jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

円借款貸付契約の締結:「ユニバーサル・ヘルス・ケア構築プログラム・サブプログラム2」への財政支援を通じて、同国のUHC達成に貢献します

#3 すべての人に健康と福祉を
SDGs
#5 ジェンダー平等を実現しよう
SDGs
#10 人や国の不平等をなくそう
SDGs

2025.03.31

国際協力機構(JICA)は3月24日、フィリピン共和国政府との間で、「ユニバーサル・ヘルス・ケア構築プロジェクト・サブプログラム2」を対象とした300億円を限度とする円借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に署名しました。


フィリピンは近年の経済成長に伴い、平均寿命等の保健に関する指標の一部には改善が見られるものの、保健分野全体としては依然として課題があります。例えば、保健サービス利用率や保健サービス提供能力指標を組み合わせて指数化する「UHCサービスカバレッジ指標」は2021年には100点中58点と世界平均68点よりも低く、2019年の60点から低下しています。質の高い保健サービスに公平にアクセスできないことが核心的な課題となっているのです。


そのような状況の中で、JICAは本案件を通じて、2019年に開始したアジア開発銀行(ADB)のプログラム・ローン「Build Universal Health Care Program」(以下、「Build UHC」)に協調融資することを決定しました。Build UHCはフィリピンで2019年に成立したUniversal Health Care Act (UHC法)の重点政策分野でもある①保健財政・医療保障制度の強化、②保健サービス提供能力の強化、③情報管理と説明責任の強化を軸に、3つのサブプログラム期間を通じてフィリピン政府による政策の形成や実施を促進することで、質の高い保健サービスへの公平なアクセス改善に取り組むものです。JICAは本案件を通して、UHCの達成における優先順位の高い政策等の実行を支援し、保健財政、保健医療サービスの提供能力及び情報管理・説明責任の強化に貢献します。

JICAはこれまでもフィリピンの保健分野において、母子保健や結核・狂犬病等の感染症対策、新型コロナウイルス感染症危機対応緊急支援等、幅広く協力を実施してきました。そうした中でも本案件は、フィリピン保健分野に対する初めての政策借款となり、政策対話を通じて、フィリピン政府による政策の形成や改善、実施促進を図ります。また、本案件にはJICAが支援中または検討中の母子保健や感染症対策等の技術協力プロジェクトに関連した政策アクションを追加提案しており、アクション実施および運用・効果指標の達成を促進し、開発効果の発現・増大を図ります。

案件の基礎情報については、こちらをご覧ください。

イヌに狂犬病の予防接種・採血をしている様子。採取したサンプルは中央検査室に持ち込んで検査されます。中央検査室のある熱帯医学研究所(RITM)は1981年に日本政府の無償資金協力により建設されました。

「狂犬病迅速診断キット(Lateral Flow Device:LFD)」を使用した狂犬病診断のデモンストレーションの様子。この迅速診断キットは大分大学とアドテック社が共同開発しており、本キットの普及・実証実験はフィリピン全土で実施されました。(このプロジェクトの詳細はこちら

感染症ネットワークの強化を図るプロジェクトの一環で、2024年8月26日から9月6日までの2週間、日本で研修を実施し、フィリピン保健省の中央・地域病院と研究所から16名が参加者しました。研修員は検査室ネットワークと全ゲノムシークエンス(Whole Genome Sequencing :WGS) 及びサーベイランス・データ分析について、日本の技術や手法を学びました。(このプロジェクトの詳細はこちら

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