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日・ホンジュラス外交樹立90周年記念ロゴインタビュー ハンシーさん

2025.03.24

日・ホンジュラス外交樹立90周年の記念ロゴを作成された、JICAホンジュラス事務所のハンシー・ホセ・カラスコさん(以下、ハンシーさん)にお話を伺いました。

   JICAホンジュラス ハンシー・ホセ・カラスコさん(Mr. Hansy Carrasco)

【作成されたロゴについて】

-初めに、ハンシーさんが制作されたロゴについてお聞きします。どうしてロゴを制作しようと思われたのですか?
実は、これは偶然の出来事だったんです。
もともとは青年海外協力隊ホンジュラス派遣50周年のためにとりあえずロゴの案をいくつか作成していたのですが、その際に5、6案ほどあったうちの一つを、大使館が立ち上げた日・ホンジュラス外交関係樹立90周年のロゴを選ぶコンテストにも提出したのです。大使館はそれをとても気に入って、迷わず選んでくれました。

-たくさんのロゴの中から1つを選んだわけですね。選んだロゴのどこが一番気に入ったのですか?

僕は日本とその文化が大好きなので、日本文化を凝縮しようと考えました。
その中で、誰もが知っている折り紙と鶴という幸運・繁栄・平和のシンボル、そして太陽という日本を象徴する要素をひとつにまとめました。

ホンジュラスの方は、9という数字にホンジュラスの国旗のターコイズブルーを使ってみました。ターコイズブルーと白、5つの星というホンジュラスの国旗の要素を凝縮するのは、シンプルな日本の国旗に比べてとても難しかったので、ターコイズブルーだけを使うことにしました。そして、ホンジュラスの国鳥であるコンゴウインコを、ホンジュラスを象徴するものとして加えました。

ただ、このロゴの中で強調したいのは、ホンジュラスと日本の間にある水引です。日本人はプレゼントを贈るとき、あるいは何か特別なとき、水引をつけてプレゼントを贈りますよね。だから僕らにとっては、この水引が90年にわたる両国の関係をプレゼントとして象徴するものだと考えました。

-日本の文化にすごく詳しいですね。どこで学ばれたのですか?

私はアメリカで育ったので、JICAに入る前から、学校や観光で出かけたときなど、いつも多文化的な場面と身近に接していました。2度日本を訪れる機会があり、そこで日本文化への理解を深め、日本の文化や伝統、美食に夢中になりました。日本人のマインドセットもたくさん知ることができて、本当によかったと思います。

-そして、ロゴを見ていて気付いたのですが、折り鶴が通常のものと違い飛んでいるようにデザインされていますよね?ここにはどんな意味が込められているんでしょうか。

そうですね。 これは、ホンジュラスと日本が親密になるということを意味しています。日本は常に行動し、私たちとたくさんのことを分かち合ってくれますし、私たちもそういった協力が来ることを期待し、受け入れています。

-だから2羽の鳥が向かい合うようにデザインされているのですね。
そうですね。日本からホンジュラスまでは距離がありますから、日本からわざわざホンジュラスに来て、一緒に仕事をするという距離感も表現しています。

-なるほど。たくさんの意味が込められているのですね。
 とてもすてきだと私自身感じていますし、90周年にふさわしいロゴだと思います。
 ほかに何かロゴについて伝えたいことはありますか?

選ばれたという知らせを受けたときは本当に驚きましたが、このロゴを通して両国の長い友好関係を表現できることは、私にとって名誉でとても意味のあることです。
私の家族も、大使館で大使からささやかな贈り物を受け取った私を本当に誇りに思ってくれました。

-大使もこのロゴは気に入られたんじゃないでしょうか?

そうなんです。彼らは何かイベントがあるといつもロゴを持ってきてくれるので、「ああ、本当に気に入ってくれたんだな 」と感じます。
ミーティングではテーブルの上に置いたり、イベントでもいつも手にしているんです。私の作ったロゴを披露してくれるのは本当に嬉しいですね。

【ナショナルスタッフのお仕事について】

-現在どのようなお仕事をされているのか、教えてください。

様々なプロジェクトに関わっています。例えば、ホンジュラスの首都の給水プロジェクトに携わっています。農業分野ではSHEPアプローチ(※1)をとろうとしていますし、観光分野では、SICAとの地域的なプロジェクトを開始してCBT (コミュニティ・ベースド・ツーリズム)(※2)のベストプラクティスや開発方法をまとめたガイドブックのようなものを作ろうと思っています。

