教科書を“活かす”授業へ ポポンデッタ小学校で教員研修を実施

2025.05.07
2025年4月4日、算数の国定教科書を活用した教員研修がオロ州ポポンデッタにあるポポンデッタ小学校にて実施され、約30名の小学校教員が参加しました。指導を担当したのは、同校で活動する海外協力隊の鈴木佑隊員で、本研修はJICAが作成に携わった国定教科書の効果的な活用方法を同僚教員と共有することを目的に開催されました。
“準備”が、子どもたちの理解を支える力になる。
「読む」から「わかる」へ。教科書を“体験”する授業。
なぜ今、教員研修が必要なのか? 〜教科書が“使われない”理由〜
近年、理数科の国定教科書がオロ州内の小学校に配布されていますが、現場の多くの教員がそのポテンシャルを十分に活かしきれていませんでした。背景には、最近まで実施されていたOutcome Based Education(成果基盤型教育)に慣れた教員が新しい教材活用法に戸惑うという現状があります。本研修はこうした課題に対して具体的な解決策を提供する機会となりました。
「伝える」から「伝わる」授業へ 〜研修の工夫と内容〜
講義形式で行われた研修では、鈴木隊員から算数の教科書および教師用指導書の使い方、授業の組み立て方、さらには視覚教材や児童のつまずきへの対応方法など、実践的な知識が共有されました。特に、実際に授業を行って得た教訓や成功事例を交えながらのプレゼンテーションは、参加者に大きなインパクトを与えました。
教員の目が変わる、授業が変わる 〜参加者の声と反応〜
若手教員は教科書の効果に理解を示し、中堅・ベテラン教員は視覚的教材の力を改めて実感するなど、幅広い層に学びが生まれました。校長からは「良い教科書も“読ませるだけ”では意味がない」との力強いコメントも寄せられ、現場に確かな気づきが生まれた様子がうかがえます。
子どもたちの“わかる”のために、先生たちも学び続ける!
教科書の挿絵を実際に再現!視覚で学ぶ算数教材に。
持続可能な学びに向けて 〜次なるステップは市内全校展開〜
本研修は、ポポンデッタ市内の治安の影響により、度重なる延期を乗り越えて開催されました。今後は学期ごとに定期研修を実施し、算数だけでなく理科や環境教育など他教科にも広げていく予定です。将来的には、ポポンデッタ市全体への展開や教科ごとの分科会の開催も視野に入れています。
教育現場の“変わろうとする力”に触れて 〜隊員の気づきとこれから〜
当校の8割以上の小学校教員が参加し、熱心に耳を傾ける様子からは、現場の強い向上心が感じられました。現地の教員が教科書の真の価値に気づき、自らの授業に取り入れようとする姿勢は、技術移転の手応えそのものでした。今後は、現地教員による公開授業を通じて、更なる知識と経験の共有を進めていきたいと考えています。
●関連リンク
・算数教育支援:現場と政策をつなぐJICAの取り組み
・PNGの教室から大阪・関西万博へ:子どもたちが伝える文化と環境(ジュニアSDGsキャンプ)
・2024年度 加藤国際大学副学長によるJICAチェアの講義
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