大島から世界へ!JICA海外協力隊が母校生徒に出前講座を実施

12月9日、伊豆大島にある東京都立大島海洋国際高等学校にて同校を卒業したJICA海外協力隊員による出前講座「ようこそ先輩!国際理解特別講義」が行われました。

2020年12月24日

同じ高校を卒業したJICA海外協力隊員がコラボ

HIV/AIDSについて予防啓発活動を行う佐谷職員

石川栄貴隊員と指導先のネパール人農家の方

東京から船で2時間、椿の花が咲く自然豊かな大島には「海を通して世界を知る」を理念に、海洋教育・国際理解教育を行う都立大島海洋国際高等学校があります。(※1)

本イベントは、同校の卒業生であるJICA東京・佐谷孝行職員(JICA海外協力隊経験者)と現JICA海外協力隊員である石川栄貴隊員との共働により、在校生を対象とした国際理解の特別授業が実施されたものです。

佐谷職員は、2期生として2010年に同校を卒業、JICA海外協力隊では2018年から2020年1月まで感染症・エイズ対策の職種で中米ホンジュラスに派遣されていました。

石川隊員は、3期生として2011年に卒業、JICA海外協力隊として2019年1月から野菜栽培の職種で南アジアのネパールに派遣されていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により今年3月に一時帰国をしました。現在は、地元大島で無農薬栽培に従事しながら農業技術に関する動画を作成してネパールの同僚に配信しています。(※2)

卒業生2名によるJICA海外協力隊出前講座

「ブエナスタルデス!」、「ナマステ!」

佐谷職員による講座の様子

ホンジュラスとネパールそれぞれの現地語での挨拶から出前講座は始まりました。
講座には1年生~3年生の135名が参加をして2名の卒業生からの発表に耳を傾けました。佐谷職員からはJICA海外協力隊の事業概要説明と、自身が国際協力に興味をもったきっかけ、協力隊として派遣された中米ホンジュラスと現地で取り組んだ保健所での予防啓発活動や学校保健の大切さについての話がされました。(※3)

石川隊員による講座の様子

石川隊員は、ネパールの民族衣装を身にまとい登場。任国であるネパールの紹介、またネパールでもまだまだ認知がされていない有機栽培の普及に向けて取り組んだ農業研修や技術指導などの幅広い活動について話がされました。
石川隊員は過去に農薬や化学肥料を使った花の栽培などを行っていましたが、「農薬のついた花を赤ちゃんに触れさせてもいいのか」と疑問を持ち、環境にやさしくより持続可能な有機栽培に切り替えて野菜の栽培を行っています。


今回の出前講座にあたり石川隊員からメッセージをいただきました。
「帰国後は自分の所有する圃場でネパールでも可能な方法で栽培をし、ネパールに向けた動画を作っています。またSNSを利用して現地の方と連絡を取り、遠隔での指導を継続して行っています。出前講座では母校で現役学生と対面し刺激をもらいました。志半ばでの帰国となってしまいましたが、今後も日本からできる支援を継続して取り組んでいきたいと思います。」

佐谷職員、石川隊員、陣野教諭によるパネルディスカッション

出前講座の最後には、JICA東京の教師海外研修参加者でもある陣野教諭が司会となり、佐谷職員と石川隊員を交えた「卒業生パネルディスカッション」が行われました。高校卒業からの進路、協力隊に応募した理由や現地でみつけた課題、また高校時代に培って現在も活かされている経験やスキルについてなどそれぞれのキャリアについて多岐にわたる話がされました。

「海を通して世界を知る」大島海洋国際高等学校の一人ひとりが持続可能な社会の担い手としてはばたいていかれることを、JICA東京も応援してまいります。

報告者:JICA東京・市民参加協力第一課 佐谷孝行