リンパ系フィラリア症のない未来へ:駆虫薬の集団投薬後ワークショップを開催

2025.05.28
2025年5月8日~9日、リンパ系フィラリア対策プロジェクトは、PNG保健省(NDoH)および世界保健機関(WHO)と共催で、西ニューブリテン州の州保健局関係者を対象とした、駆虫薬の集団投薬(MDA)実施後の効果・評価に関するワークショップを州都キンベにて実施しました。
参加者集合写真
西ニューブリテン州 では、WHOの実施ガイドラインに基づき、イベルメクチン、ジエチルカルバマジン(DEC)、アルベンダゾールの3種類の薬剤を用いたMDAが、2023年および2024年に州内のほぼ全住民を対象に実施されました。その結果、第1回63%(約20.2万人が投薬完了)、第2回79%(約25.7万人が投薬完了)という高い投薬率を達成しています。
西ニューブリテン州保健局 公衆衛生部 部長 Dr. NaleによるMDA結果に対する総評
JICA フィラリア対策プロジェクト・チーフアドバイザーによる各投薬率に関する説明
今回のワークショップでは、協働機関による実施状況のレビューに加え、主要な成果や今後の課題についての提言も行われました。評価では、集団投薬の実施により費用対効果の面から資源の効率的な活用が進み、時間とコストの削減につながったことが報告されました。また、リンパ系フィラリア症(LF)に加え複数の顧みられない熱帯病(NTDs)の排除にも効果があった点が強調されました。さらに州保健局からは、事前研修の実施や、各疾患に関する知識・診断スキルの向上を通じた人材の能力強化も成果として報告されました。
一方、現場で活動したヘルスセンタースタッフからは、通信環境の脆弱さやインフラ未整備によるアクセス困難な村への訪問の難しさ、活動人員の不足、州保健局の経費精算手続きの遅延など、さまざまな課題も報告されました。
グループディスカッションの様子
NDoHより授与された駆虫薬の集団投薬活動への感謝状
参加者全員が、数々の困難を乗り越えてMDAを完遂したことへの達成感とその意義を共有し、本ワークショップはMDA実施の正式なクロージングの場として、非常に意義深いものとなりました。
●関連リンク
・顧みられない熱帯病(NTDs)制圧への取り組み: 世界NTDの日におけるグローバルヘルスの未来
・JICA帰国研修員がパプアニューギニアの課題解決に貢献
・日本の経験が今、PNGの力に:JICAチェアが初のPNG政府関係者向け講義を開催
●最新の活動やイベント情報はフェイスブックでもご覧いただけます。(英語)
JICA Facebook Page
scroll