モンゴルの国の発展には地域振興がカギ。日本の地域ブランドの取組を中小企業振興関係者に紹介

モンゴル各地の中小企業振興関係者約240名がオンラインセミナーに参加。

2022年3月15日

参加者の多くが関心を寄せた地域ブランドの創出

 2022年2月16日株式会社自然塾寺子屋の協力により、モンゴルを対象とした中小企業振興支援セミナー「地域の特産品の開発から商品化~日本の地方都市の事例から~」を開催しました。募集にあたり、モンゴルの中小企業庁やモンゴル商工会議所、ウランバートル市中小企業支援センターのご協力もあり、地方行政や民間企業から200名を超える参加を得ました。

図1. 事後アンケート

第一部 講義

 セミナーは「1.日本の地域ブランドの概要」、「2.地域振興の事例紹介」、「3.ディスカッション」の三部構成で実施されました(図1参照)。
 第1部では「地域ブランドとは地域の資源、知的財産も含めて戦略的に活用し、その地域の活性化に結び付けていくものである」との説明がありました。ブランディングの①目的、②マーケティングの対象、③実施主体について一般の商品づくりの戦略と地域振興を比較した説明はとても分かりやすいものでした。例えば特産品づくりの目的は商品が売れることだけではなく、地域の経済活動が活性し、地域住民の地元に対するプライドを育み、郷土愛が深まることにあると説明がなされました。その事例として、徳島県上勝町の高齢者の葉っぱビジネスや、同町のゼロ・ウェイスト政策に共感した地元の企業が新規事業を立ち上げ、商品開発・販売につながった取組が紹介されました。
 セミナーでは魅力的な取組がどのようにして生まれた経緯、その過程で起こりうる課題や事業を推進するための関係者の巻き込み方など、地域ブランディングのヒントが数多く紹介された他、コロナ禍が続く昨今の世界状況を踏まえた今後の展開、対処すべきリスクについても学ぶ機会となりました。
 参加者からは「地域ブランドの商品と一般の商品が、どのように差別化を図っているか参考になった」、「廃棄物の分別と地域ブランディングがあらゆるビジネスを維持するための鍵であることが理解できた」など多数のコメントがありました。

地域振興の成功事例から言えるポイントは2つ! 

 第二部では当事者が地域ブランドを成立させるまでを振り返り、事業の継続、発展に至った経緯を語る動画を視聴し、第一部で紹介された地域ブランドの考え方、プロセス、課題解決の方策などについて理解を深めました。

第二部 事例紹介

 紹介された事例の一つは酒蔵ツーリズムでした。焼酎が優勢な西日本の佐賀県鹿島市の酒蔵会社六社が協力し、地域住民や他の業種を巻き込んだ地域活性化事業に成長させていくストーリーが紹介されました。モンゴルには馬乳酒があるのでイメージがしやすかったかもしれません。
 また、地域の観光資源を30年かけて磨き上げ、道の駅としてヒットさせた群馬県川場村の取組では、農業の6次産業化や都市型災害に対応する防災の拠点として道の駅の果たす役割が紹介されました。また、群馬県高崎市倉渕の道の駅の事例では、市と企業が共同で交流イベントを開催するなどして地域ぐるみで訪問者を迎える取り組みが紹介されました。
 講師からは地域振興の成功の事例から言える二つのポイントとして、「できることはなんでもやる!7回転んでも8回起き上がる。失敗してもしつこく続ける!!」というメッセージが送られました。

終わりに。 

閉会の様子


 セミナーの終わりにウランバートル市中小企業支援センター長のGangamurun氏より挨拶をいただきました。Gangamurun氏は「2022年はモンゴル外交関係樹立50周年、JICA海外協力隊派遣30周年、JICAモンゴル事務所設立25周年と幾重にも重なった記念すべき年であり、JICAとの更なる連携を期待したい」と発言されました。
 最後にJICAモンゴル事務所吉村次長から「本日のセミナーを契機にモンゴルの地域振興分野におけるJICAの協力を更に強化していきたい」との発言がありました。モンゴルの多様な地域ブランド商品や地域の紹介ニュースをWEBやSNS等で目にする日を期待しつつ、モンゴルの地域振興について思いを馳せる機会となりました。

報告者:市民参加協力第一課