9月1日は防災の日!バングラデシュ国「災害に強い気候変動適応型農業」の取り組みについてご紹介します

草の根パートナー型事業「バングラデシュ国ハオール地域における災害に強い気候変動適応型農業の実践と普及(2022~2027)」(実施団体名:一般社団法人シェア・ザ・プラネット)が本年6月23日よりスタートしました。

2022年9月1日

年に1度海になる土地「ハオール」とは?   

雨季の様子:船で移動

乾季の様子:雨季に浸水していた陸地を歩いて移動

バングラデシュ国北東部に広がる標高5m以下の低湿地帯はハオールと呼ばれ、雨季になると東京・神奈川・埼玉を合わせた土地が浸水し、海のようになります。

ハオール地域で暮らす人々を襲った気候変動による洪水災害 

緊急支援物資を配布するようす

被災した家屋

本事業の対象地域はこのハオール地域に属します。当地域では、古くから雨期前になると農民は田植えを行い、水が引いた時に稲を収穫するという地理的特徴を生かし農業を営んできました。しかし、昨今の気候変動が引き起こす異常気象により、収穫前の稲が突発的な洪水によって全滅するなどの作物被害が頻発するようになっています。

本年6月中旬にも事業地を突発的な洪水が襲い、事業パートナーの現地NGO ASED HABIGONJ(アセッドホビゴンジ)が中心となり食糧や物品配布の緊急支援を実施しました。

草の根パートナー型事業、始動開始 

インセプションミーティングのようす

ホビゴンジ県の県知事とともに
左がプロジェクトマネージャーの筒井哲朗氏

ハオール地域では、大半の農家は稲作のみを扱い、一般的に乾期のみの一毛作を行っているため、食糧源且つ収入源であるコメの収量により生活が大きく左右されます。本草の根技術協力事業では、稲の作付け転換や乾期の野菜作付け導入等を行うことで農民の生活向上を目指し、これらを現地農業関連行政が中心に管理・支援できる体制を作れるよう支援します。去る7月25日、事業実施団体である、一般社団法人シェア・ザ・プラネットは、ホビゴンジ県でJICA草の根技術協力事業開始を案内するインセプションミーティングを実施しました。
先に述べた6月中旬の洪水への緊急救援が農業関連行政より実施されるさなかではありましたが、ホビゴンジ県の県知事(Deputy Commissioner)を始めとし、農業行政機関や現地NGO等から34名が集まりました。県知事は事業地の村に訪問したことがあり、支援が届きづらい遠隔地に本事業でスポットライトがあたることに感謝の意を述べられていました。

農業に関わる中央・地方行政の役割が最大限に活かせるよう、行政間及び行政と農民の橋渡しを行います。また、本事業に関連する現地NGO、JICAとの協力・協同、種や作物の流通に関わる民間企業との連携により事業の効果を高められるよう努力していきます。

(シェア・ザ・プラネット 国内調整員 柳下優美)