PNGの教室で見つけた学びと交流 -教師海外研修参加者が現地の小学校と高校を訪問-
2026.08.07
7月25日から8月1日にかけて、日本全国の教育関係者10名が、JICA教師海外研修(教育行政コース)の一環としてパプアニューギニア(PNG)を訪問しました。
本研修は、日本の学校教育関係者が開発途上国の社会や教育の現状、JICAの国際協力事業について理解を深め、その学びを日本の学校現場に持ち帰ることを目的としています。研修期間中、参加者はセントラル州のソゲリ地区にある小学校と国立ソゲリ高校を訪問し、JICA海外協力隊による算数の教育活動や日本語教育の現場を視察しました。日本とは異なる教育環境の中で学ぶ子どもたちとの交流を通じて、教育が持つ力や国際協力の意義について考える機会となりました。
訪問校到着後、生徒たちによる歓迎式典が行われ、心温まる歓迎を受けた。
算数教育隊員の活動に触れる
ソゲリ小学校では、算数教育隊員として活動する金本隼太隊員による算数の授業を見学しました。
授業では、児童が主体的に考えながら学べるよう、具体物や教材を活用した指導が行われていました。子どもたちは積極的に手を挙げ、自分の考えを発表しながら学習に参加しており、教室には活気があふれていました。参加者は、児童が前向きに授業へ参加する様子を見学するとともに、限られた教材や設備の中でも児童の理解を促すために工夫を重ねる金本隊員の実践に触れました。
また、授業見学にとどまらず、参加者自身が教育活動に加わる場面もありました。算数の授業では、金本隊員や現地教員とともに机間指導を行いながら児童の学習を支援しました。さらに、現地教員が不在で自習となっていたクラスでは、折り紙やあやとりを紹介し、日本の遊びを通じた交流を実施しました。
折り紙やあやとりを紹介すると、子どもたちは興味深そうに取り組み、教室には笑顔が広がりました。日本の遊びを通じた交流は、参加者にとっても印象深い経験となりました。
ソゲリ小学校で活動中の金本 隼太隊員(小学校教育)
授業を参観するだけでなく、参加教員も机間指導に加わり、子どもたちとの触れ合いの機会を持った。
担当教員が不在で自習となっていたクラスで、参加者が日本文化紹介を実施し、子どもたちとの交流を深めた。
元協力隊員がつなぐ日本語教育
参加者は、国立ソゲリ高校も訪問しました。同校では、JICA海外協力隊員としてPNGに派遣されていた笹瀬さん(2014年度-3次隊:小学校教育)が日本語教育に携わっており、日本語の授業を見学しました。授業では、生徒と参加者が日本語で自己紹介や会話を交わしたほか、日本やPNGの文化、学校生活、日常生活などについて意見を交わし、相互理解を深めました。
日本から訪れた参加者にとって、遠く離れたPNGで生徒たちが熱心に日本語を学ぶ姿は新鮮な驚きでした。生徒たちは積極的に日本語を使い、日本文化や日本での学びについて質問するなど、高い関心を示していました。
また、協力隊経験を持つ笹瀬さんが、帰国後もPNGとのつながりを大切にしながら日本語教育に携わる姿は、国際協力が人と人との長期的なつながりによって支えられていることを感じさせる機会となりました。
参加者が生徒たちと日本語で会話を交わし、学習の成果を確かめ合った。
ソゲリ国立高校で日本語を指導する笹瀬さん。協力隊経験を生かし、現地の日本語教育を支えている。
現地教員との活発な意見交換
ソゲリ小学校では、小学校の現地教員約20名との意見交換会も実施しました。まず、日本の教員から、日本の学校における特別活動(特活)の取組についてプレゼンテーションが行われ、学級活動や学校行事、児童・生徒の主体性を育む実践が紹介されました。
その後の意見交換では、研修参加者から授業見学を通じて感じた疑問や日本の教育実践について紹介があったほか、現地教員からはPNGの教育現場が抱える課題や日頃の指導の工夫について共有がありました。双方から多くの質問や意見が寄せられ、日本とPNGの教育について活発な議論が交わされました。中には英語でのコミュニケーションに不慣れな教員もいましたが、一生懸命に自分の考えや経験を伝えようとする姿が見られました。国や言語の違いを越え、教育に携わる者同士が学び合う貴重な機会となりました。
参加者が現地教員と意見交換を行い、それぞれの教育実践への理解を深めた。
小学校校長が参加者へ謝意を述べるとともに、今後の交流継続への期待を語った。
教育を通じて広がる国際交流
今回のソゲリ訪問では、算数教育隊員による授業実践や、元協力隊員が支える日本語教育の現場を通じて、日本とPNGを結ぶ交流の姿を見ることができました。
参加者は、子どもたちや教員との交流を通じて、日本とは異なる教育環境や課題に触れるとともに、「学びたい」という子どもたちの思いが国や文化を越えて共通していることを実感しました。
今回の訪問は、参加者にとってPNGの教育現場や国際協力の取組を身近に感じる貴重な機会となりました。
JICAは今後も、教育分野における協力や人的交流を通じて、日本とPNGの相互理解の促進に取り組んでいきます。
●関連リンク
・日本の教育関係者がパプアニューギニアを訪問 現地の教育現場とJICA事業を視察(2026 JICA教師海外研修)
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