~JICA東京ってどんなお仕事しているの?~中学生が職場体験を行いました!

板橋区立中台中学校より、国際協力に関心を持つ中学生1名がプログラムに参加。国際協力の世界を学び、体験し、考える3日間となりました!

2022年9月29日

文字が読めなければ薬が買えない...

知らない国の言葉で書かれたラベルから風邪薬を当てるコーナー。皆さんは、どれが風邪薬かわかりますか?

正解は一番左の薬。真ん中は「下痢止め」、一番右は「農薬」と書かれていました。

JICA東京では毎年、中学生の職場体験プログラムを実施しています。今回参加したのは、職場体験を通じてSDGsについて学びたいと話してくれた、板橋区立中台中学校の生徒さん。JICA東京でいったいどんなことを経験したのでしょうか?3日間の学びの様子をお伝えします!

初日は、地球ひろばを訪問し、途上国が抱える様々な課題について学びました。
体験コーナーでは、風邪をひいた弟のために風邪薬を買う、というミッションに挑戦しました。目の前にあるのは、知らない国の言葉で書かれた3つの薬。ラベルの文字が読めない中、風邪薬を選ばなければなりません。中学生が勘で選んだのは、なんと農薬!!文字が読めなかったことで、必要な薬を買うことができませんでした。
ここで学んだのは、「文字が読めない大変さ」。私たちは普段、文字が読めるからこそ必要な薬を買い、病気を治すことができます。しかし、途上国には教育を受けられないために文字が読めず、必要な薬を買うことができない人が大勢います。生徒さんは「生まれて初めて、文字が読めないつらさを感じた」と話し、教育の重要性を実感しました。

国際協力について学び、体験し、考える。  

開発教育プログラムの中で議論したテーマの1つ、「『舗装されていない土の道』と『舗装されたコンクリートの道』、どちらがSDGsなのか」。写真の下にある17のゴールについて、それぞれに適している道はどちらか、1つ1つ議論をして振り分けました。

生徒さんとインターンが考えた結果がこちら。どちらにも振り分けられないものは中央に置いています。皆さんはどのように考えましたか?

JICA東京内のSDGsについて学べる展示コーナー。多くの人に見てもらうにはどうすれば良いか、生徒さんが様々なアイデアを出してくれました。

職場体験2日目は、3つのプログラムに参加しました。
始めは開発教育プログラム*。ここでは、現在JICA東京でインターンをしている大学生の皆さんと一緒に、さまざまなトピックについて意見交換を行いました。その1つが、「中米ニカラグアで撮影された『舗装されていない土の道』と『舗装されたコンクリートの道』、どちらがSDGsなのか」というもの。「コンクリート道は通学に便利だし、病気になったときも早く病院に行けて良いけど、森林の生態系を守るという観点だと土の道の方がSDGsだよね」など、さまざまな意見が上がりました。ここで生徒さんが学んだのが、『見えないものは見えない。知っているものは見える』ということ。一見、舗装されたコンクリート道の方が便利で良さそうに見えますが、舗装されていない土の道の方がその国の人や環境にとっては優しいこともあります。その国のことをよく理解し、その国にいる人たちに寄り添っていくことが大切だと学びました。このプログラムは非常に印象的だったようで、終了後、生徒さんは「もう少し学びたかった」と残念がっていました。

続いて、JICAの長期研修プログラムに参加している留学生と交流会を行いました。事前に準備した質問を英語で話すなど、外国語を使って仕事をする「JICAらしさ」を味わいました。中学生が特技のけん玉を披露したり、日本のアニメや漫画について話したりと、非常に盛り上がりました。また、留学生が紛争影響下にある母国で医療機器を届けるために日本でドローンの技術を学んでいると聞き、紛争や医療資源の不足といった途上国の問題を身近に感じる時間となりました。

そして最後は、他の職員と一緒に会議に参加しました。「JICA東京にある展示物を魅力的にするためにはどうすればよいか」という議題に対し、中学生ならではの視点で様々な意見を出してくれました。当初、自分の考えを皆の前で発表する、ということに緊張した様子でしたが、徐々に意見やアイデアを伝える楽しさを味わったそうです。

*開発教育:学校や地域において、途上国の現状や国際協力に関する情報や学びを提供することで国際理解の向上につなげる活動。

働くことってこんなに難しくて楽しい!!

JICA東京には、研修事業や市民参加協力事業など、まさに国際協力の表舞台で仕事をしている方もいれば、JICA東京にある研修施設や宿泊施設などを管理し、私たちの事業を支えてくださっている方も大勢います。そうした「国際協力の舞台裏」も学んでいただくため、3日目は建物管理の業務を体験しました。今回は清掃担当の方に指導していただき、ベッドにシーツを敷く作業を体験しました。しわを1つも作らず綺麗に敷くのは非常に難しく、まさに職人技。とても大変だったそうですが、同時に働くことの楽しさも味わったそうです。

最後の振り返りセッションでは、「周りの人に国際協力を知ってもらうきっかけを作っていきたい」と話してくれた生徒さん。ここでの経験や学びをきっかけに、これからも国際協力の世界とつながっていってほしいと思います。

JICA東京や地球ひろばでは、世界の国々や国際協力に関する様々な展示を用意しています。
皆さん、ぜひ遊びに来てくださいね!