「KAIZEN PROJECT」活動日記vol.7 -地域の実践と日本の経験の融合-
2026.06.10
2026.06.10
JICA海外協力隊の中西と申します。現在、ミルンベイ州アロタウ市(以下、任地)にある同州政府工事監督局(以下、当局)に勤務しています。
さて、ミルンベイ州の管内には珊瑚海に広がる広大な島嶼部を有しており、それらは3つの行政区に細分されます。そのうちのサマライ・ムルア(Samarai-Murua)行政区のサマライ島の防波護岸(以下、護岸)工事の現場を訪問し、その改善について開催したワークショップの様子をお伝えします。
まず、現場説明ですが、空から見渡すと真新しいコンクリートの護岸(写真1)の背後に地方政府の事務所と議事堂、教会を控えています。これら重要な保全対象を海岸浸食(写真2)より防ぐため、2024年から2025年まで当局作業班の直営施工により復旧されました。
写真1
写真2
掘削、土砂運搬は全て人力施工、コンクリートは現場練りですが、護岸天端(写真3)に沈下や目立ったひび割れはなく、丁寧できれいな仕上がりになっていました。
写真3
本ワークショップで改善案を提案するにあたり、まず構造物の特性を説明し、同様の構造物の被災事例から改善案を提案することとしました。
本護岸は高さ2m、野面石を詰めた金網かご(写真4)を2段に積み、相互に連結したものであり、更に厚み10cmのコンクリートで金網かご表面を補強した構造物(写真5)です。ここ任地では一般的な構造物で、日本の大型布団かごと似ています。
(写真4)
写真5
この構造物の弱点を理解するため、任地の他所管の被災事例(写真6)を紹介しました。被災のプロセスは、基礎が洗堀された区間が増水により押し流された際、金網かご同士が強く連結されていたため、健全な区間も引きずられて被害が拡大しています。
(写真6)
この様な事態を避けるため、長い構造物に一定間隔の区切りを入れて、被害を小さくする日本の事例(写真7)を紹介しました。コンクリートのひび割れ対策としても有効です。
自然災害は避けられず、被害そのものを防ぐことは困難です。しかし、被害を小さくすることは可能です。
現在、既存の護岸の標準設計図を改良して当局内でシェアするべく作業中です。任地の実情を把握し、日本の考え方を紹介しつつ、同僚スタッフとともに改善案を考える(写真8)。本活動がより良い公共工事の一助となれば、この上ない喜びです。
写真7
写真8
●引用文献
1)国土交通省HP(2011):第1回海岸における津波対策検討委員会,配付資料 資料4「海岸堤防・護岸の被災状況」; https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/kaigantsunamitaisaku/dai01kai/index.html
●関連リンク
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