市民参加の概要・取り組み方針

JICAでは、草の根技術協力事業、ボランティア事業、NGO等活動支援事業、開発教育支援事業等を総称して「市民参加協力事業」と呼んでいます。

市民参加協力事業の理念、意義、取り組み方針等は次のとおりです。

市民参加協力事業の理念

JICAは「国際協力を日本の文化に」を理念として、市民参加協力事業に取り組んでいきたいと考えています。

  • JICAは、私たちのくらしが海外との相互依存の上に成り立っているとの認識に基づき、日本の文化である「他者に対する共感や助け合いの伝統」を、身近なコミュニティだけではなく貧困などの問題に苦しむ途上国の人々に対しても広げていくことにより、国際協力が当たり前で身近に感じられる社会を目指していきます。
  • JICA独自の取り組みによりこの理念を実現することは困難であり、NGO、自治体、大学、民間企業などの幅広い層と協働して開発途上国の現状を広く国内で伝え、また市民による国際協力活動が途上国の人々に届くプロセスを支援していきます。

市民参加協力事業の意義

JICAは、市民参加協力事業には以下の意義があると考えています。

1)開発途上国の様々なニーズに応える協力アプローチの多様化

人間の安全保障や持続可能な開発目標(SDGs)の達成、およびそれらを通じた開発途上国の課題解決のためには、開発途上国の行政機関を通じた協力だけでなく、現地の住民やコミュニティに対するきめ細やかで直接的な働きかけも求められています。JICAは、これらの点で多くの経験を有するNGO等、さまざまなアクターとの連携が重要と考えています。

2)我が国の幅広い開発経験の活用

日本が先進国へと発展を遂げた過程では、地域おこしや生活改善運動など市民が主導した活動が多くありました。我が国の開発経験を途上国の人々に伝えるためには、通常の援助リソースに加え市民、自治体、NGO、大学等を含む国内のより広い層の知見を生かした協力を進めることが重要と考えます。

3)国際協力の担い手の育成支援

多様化する開発課題等への対応には、従来に増して層の厚い援助人材が必要です。JICAは市民参加協力事業を通じて市民の国際協力への関心を高め、参加の機会を提供するとともに、国内で高い専門性や技術をお持ちの方が国際協力の分野で活躍するきっかけを増やす等により、国際協力人材の裾野を拡大したいと考えています。

4)日本社会への還元

海外の国際協力の現場における経験が、国内で地域社会が抱える課題の解決に活用されたり、帰国ボランティアが、海外経験や異文化コミュニケーション能力を持った人材として活躍する例があります。途上国の人々への支援をきっかけに、日本の地域社会の活性化につながる事例も多く、市民の国際協力への参加の効果は、日本社会への還元も期待できます。

取り組み方針

2008年に策定した課題別指針「市民参加」を全面改訂しましたので、ご参照ください。本指針は、JICAが実施する「市民参加」をより効果的に実施するための留意点や協力方向性等を、これまでの経験・知見を基に体系的に取りまとめているものです。