じて精力的にマーケティング活動を行い、ブラジル各地で自社の製品・サービスをPRしました。

 日本への帰国前日となる2月14日、JICAブラジル事務所で実施された報告会では、金城氏より「南米に来る事は長年の夢であり、同調査団への参加を通じてようやく希望が叶った。牧場経営には大規模型と小規模型の両方の牧場が必要であり、ブラジル国内で生産されている品種でも、和牛のような良い肉が作れる。」とブラジルでの牧場経営に向けた手ごたえが語られると共に、今後の事業展開について発表がありました。
 同調査団参加後の展開として、JICA「中小企業・SDGsビジネス支援事業」への応募や、自社でのブラジル出張・継続調査を検討している参加企業もあり、これからの動向が注目されます。


<お問い合わせ>
 JICA沖縄 民間連携担当 上原、米里
 TEL:098-876-6000  E-mail:jicaoic-psp@jica.go.jp