もうひとつは、小松大学との草の根プロジェクトです。
彼らは、コパン遺跡の近くにあるマヤのコミュニティーにエコ・ミュージアムのコンセプトを導入しようとしています。また、マヤ文化の宝物を展示するコパン遺跡の地域考古学博物館を改修・設置するプロジェクトもあります。環境分野では、生物多様性プロジェクトや廃棄物処理プロジェクトに携わっています。
これらが今やっていることですが、あくまでも一部にすぎません。

-これらすべてのプロジェクトを管理しているのですね。

そうですね、本当に面白いし、自分の仕事に情熱を持っています。
それに、JICAを通じて自国にも貢献できていると実感しているので、とても生産的に仕事ができています。
プロジェクトを管理するだけでなく、専門家にはできないけれど自分にはできることをやってみたいと思っています。具体的に、私はグラフィックデザイナーでもあるので、デザインやビデオの作成を通してPRのお手伝いをしています。ホンジュラスだけでなく、中米地域全体にプロジェクトを紹介することに意味があると思っています。

-JICAに来る前はグラフィックデザイナーとしてお仕事をされていたのですか?

話せば長くなるのですが、若い頃はボーイスカウトをやっていて、5年間は少年消防士もやりました。
JICAで働く前は、5年間英語教師をしていたし、NGOで極貧の人々のために家を建てる仕事もしていました。たくさんのボランティアプログラムを転々としてきましたが、最後に紹介したNGOで、グラフィックデザインとビデオ編集の能力を伸ばしました。その後、JICAに来ました。

-なるほど。JICAで働いている人たちは、ボランティア精神を持っていると思います。あなたもその一人ですね。

そうですね、ボランティアの精神は心を開くものだと思います。
それにより現実に触れることができる。10代の若者は他人を助けようとしないことがありますが、他人を見て、他人の面倒を見、現実に良心を抱くようにならなければ、市民である意味がないと思います。
自分の周りで起こっていることを理解すれば、そこで良心が生まれます。そして、なぜ自分がこの分野やこのテーマを勉強しているのかが理解できるようになるのだと考えています。

【日本とホンジュラスの関係について】

-日・ホンジュラス外交関係樹立90周年の年です。ホンジュラスの人たちは日本に対して良い印象を持っていると聞いていますが、今後の日本とホンジュラスの関係はどうなると思いますか?

ここホンジュラスでは、みんなが日本人を尊敬しています。
それは90年という長い付き合いがあるからだけでなく、日本と質の高さを結び付けているからです。
将来何が起こるか予見することはできませんが、質の高さをもとに長く続いてきたこの信頼関係は、ほとんど永遠を意味すると思っています。

-その関係を続けていくためには、JICAや日本でホンジュラスのことを知っている人たちが、日本でもっとホンジュラスのことを広めていく必要があるかもしれませんね。

はい、本当にそうだと思います。
日本にいたとき、時々ホンジュラスのコーヒーにスポットを当てているコーヒーショップがあって、これは、ホンジュラスが持っている質の高い製品によってホンジュラスを宣伝し、国を代表する良い方法だと感じました。
チョコレートやコーヒー、その他の製品もそうですが、ホンジュラスには日本人にも興味を持ってもらえるような観光スポットがあります。
文化的なことかもしれないし、自然のことかもしれないし、ビーチを楽しむことかもしれない。 様々な方法でホンジュラスと日本はつなぐことができると思います。

【日本に向けたメッセージ】

-日本の方々に向けて、メッセージをお願いします。

日本に、日本の人々に、日本政府に、ホンジュラスの名において本当に感謝しています。
90年間、ホンジュラスにおける日本の影響は非常にポジティブなものでした。だからこそ私たちは今、この友好90周年を祝うことができるのです。ホンジュラスと日本は「トモダチ」です。
つまり、友人として、私たちは問題を共有し、共に解決することができます。そして、この共創の関係の中で、私たちはお互いに学べることを見つけることができるのです。ですから、このすべてのこと、この協力関係、そしてこの90年にわたる友情と互いからの学びに感謝します。

(※1)SHEP アプローチ
小規模園芸農家支援のアプローチ。農家に対し、「作ってから売り先を探す」から「売れるものを作る」意識変革を起こし、営農スキルや栽培スキル向上によって農家の園芸所得向上を目指す。
SHEP(市場志向型農業振興)アプローチ | 事業について - JICA)

(※2) CBT (コミュニティ・ベースド・ツーリズム)
地域住民主導による観光開発のこと。
プロジェクト事例:
北部地域における持続的なコミュニティを基礎とした観光開発のためのメカニズム強化プロジェクト | ODA見える化サイト
貧困削減に資するコミュニティ・ベースド・ツーリズム計画プロジェクト | ODA見える化サイト)

【関連リンク】
ホンジュラス | 海外での取り組み - JICA

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